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来年にかけて20万人を動員するツアーも決まっていたり、ますますシーンの中で巨大な存在へと成長し続けているずとまよが、私たちの冴えない日々を肯定してくれることほど心強いことはない。《ぼーっと他人のダンス スクロール人生》という描写は耳の痛い話だが、そんな虚無の時間からトリップさせてくれる呪文《“皆が寝静まれば 僕の出番来る”》――このキラーフレーズに心が躍らないわけがない。「ずっと真夜中でいいのに。」というアーティスト名を掲げるACAねが歌うことでしか説得力を持たない歌詞だ。そしてそこから幕開けるこれでもかと韻を踏み倒したサビでは、どんなに気分が落ち込んでいたとしても自然と体を揺らしてしまう。狭くて真っ暗な部屋に突然眩い光を放射してダンスフロアに変えてしまうような日常から非現実を一瞬にして繋いでしまうパワーを持っているのが、ずとまよがこれまで生み出してきた楽曲たちだと思っているが、その中でも“海馬成長痛”はとんでもなく強烈な光を放つアンセムになると確信している。(有本早季)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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