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弱冠21歳のシンガーソングライター・森 大翔の最新曲“夏の落とし物”は、前作のダンサブルな“アイライ”と打って変わって、ポップなメロディで涙を誘うミディアムバラードだ。ギタープレイヤーとしても高い評価を得ている彼。今作では、歌うように鳴っているギターのフレーズが特徴的である。たとえば、Aメロの終盤から入り、自由に鳴り続けるギターもそう。サビ終わりの、花火が上がり残り火が散るまでの余韻が表現された速弾きは聴いていて特に気持ちがいい。そんなギターだけではなく、全体的に主人公の心情が伝わってくる歌唱にも注目したい。サビの《ねえ行かないで 離れないで》では、ファルセットを織り交ぜて歌い上げることで、失恋をした男が思い出を振り返りながら悲しみにふける情景を描いた恋愛小説の一幕のような歌詞を引き立てている。20代に入ってからの彼は、楽曲の表現力にさらなる磨きがかかっている。そんな森 大翔が作る音楽には、計り知れない可能性を感じずにはいられない。(岩田知大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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