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Czecho No Republicの音楽はキラキラしているが、「心地よい物悲しさ」「甘美な寂寥感」とでも言うべきムードも醸し出す。そこがかけがえのない魅力なのだと、このアルバムを聴くとよくわかる。素敵な風景を見た際に、「初めて来た場所なのに、なぜか懐かしい」と感じたことはないだろうか?“Wonderland”を聴くと、そういう不思議なノスタルジーを噛み締められる。クレヨンを握り締めて正体不明な何かを一心不乱に描き続ける幼児の頭の中のように様々なイメージの断片が渦巻いている“Pony Bambi”の風味も独特極まりない。心の奥底に確実に存在しながらも、なかなか普段は活動することのない大切な領域を柔らかに刺激してくれるかのような曲が、本作にはたくさん並んでいる。シンセサイザーとギターによるドリーミーな音像、男女ボーカルのコンビネーションを駆使した美メロを連発しながら「幻想的」「華麗」「切ない」の合わせ技を次々繰り出す作風を実際に体感してほしい。心奪われるリスナーがたくさんいるはずだ。(田中大)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年12月号より)
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