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その時々の感情やまとわりつく匂い、温度、感触、色……そんな空気感ごと閉じ込めるようにローファイな質感をもった楽曲たちが並ぶ。夜中にふと本棚に手を伸ばしてたまたま開いた本が今の気分にぴったりで、気づけば読み耽ってしまうような偶然と必然。心の奥深くというよりは自分でも気づいてないいちばん外側の部分、その輪郭を優しくなぞるようにリフレインする言葉たち。「青い夜のお話」をテーマとした今作は、昨日と明日の狭間で眠れない、あるいは眠りたくない夜という刹那的であり永久にも感じられるほどに詩情豊かな瞬間を個性的なサウンドで磨き上げ、ミニアルバムといえど相当濃密な1枚に仕上がっている。アコギのバッキングが優しく響く中、全編英語詞で天邪鬼な自分の感情と決別する冒頭“escape”で最新型Chilli Beans.の王道を奏でてみせ、ラストはこれまでの楽曲とは打って変わって不穏なビートでアグレッシブに物語を紡ぐ“cyber”で新機軸を見せる。軽やかだけど鋭く胸を抉る。それがとにかく気持ちいい。(橋本創)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年1月号より)
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