彼女が選んだチェロ

のあのわ『SPECTACLE』
2009年09月09日発売
ALBUM
のあのわ SPECTACLE
女性ボーカルがチェロを弾く、珍しい編成の5人組のファースト・フル・アルバム。ロックを骨格としつつ、クラシカルな弦楽器とキーボードが彩りを添えるサウンドは、ディズニーのパレードを見るような楽しさだ。そんな曲調でYukkoの歌声が軽やかにはね回るのだから、このバンドがメルヘンチックといわれるのもよくわかる。しかし、彼女が弾くのは、顎の高さまで持ち上げて演奏するバイオリンではない。音域が低く、楽器も大きく重いため床に置かねばならないチェロなのだ。奏でられる音色は穏やかで落ち着いたものだし、メルヘンチックといった時に連想されがちな、ただふわふわと浮ついたイメージとは、ちょっと違う。

のあのわは“ゆめの在りか”をはじめ、確かに夢を歌っている。だが、チェロが床に置かれるように、地にしっかり足をつけ、現実から出発して夢に向かおうとする姿勢を持っている。Yukkoは直感でギターから、それまで演奏経験のなかったチェロに転向したそうだが、自分にふさわしい相棒を選んだと思う。楽器とともにステージ中央に立つその姿は、凛として美しい。(遠藤利明)
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする