大雑把にいって、メロウでサイケデリックな曲と、ガレージ調のフリーキーな曲、あるいはその中間色的な曲で構成された18曲。2枚組だが、サウンド的にディスク毎のコンセプトがあるような印象はなく、また収録時間も70分強と、体裁のわりにはコンパクトな内容ともいえる。荒くザラザラした音像に初期のアングラ時代の面影も浮かぶが、ジョン・レノンやマイルス・デイヴィスの作品をウェイン自ら引き合いに出して語られる今作は、手触りは異なれど、ポップとエクスペリメンタルのスリリングな相思相愛を描いた作品に他ならないのだろう。エンタメ的なキャッチーさは薄いが、曲同士の密な連続性、そして聴き通すたびに相貌を変えるような生々しさがある。その音と歌からは、近作にも増してウェインの息遣いや脈拍までもがリアルに聴こえてくるようだ。(天井潤之介)
ウェインの魂
ザ・フレーミング・リップス『エンブリオニック』
2009年10月21日発売
2009年10月21日発売
ALBUM
大雑把にいって、メロウでサイケデリックな曲と、ガレージ調のフリーキーな曲、あるいはその中間色的な曲で構成された18曲。2枚組だが、サウンド的にディスク毎のコンセプトがあるような印象はなく、また収録時間も70分強と、体裁のわりにはコンパクトな内容ともいえる。荒くザラザラした音像に初期のアングラ時代の面影も浮かぶが、ジョン・レノンやマイルス・デイヴィスの作品をウェイン自ら引き合いに出して語られる今作は、手触りは異なれど、ポップとエクスペリメンタルのスリリングな相思相愛を描いた作品に他ならないのだろう。エンタメ的なキャッチーさは薄いが、曲同士の密な連続性、そして聴き通すたびに相貌を変えるような生々しさがある。その音と歌からは、近作にも増してウェインの息遣いや脈拍までもがリアルに聴こえてくるようだ。(天井潤之介)