前作『ときめきダンシン』は一般にダークで内省的なアルバムということにされているが、いうまでもなく「ダンスする気にならない」と言いながら踊ってしまう、そのジレンマと迷いこそがシザー・シスターズだった。なぜなら、彼らの居場所は常にダンスフロアにしかなかったからだ。本作『ナイト・ワーク』はその本質を自分たちで見つめ直し、それを受け入れようという決意のアルバムである。自分たちは(比喩的な意味で)「夜」の住人であり、そこからしかアイデンティティを発信することはできない、という覚悟の表明だ。1曲目の“ナイト・ワーク”から最後の“見えざる光”まで、ちょっとどうかと思うほどファンキーでグリッターなサウンドが、過剰なまでに押し寄せてくる。この音が向けられるのは「いま」のダンスフロアではなく、彼ら自身の内面にある本拠地としてのダンスフロアだ。彼らは、彼ら自身のために踊り続けるのである。一方でその快楽が刹那的であることを深く認識しつつも、そこに絶えず身を投じ続けることを通して間断なき刹那=永遠を奪い取ろうとすること。自らの存在意義を再び規定する、バンドにとって決定的な意味を持つであろう力作だ。(小川智宏)
僕たちはここで生きる
シザー・シスターズ『ナイト・ワーク』
2010年06月30日発売
2010年06月30日発売
ALBUM
前作『ときめきダンシン』は一般にダークで内省的なアルバムということにされているが、いうまでもなく「ダンスする気にならない」と言いながら踊ってしまう、そのジレンマと迷いこそがシザー・シスターズだった。なぜなら、彼らの居場所は常にダンスフロアにしかなかったからだ。本作『ナイト・ワーク』はその本質を自分たちで見つめ直し、それを受け入れようという決意のアルバムである。自分たちは(比喩的な意味で)「夜」の住人であり、そこからしかアイデンティティを発信することはできない、という覚悟の表明だ。1曲目の“ナイト・ワーク”から最後の“見えざる光”まで、ちょっとどうかと思うほどファンキーでグリッターなサウンドが、過剰なまでに押し寄せてくる。この音が向けられるのは「いま」のダンスフロアではなく、彼ら自身の内面にある本拠地としてのダンスフロアだ。彼らは、彼ら自身のために踊り続けるのである。一方でその快楽が刹那的であることを深く認識しつつも、そこに絶えず身を投じ続けることを通して間断なき刹那=永遠を奪い取ろうとすること。自らの存在意義を再び規定する、バンドにとって決定的な意味を持つであろう力作だ。(小川智宏)