内なるレボリューションの軌跡

宇多田ヒカル『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2』
2010年11月24日発売
ALBUM
宇多田ヒカル Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.2
配信限定を含む、04年以降にリリースされた全てのシングル曲、そして5曲の新曲も加わったコンピレーション2枚組。04年の『SINGLE COLLECTION VOL.1』が、日本のポップ・ミュージックにおけるビッグバンそのものを内包してしまった作品だとするなら、今作はその革命の当事者である宇多田自身の変化が如実に現れた作品である。R&Bコンポーザーとしての範疇を突き抜け、映画主題歌からゲームのテーマソング、果てには童謡まで巨大な音楽的才能を担保に、音楽シーンのみならず、自己の表現そのものと向き合った、稀有な軌跡がここにはある。そして新曲5曲も、基本的にこの宇多田自身の「変革期」という、大きな流れの中にある。ただ彼女の場合、音楽的な表現が様々な色合いを帯びても、全く「実験」にならない。エディット・ピアフのカバーは、ポップの新たな解釈に変化し、“Can't Wait 'Til Christmas”は、クリスマス・ソング以上に普遍的で根源的なことを歌ってしまう。今さらだが、一握りのミュージシャンにのみ許された、ある種の「特権」が、やはり彼女には備わっている。(徳山弘基)
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