11篇の響きあう魂

ACIDMAN『ALMA』
2010年12月01日発売
ALBUM
ACIDMAN ALMA
これまで、ACIDMANは“宇宙”“生死”という揺らぐことのない壮大なテーマを、俯瞰的な視点から抽象的な言葉を使って表現してきた。しかしニューアルバム『ALMA』で描かれているのは、その絶対的なものを見つめ続けてきた“魂”(=ALMA)、つまり自分自身の心であり、私たち人間そのものなのである。その視点の変化は、「重ねた指のぬくもり」(“ALMA”)や、「心を持ってしまったロボット」(“2145年”)といった、リアルな心情描写や物語性のある歌詞世界、全編日本語詞によるアプローチに表れている。だからこそ、今まで以上に歌詞がそっと寄り添うように聴き手の心の中に沁み込み、響いてくる。サウンド面でも、ファストなロックナンバーやストリングスが美しいバラード、打ち込みの入ったダンスチューンと多彩で広がりのある内容だ。そしてアルバムは、《This wonderland is not a dream》(“ワンダーランド”)と締めくくられる。長きキャリアを持つ彼らが今作で試みた大きな変化、この作品で描いた11個の魂は、決して幻想ではないのだ。そんな傑作の誕生に、胸が熱くなった。(山本恵子)
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