あの「郊外」の1年後の風景

アーケイド・ファイア『シーンズ・フロム・ザ・サバーブス』
2011年07月27日発売
ALBUM
アーケイド・ファイア シーンズ・フロム・ザ・サバーブス
この『シーンズ・フロム・ザ・サバーブス』は、スパイク・ジョーンズがA・ファイアの『ザ・サバーブス』にインスパイアされて撮った短編フィルムである。6月27日にはいち早くオンライン・プレミアが開催される予定だが、本レビューを書いている現時点では間に合わず未見であることを最初に断わっておく。本作はいわゆる郊外のディストピアを描いた作品で、ジョーンズの少年時代の体験も反映されているという。バトラー兄弟が脚本に参加していることからも、僅か30分の短編とは言え、単なる『ザ・サバーブス』のオマージュ映像を越えた新たな物語性が提示されることになるのは間違いなさそうだ。

そもそも『ザ・サバーブス』のテーマは、その救いの無さと裏腹に実に明快だった。本作を聴き込んだ全てのファンは自分だけの「郊外」の風景を永遠に脳裏に刻み込んだし、そのどれが正解という話でもない。私達がここで観るのはシンプルに「ジョーンズ版」ということになるのだろう。普遍的名作とは、常に幾多の解釈を許し広がっていくものだ。日本盤は『シーンズ~』と『ザ・サバーブス』を新たに合体させたデラックス盤として再リリースされる。(粉川しの)
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