美の極限

ザ・フィールド『ルーピング・ステート・オブ・マインド』
2011年10月19日発売
ALBUM
ザ・フィールド ルーピング・ステート・オブ・マインド
スウェーデン出身のアクセル・ウィルナーのソロ・プロジェクトの2年ぶり3作目。いかにも<KOMPACT>らしい端正なミニマル・テクノだが、同時にシューゲイザーに通じる耽美なサイケデリアと、メランコリックなエモーションをしのばせた、美しく浮遊するサウンド・プロダクションで、テクノ・ファンのみならずインディ・ロックのリスナーにも熱い支持を広げている。
 
本作はよりミニマリスティックな反復性が強まっているが、リズム・アレンジに工夫があり、音色がより深みをまして、じつに美しく蠱惑的な世界を作り出している。四つ打ちのループ中心だが、リズムがグルーヴィで微妙な揺らぎがある。ミニマルな反復であっても、そこにはドラマがあり人間的な厚みがある。DJ用の道具としてももちろん機能するが、聴くうちにリフレインが滲みモアレのようにずれていって、気がついたらあたりの景色がすっかり変わっているような、そんな体験はザ・フィールドならではだ。
 
テクノという音楽に多少なりとも「無機的」「単調」「非人間的」という印象を持っている人にこそ聴いてもらいたい大傑作。(小野島大)
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