無限大で末広がりな未来

8otto『「HYPER,HYP8R,HYPER」』
2008年09月03日発売
8otto 「HYPER,HYP8R,HYPER」
8ottoは、ロックンロールの最も本能的な部分で音楽を鳴らし続けてきたバンドだ。自分の体の中から生まれるリズムとか体温とか血とか言葉とかいったものを音として表現し、それが他人と共有できるポップとして成り立てばいいなあ、と願ってきた。そのコミュニケーションへの思いは、ライブでじわじわと濃密になってきていたが、この3rdアルバムでよりはっきりした形で現れている。爆音でド肝を抜かれ熱狂に焼き尽くされる「危険物取扱注意!」な手触りだったのが、キャンプファイヤーの輪にじわじわとリスナーを引き込んでゆくような大きな温かさを放ち始めているのだ。特にアコースティック・ギターの静かなバラード“最愛の目”は、彼らの朴訥な優しさと思慮深さが滲み出た新機軸だ。アルバム全編通してわくわくするような音の発見があり、聴けば聴くほど味わい深い。「変態的なままやり抜いちゃったら、それが直球ど真ん中ストレートのどポップだった、みたいなのを目指してる」と『ROCKIN’ON JAPAN 9月号』のインタビューで語っている通り、これは8ottoの総括作にして、未来へと繋がっていく名盤だ。(井上貴子)
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