『メイン・ストリートのならず者』に続いて『女たち』のボックスのリリースを急遽発表したストーンズ。ファンとしてはまたもや出費を迫られるわけだが、更にとんでもないものが届いてしまった。1978年7月18日、まさに『女たち』のツアーにおいてテキサスで行なわれたライヴ映像なのだが、よくこんなものが残っていたと驚嘆せずにはいられない。3000人の前でやったショウで、東京で言えばZEPPで78年のストーンズがライヴをやってる姿を想像してもらいたい。『女たち』についてはディスコからの影響が指摘されるわけだが、バンドは一貫して最高にロックンロール。ボブ・クリアマウンテンによるリマスターが素晴らしく、キースのギターがいかにバンドをドライヴさせ、そこにロニーが上手く絡む様子が手に取るように伝わってくる。そして、パンクからの追及を初めとするバンドの当時の危機感を一手に背負っているのがミックで、この後のツアーで更に露わになるフロントマンとしての孤独も克明に映し出されている。ストーンズの70年代のライヴ映像としては破格の作品。一度でいいからこんなストーンズを生で観たかった。(古川琢也)