本物の王者へ
スノウ・パトロール『フォールン・エンパイアズ』
2011年11月16日発売
2011年11月16日発売
ALBUM
アイルランドからグラスゴーを経由して、良心的ギタポ・バンドからワールドワイドなポップ・アクトへと変貌を遂げたスノウ・パトロールだが、またも一段上がった観のあるメジャー4作目である。美メロのスノパトというレッテルを自ら剥がしに行きながら、従来の持ち味を客観的に受け止めてバランスよく作られた、隙のないアルバム。マイケル・スタイプに作家スランプを救われたとギャリーは言うが、そのプロセスも含めて再び手にしたグッド・メロディというスノパトらしさに、彼ら自身、揺るぎなさを実感したのではないか。先行シングルの“コールド・アウト・イン・ザ・ダーク”はじめ、前作で見せたエレクトロニカへのアプローチをさらに追求し、アクセントとしてのエレクトロニックではなくバンドの資質のひとつに高めている。市場が求めるバンド像、時代を映すポップ・ミュージックの役割、ストーリーテラーとしてのソングライティング、そしてロック・バンドとしてのダイナミズム。そのすべてを黄金律で融合させる姿は、コールドプレイが『X&Y』で確立したポジションを思い起こさせるほどに頼もしいものだ。(羽鳥麻美)