猛スピードで走り出したチャット

チャットモンチー『満月に吠えろ』/『テルマエ・ロマン』
2012年02月01日発売
SINGLE
チャットモンチー 満月に吠えろ』/『テルマエ・ロマン
ドラム高橋久美子が脱退し、ふたりになったチャットモンチー。昨年見た、絵莉子と晃子ふたりだけ、しかも晃子はドラム!という新編成のライヴは本当にびっくりしたし、チャットモンチーならではのピュアで潔く大胆な決断で、胸が震えた。2012年、どでかい花火を打ち上げるチャットモンチー。シングル→シングル→ベストアルバムという、いきなりの3週連続リリース!
 
新曲2曲は、新生チャットモンチーのとにかくポジティヴで攻撃的なエネルギーが、もう日本丸ごと持ち上げる勢いで爆発している。涙の跡を吹き飛ばし、何も恐れずに真っ白な未来に向けて裸で突っ走る“満月に吠えろ”。自分たちの新たな門出に祝砲を放ちつつ、日本の2012年の幕開けにも相応しい最強曲だ。“テルマエ・ロマン”は原作マンガのファンである絵莉子がアニメ主題歌のために書き下ろした。お風呂場をユニークに描写しながら、沸々と気力を滾らせる。後半のゴリゴリの展開に圧倒される。2曲とも新しくてソリッドでパワフルで、超攻撃姿勢のふたりの気持ちがそのまんま出てる。花火の一発目がドカーンと上がった。(小松香里)


「バンド」を脱ぎ捨てたふたりのロック

オルタナ魂の結晶のようなゴリッとしたコード感、1歩1歩前へ進む意志をそのままストロークに置き換えたようなドラム、そして格段に訴求力と表現力を増した歌……橋本絵莉子と福岡晃子の気迫と情熱が「バンド・サウンドに変換する」というフィルターを取っ払ったようなダイレクトさで脳髄にジャック・インされてくる。ふたりバンドになったことで、いやバンドという定型フォーマットすら脱ぎ捨てて絵莉子&晃子以外の何者でもあり得ない音楽共同体になったことで、チャットモンチーの音楽はより鋭利でポップな表現になった――ということを、新生チャットモンチーのシングル2作はリアルに物語っている。《変わらないはもう誰も言わない/だからもういいよ もういいよ》と第2のスタートへ向けた闘争宣言を快活に歌い上げる“満月に吠えろ”。『テルマエ・ロマエ』のリラックス感とユーモアを胸いっぱいに呼吸しながら、切れ味鋭いふたりのビートと鮮烈なコントラストを描いてみせる“テルマエ・ロマン”。チャットモンチーのラジカルさが、より身軽かつ強靭にハジけ始めたことの何よりの証明たる音が、この2枚に凝縮されている。(高橋智樹)

※『満月に吠えろ』は2/1、『テルマエ・ロマン』は2/8発売です。
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