タヒチ80のグザヴィエとペドロがプロデュースを手掛けた、4人組フレンチ・ポップ・バンド、マンソーのデビュー・アルバム。まさにタヒチに通じる軽やかなグルーヴ感と、モダンながらあたたかな懐かしさがしみ込んだこのポップ・アルバムは、さまざまな形の人間関係を描いたショート・ムーヴィー集のようなものだという。初夏の風に吹かれながら白昼夢を見るような幻想的サウンドの“まぼろしの恋”(邦題も素敵)や、ジェリーフィッシュを思い起こさせるポップ職人ぶりでグッド・ハーモニーを聴かせる“ある女優の話”や“奇跡の日々”、ストリングスと管楽器、ヴィンテージのオルガンで、楽しかった日々を追憶する“グランマへの手紙”など。そして、この悲喜こもごもの鮮やかな群像劇に、「Life Traffic Jam」(原題)というタイトルが冠せられた。スタイリッシュなサウンドだが、洒落たフレンチ映画よりも、セドリック・クラピッシュ作品のような、街や雑踏の香りと人間臭さを感じる。こんがらがった人生を送るそれぞれの主人公たちが、新しいステップをふみはじめていく――そんな、甘酸っぱい余韻が心地好いアルバムだ。(吉羽さおり)