最っ高にかっこいい! 触れるものを金に変える童話の「金のガチョウ」みたいに、聴くものすべてをロックンロールに変える魔法――それがN'夙川BOYS、満を持してのメジャー1stアルバムだ。リンダとマーヤがバラバラな歌詞を同時に歌う“24hour”の青い疾走感から始まって、コンタクトレンズや家事の歌など、曲もサウンドもさらに破天荒で痛快。でもロックってそもそもこうでしょ?とコアなロックリスナーも、ビギナーも虜にする。そんな彼らのDIYセンス溢れるサウンドやファッションは真似できそうで絶対真似できない。なぜか? それは彼らの音楽には、《自分の歌は!自分で歌うさ!!》という矜持があるからだ。たとえば、朴訥なピアノにのって《立ち上がり/DANCE》と叫ぶ“トゥナイト”。3人が最初に作った“死神DANCE”しかり、彼らにとってダンスとはパーティの狂騒でなく、いつもひとりで立ち上がるためのものなのだ。つまり「おまえはおまえの踊りを踊れ」というメッセージ。しゅくがわぼーいずっ!というマーヤの叫びがロッケンロー!と同じく無敵なのにはそんな理由がある。(井上貴子)