洗練と高揚感の両立

ボーイズ・ノイズ『アウト・オブ・ザ・ブラック』
2012年10月05日発売
ALBUM
ボーイズ・ノイズ アウト・オブ・ザ・ブラック
ドイツ出身のDJ/プロデューサーであるボーイズ・ノイズ、3作目となるフルAL。ジャーマン・テクノからの影響を多分に感じさせる、硬質な音の響きと絶妙なタイム感とで繰り出されるビートには、更に研ぎ澄まされた記名性が横たわっている。EDMシーンからロック、R&Bやヒップホップに至るまで、ジャンル無用にコラボやリミックス仕事が絶えないことも、この職人気質な音の記名性こそが理由となっているのではないか。今夏にはスクリレックスと結成したユニット=ドッグ・ブラッド名義のEPもリリースしている。

さて、本作は華々しいブリープ・シンセを重ね合わせるというよりも、ビートの質感同様にストイックな音選びによって必殺フレーズが次々に飛び出す序盤(先行シングル“XTC”含む)が特にロッキンなテクノの手応え。どこかアルター・エゴを彷彿とさせる。一方、唐突な感傷的メロが印象深い“Ich R U”や不穏なベース・ミュージック風のラップ・チューン“Circus Full Of Clowns”がリスニング作品としての奥行きをもたらしている。以前楽曲をリミックスしたスヌープ・ドッグも終盤で登場のヴォリューム感だ。(小池宏和)
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