EDMのZ・スターダストとなれ

ゼッド『クラリティ』
2013年02月27日発売
ALBUM
ゼッド クラリティ
昨年のソニックマニアで観たゼッドは、若くして質実剛健なダンス・トラックを提供する頼もしいプロデューサーとして目に映った。デビューALが待望の日本盤化である。ガガやスクリレックスらの寵愛を受ける、このロシア生まれドイツ育ちの23歳が伝えるのは、力強くキャッチーなダンス・ミュージックが鳴り始めるまでの必然の物語だ。オープニングに配置された“アワーグラス”の、ナイーヴかつ詩的に鳴らされる旋律は、EDMの話題作としてはいささか勿体ぶって聴こえるかもしれない。しかしマーヴィン・ゲイやカーティスが、ボウイやスプリングスティーンが、そしてダフト・パンクやガガらがそうだったように、ゼッドのポップ・ミュージックには「音楽が貴方に届けられるべき理由」が宿されている。そのときEDMは、単なる流行の様式を超える。先達にとってのロックやソウルと同じように。
 
ワンリパブリックのライアンや、エリー・ゴールディングらといった話題性の高いヴォーカル起用もさることながら、それ以前に楽曲制作と確信の音選びで勝負はついている。余りにもドラマチックな表題曲には、涙を禁じ得ない。傑作だ。(小池宏和)
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