新しい季節は、やはり切ない

スピッツ『さらさら / 僕はきっと旅に出る』
2013年05月15日発売
SINGLE
スピッツ さらさら / 僕はきっと旅に出る
擬音語で4文字というタイトルだけで、あまりの「らしさ」に嬉しくなってしまう2年8ヶ月ぶりのシングル。ポロポロと爪弾くギターに始まり、淡く寂しいコーラス、そしてサビの躍動感へ――という一連のサウンドが清流のように淀みなく駆け抜ける“さらさら”は、《魚の君を泳がせ》て、《身体を水に作り変えていく》、そんな僕の歌。ふたりの関係を「魚と水」に重ねる狂おしい情念が草野マサムネ(Vo)の手にかかれば、水色に泡立つラブソングになる。そうやって動物やモノに擬態してカモフラージュする想いは、人間の言いようのない心をいつもどんな言葉よりも端的に言い表してしまう。2曲目の “僕はきっと旅に出る”は、ピアノと共に奏でる優しいメロディに旅への憧れを詰め込んだ春らしいナンバー。歌の中ではよく未来や希望の代名詞となる「旅」というテーマの中に、《普通の世界が怖くて》という孤独感、《愚かだろうか?》と問い返す自戒の念が交じり合うことで、どくどくと沸き立つ切なさがすごい。これぞスピッツ! 年内にとアナウンスされたアルバムへの期待感が、今作でもうはち切れそうだ。(秦理絵)
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