ぶっ壊すのに飽きた人へ

ジーズ・ニュー・ピューリタンズ『フィールド・オブ・リーズ』
2013年06月26日発売
ALBUM
ジーズ・ニュー・ピューリタンズ フィールド・オブ・リーズ
2010年にリリースしたセカンド『ヒドゥン』で大化けし、同年のNME年間ベスト・アルバムも獲得したジーズ・ニュー・ピューリタンズ、待望の新作。バス・クラリネット奏者2名を加えた来日公演も素晴らしかったが、それを観た時に浮かんだ言葉「チェンバー・ロック」が、先行公開されたティーザー映像を観ても、今作ではいっそう突き詰められている印象だ。そのぶんヴォーカルや前作で炸裂していたパーカッシヴな要素は後退したものの、深みと広がりは倍増している。ポスト・パンク以降のUKバンドには「解体」によって革新を指向するクセみたいなものが呪縛としてまとわりついていたイメージがあるが、この人たちは久々に「構築」によって先鋭性を発揮するタイプの音楽家なのではないだろうか。バーネット兄弟にクラシックの素養がどれだけあるのかは知らないが、坂本龍一の作品に通じるようなムードも感じる。

脱退したソフィーの代わりにジャズ・シンガーのエリーザが加入し、さらに生演奏では7人編成になるらしい新作リリース後のライヴは、今月の来日公演が世界初舞台となる。絶対お見逃しなきよう! (鈴木喜之)
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