終わるために、鳴らした王道
knotlamp『Hello to Nostalgia』
2013年09月18日発売
2013年09月18日発売
ALBUM
このknotlampのニューアルバム『Hello to Nostalgia』を活動休止の報とともに聴くことになるなんて考えもしなかった。メロディックパンクシーンにしっかりと根を下ろしながら、ポップからダンスミュージックまでを射程にとらえて活躍の幅を広げていく。そんな最近の彼らの勇姿を見ていただけに、衝撃はなおさらだったのだが、今作には4人にしか生み出せない黄金のメロディと胸を掻き毟るようなアンサンブルが詰まっている。そして驚くのは、そのサウンドがかつてなくエモーショナルで逞しく美しいことだ。ラストを飾る“ July 21”でKEIT(Vo・G)は歌っている。《言いたい事山ほどあるけど/これ以上居られないから/さよなら世界で一番/大嫌いで 好きな人》、と。knotlampを終わらせるために「knotlampとは何だったのか?」、その答えを鳴らす。そういうアルバムなんだと思う。だからこそ、ここには彼ららしいメロディが詰まっている。バンドとしての決別と新たなスタートの為に、knotlampの100%王道を全力で刻む。そんな、初で最後のトライアルに挑んだ感動的な作品に、今はとにかく耳を傾けて欲しい。(塩澤淳)