朝方に見る夢のような、終わることのないまどろみに酔うような、奇妙な快感に襲われるアルバムである。今作から4人組となり、ギター、ベースを揃えた「バンド」のフォーマットで再出発を果たしたメトロノミー。当…
前作『けいちゃん』は、弾き語りによる個人表現の極みというべき作品だった。つぶやきに似た言葉の数々をひとつひとつ丁寧に拾い上げ、色彩感のあるメロディに乗せていく。そのプロセスの純度の高さにおいて、同作…
このアルバムを聴き終えたとき、青空を仰ぎ見るような開放感を覚えた。長年の鬼束フォロワーである私にとって、これは初めての体験だ。というのも、胸を締め付けるような叙情と、息を呑む緊張感に身を浸す体験こそ…
昨年のクリスマスに先行ストリーミングがスタートしていたゴリラズの最新作のCD化である。「秋」と題されたタイトルもずばり、本作は昨年秋のゴリラズの全米ツアー中にデーモンが自身のiPadで様々なアプリを駆使し…
アナログ機材を使い自宅ガレージで行ったレコーディングというのが最大のポイントだが、その理由と成果が一曲目から納得いく。音が前面にバチッと出てきて空気が鳴っているのがわかるのだ。ヘッドフォーン視聴がデ…
昨年12月8日・9日に横浜アリーナで行われた一大ライブ・アクトであり、宇多田ヒカルのアーティスト活動休止前最後のステージとなった『WILD LIFE』を、ドキュメンタリー映像まで含め完全収録したDVD作品。それこそ…
愛を求めて生きることを音楽にしてきたCharaが、永遠を見失った時に何を歌うのか。その答えはこのアルバム『Dark Candy』に詰まっている。「考えること」より「感じること」を今まで以上に優先したような楽曲たち…
茨城出身の6人編成で、昨年夏に行われた「RO69 JACK」の優勝バンドでもあるB×A×G。ツインボーカルに、ギター、ドラム、ベース、そしてDJというメンバー構成は、ミクスチャーバンドとしては王道であり、彼ら自身…
5月に日本デビューとなるヴァクシーンズやデビュー作が夏前と言われているブラザーなど、2011年のUK新人が熱いというのはこれまでもお伝えしてきた通りだが、その2組のデビューを前に、まず大大大プッシュしたいUK…
前作から本作に辿り着くまでのパニック!アット・ザ・ディスコの足取りというのは、控え目に言っても散々なものだったと言っていい。デビュー作『フィーバーは止まらない』でダンス・ビートを取り入れた新世代エモ…
エレクトロニック・ミュージックでは目的と手段が転倒することが多い。新たに登場したテクノロジーや方法論(手段)が、作り手の意図(目的)を超えて、大きなイノベーションを実現することがある。ボーカル・チョ…
「MASTER LOW」や「THE BEAT BREAKER」など、多様なバンド編成で圧倒的なパフォーマンスを見せるLOW IQ 01。今作は約3年ぶりのアルバム。アコギや鍵盤、ビートの転調や疾走感溢れるアレンジなど、今作も独自のセン…
端的に言うならば、「お洒落」ではなく「格好良い」ザ・キルズがカムバックを果たした快作である。アリソンのデッド・ウェザーでの活動が彼らに原点回帰にも似た自浄作用をもたらしたんじゃないかとも想像できるが…
昨年のROCK IN JAPANでのプレイを最後に脱退したイマイアキノブに替わり、新ギタリストとしてフジイケンジ加入。フジイは、マイラバにいたことで知られるが、その前は新宿ロフトが拠点だったTHE BARRETTの一員で、…
圧巻だった。観るたびにスケールアップされるグリーン・デイ・ライブ。もう貫禄すら出てきて不思議じゃない実績を残しまくっているのに、ステージでのパンク小僧のやんちゃっぷりは少しも変わらず、傑作『21世紀の…
くるりと映画の関係で思い出されるのは『ジョゼと虎と魚たち』、或いは岸田が出演した『色即ぜねれいしょん』などだが、今回の三浦しをん原作・大森立嗣監督による『まほろ駅前多田便利軒』のサウンドトラックは、…
カニエ・ウェストやジェイ・Zらに見出されたルーペ・フィアスコ待望のサード・アルバムが本作。09年には自身にとっての最終作品となる『LupE.N.D.』をリリースすると表明したりしてしばらくゴタゴタして4年ものブ…
一昨年のフジで観て、そのライブの熱さにヤラれてしまった。まず巧いし、その上、めちゃくちゃエモーショナルなショウをやるのだこのバンド(なので今年のフジは必見!)。それから1年あまり。アルバムが届くのを…
昨年行われた、Coccoの4都市5公演のライブハウス・ツアーの中から、11月11日の東京・Zepp Tokyo公演を収めたライブDVD。彼女にとっては3年ぶりのツアーだった。まだそれほど昔のことではないが一応説明しておく…
今ではかなり状況は変わっているが、デビューして間もない頃のライブに行ったとき、客の「男率」が予想以上に低かったことを覚えている。NICOのロマンチシズムやセンチメンタリズムは、男性ロックファンの琴線を絶…
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