ウソツキ ど直球のラブソング集『一生分のラブレター』に迫る!

ウソツキ

「決して嘘はつかないバンド、ウソツキです」という挨拶からして一筋縄ではいかないバンドなのは明らかだが、何重にもひねっていたこれまでの曲とは異なり、最新作『一生分のラブレター』は《何回だって告白をしよう/君が好きだって伝えよう》というストレートなフレーズで幕を開ける。彼らの中でこんなアルバムは初めてなので驚いたが、竹田昌和(Vo・G)いわく、「直球とは呼びたくない」とのこと。それはどういうことだろうか? 本作制作秘話、バンドの現状、音楽を始めた経緯など、様々なエピソードを通して竹田の「歌」の根底に迫る。

インタビュー=蜂須賀ちなみ

自分のなかで変だなと思うことをあえてやってみようと思ったんですよ。自分のなかにアンチを作るというか

――前作『スーパーリアリズム』のリリースから約9ヶ月経ちましたが、その間はライブがたくさんあったようで。

「そうですね。ワンマンが2本あって、ツアーもやって、サーキットイベントもいっぱいありました」

――手応えはいかがでしたか?

「ライブに関してはいろいろと試行錯誤していて。『スーパーリアリズム』に入っている“旗揚げ運動”はウソツキ初の手を上げる曲なんですよ。ロックバンドって曲の盛り上がるところでワーッて手を上げるバンドがとにかく多くて。でもウソツキはそういうことをアナウンスしてこなかったし、盛り上がるところでもみんなだいたいこうやって(あんまり動かずに)聴いていて。お客さん自身もTwitterとかで『手を上げていいのかな? どうなんだろう』みたいなことを言っていて若干モゾモゾした感じだったので、それなら僕らなりの手の上げ方を作ってしまおうかと」

――ライブでは《右手を上げて/左手下げて/両手を上げないで》という歌詞に沿ってお客さんも腕を上下させていますね。

「まあ蓋を開けてみればちょっと他のバンドとは違う感じになりましたけど(笑)。そうやって曲をリリースしていない9ヶ月間ではあったんですけど、ライブをやっていくなかで変化を提示したりしていて。僕、普段ライブを観ていて『何でこれやるの?』って思うようなことがいっぱいあるんですよ」

――例えば?

「『いけんのか、下北沢!』とか言うじゃないですか。でもその言葉は下北沢に着く前に言ってほしいんですよ。『来てますよ、下北沢』って思うわけで」

――行くってそういう意味ではないと思うんですけど(笑)。

「まあ確かにそうなんだけど(笑)。そういうふうに自分のなかで変だなと思うことをあえてやってみようと思ったんですよ。自分のなかにアンチを作るというか」

――何でやってみようと思ったんですか?

「最初は仲の良い友達とそういう話をして笑っていたんですけど、それじゃあ何も進まないというか。例えば『あの総理大臣は良くない』とか言って優越感に浸るパターンの会話ってすごく不毛というか、『そう思うんだったらお前が何かをやるべきだろ』って思うし。だから実際にやってみて本質を探ってみようかと」

――実際にやってみていかがでした?

「『いけんのか、下北沢!』に関しては上手く言えなかったです(笑)。言ってはみたもののなんかザワついて。ああ、俺はやっぱり下北沢にはいけないんだな、と(笑)」

《君が好き》っていう言葉を使うのって恥ずかしいじゃないですか。でも『一生分のラブレター』っていうアルバムにすればそれを乗り越えられるかなと

――今回のミニアルバムの制作はどんな感じでした? スケジュール的には余裕があったかと思いますが。

「そうですね、タイトではなかったです」

――気持ち的には?

「いや~、気持ちには余裕がなかったかなあ……(笑)。今回は全部ラブソングなんですけど、作ってきた曲のなかからラブソングを集めたわけではなく、ラブソングだけを作ろうって思って作ったアルバムで」

――そういうコンセプトにしたのはなぜですか?

「きっかけは“一生分のラブレター”っていう曲ができたことですね。この曲は人間が出会ってから死ぬまでを描いているんですけど、そのディテールの部分――ケンカしたとか、コンビニに行くとか、『はたしてこれは恋なのか』と悩むとか――を他の4曲で補ってやればアルバムとして『一生分のラブレター』って言えるんじゃないかなって思って。この曲(“一生分のラブレター”)は僕としては直球とは呼びたくなくて。一応変化球を投げているんですけど、でも表現としてはやっぱり直球で。《君が好き》っていう言葉を使うのって単純に恥ずかしいじゃないですか。でも『一生分のラブレター』っていうアルバムにすればその恥ずかしさを乗り越えられるかなと。だからこの曲を聴いて良いなと思ったら他の4曲も聴いてもらいたいんですよ。それで初めて僕の意図というかやりたいことが伝わるので」

――“一生分のラブレター”はどういう経緯で生まれた曲なんですか?

「『恋というものには賞味期限があるらしい』っていうのをネットで見て、1回絶望しまして。どうやら好きだっていう気持ちの元になるホルモンがあって、それは必ずなくなるものらしいんですよ。いつかは終わってしまうものだと。そしたらそこのコメント欄に『いつかは終わってしまうものなら私は恋なんてしたくない』とか『恋をすることに意味はあるのか』とかネガティブな意見が並んでいて。僕もそういうふうに考えてしまいがちなんですけど、だけど『そうじゃないでしょ』って歌では言いたくて。だからこの曲も、そのコメント欄に対するアンチですよね。『じゃあ何回だって恋したらいいんじゃないですか』『何回だって告白したらいいんじゃないですか』と」

――先ほど自分としては変化球だと仰っていましたけど、それはアンチが曲の元になっているという点が今までの曲と変わらない部分だということですよね?

「そうですね。あと、1回絶望しているっていうことも」

――それって、終わりがあると分かっているからこそ“一生分のラブレター”を書いた、ということですか?

「その通りです。だから矛盾があるんですよ、やっぱり。でもそれがミュージシャンなんじゃないかなと思っていて。結局自分のなかでの矛盾みたいなやつを、音楽っていうマジックを使って何とかしなきゃ生きていけないような人間だから、音楽をやっているんだと思うんですけど」

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