「俺、今タコ獲ってるけど、来年、武道館……大丈夫かなあ?」
――そういう規格外のロックバンドが、来年の3月11日に、ついに日本武道館でワンマンライブをやるわけですよ。これはものすごいことだと思います。
「『俺、今タコ獲ってるけど、来年、武道館……大丈夫かなあ?』って、たまに我に返るんですけど(笑)」
――(笑)。昨年の8月、『島国DNA』の時のうちの取材で、「俺、成り行きで次の目標、武道館になったんですかね? 不思議な気分です。だから、今の目標は……武道館?(笑)」って、会長がおっしゃったんです。それが実現に向かって着々と動き始めているわけですよ。「我々の記事が予言した!」と言い張りたい気持ちもあるのですが。
「武道館が決まったのは冬なので、予言されてしまいましたね(笑)。今のところ『嬉しい』とか『すごい』とかいうプラスのことよりも、『大丈夫かなあ?』っていうのが大きいです。Zepp Tokyoの後に新木場スタジオコーストがソールドアウトしましたけど、一気に会場の規模が大きくなりますので、1年がかりでいろいろ盛り上げていこうとしています」
――周囲の反応もすごいですよね?
「はい。周りから言われて実感する部分も大きいですね。13年間かけて地道に独自路線で上がってきたバンドなので、『そこから武道館へ行ったか!』という感じのようです。だからますます『成功させなきゃな』と思います。武道館が成功したら、曲が大ヒットして武道館をやるというのとはまた別の何かが達成できるのかもしれないですね」
――共に頑張ってきた仲間のバンドたちにとっても、素敵な刺激になるんじゃないでしょうか。
「そうだと嬉しいです。例えばキュウソネコカミも、お互いに無名だった頃に5、6バンドが出た大阪のイベントで出会ったんです。四星球と最初に一緒にやったのも狭い箱でしたし。そういう中、みんなが躍進して行ったんですよね。『キュウソが先行っちゃった!』って見てたり、『上の方にいるなあ』って見てた四星球とだんだん一緒にできるようになったり。ヤバイTシャツ屋さんは『うちのツアーに出ない?』って言ってたのに、いつのまにかスコーン!って行っちゃって『出てくれませんか?』になって(笑)。そういうみんなに対して仲間意識があります」
――「~系」みたいな具体的な名称があるわけではないですけど、みなさんが作り上げている何らかのシーンが盛り上がりつつある気がするんですけど。
「なるほど。そういえば8月にある俳優さんが企画した『♀フェス(メスフェス)』があったんですけど、『集めたら強いのいっぱいいるね』っていう実感が湧きました」
武道館ならではのことをやりたい。ご期待ください! ……まだ準備段階ですけど
――それらの面白い要素があるバンドは西日本の人たちの方が主流ですが、東日本の笑いの香りを漂わせている点が打首獄門同好会の特筆すべきところだと思います。
「僕は『水曜どうでしょう』が好きであるというのがルーツだったりするので、やはり西日本の感じとは異なるんでしょうね。ちょっとシュール系というか。『大泉さんがゆるい口調でぼやいているのが面白い』みたいな。東の人間はツッコミなしで終了するという西の人間が気持ち悪がるやり方をガンガンやっていきますからね。『オチないんか~い!』ってやつです。『ないよ。投げっぱなしだよ』って(笑)」
――(笑)。2004年にバンドを結成した時点で、こういう未来はイメージしていました?
「イメージしてなかったから、こんなバンド名になっちゃったんでしょうね(笑)。計算してたら、もっと支障がなさそうなバンド名にしてたと思います。僕の知らないところで会社がいろいろクリアしてくれてるんだろうなあ」
――何かと警戒されるバンド名ではありますよね。
「バンド名を見て『何する気なの⁉ 暴力とか無理よ!』と警戒されて、『しません! しません!』と(笑)」
――(笑)。武道館のライブの内容に関しては、現時点で何か言えることはあります?
「うちはそもそもワンマンライブを特別視しているので、普段はできないことを全部詰め込むのが毎回のコンセプトです。今までもワンマンにいろいろ手間をかけてきていて、『もう少し和らげない?』っていう話も身内から出るほどなんですけど、『いやいやいや、凝ったことをしたいんですよ』と言ってます。だから武道館規模ならではのことをやりたいと思ってます。ご期待ください! ……と言いつつ、まだまだ準備段階ですけど」
――武道館に打首獄門同好会の曲が鳴り響くことを想像すると、胸が熱くなります。
「《せせり せせり せせり せせり》とか、たくさんのお客さんが叫んでくれたらすごいでしょうね。うちの曲に出てくるワードは誰もが叫べちゃうので、『一斉に叫ぶ感』がすごいんです。一番すごいのは《日本の米は》と言った後の《世界一》です。今までもフェスとかで、鳥肌が立つような声が聞こえてきたわけですから、うちの曲を知っている人しか集まらない大きい会場でそれをやったらどうなるんでしょうね? いやあ、楽しみです」