「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017」 都内で約1ヶ月にわたり開催されている異例のイベントが持つ意味とは? スタッフが語る

新しい発見や刺激を生む場所を常に作っていくのがレッドブルらしさ


──同じく11日には、「歌謡浪漫 - KAYOU ROMAN 歌謡浪漫限定宴会」という、これまたエッジの立ったイベントも開催されます。

「こちらは、みんなで冗談まじりに話していたことが現実になったという感じです。普段からよく日本語曲をプレイしている方を呼んでも面白くないなと思ったので、意外性のある方にお願いしました。まだプランニング中なのですが、MUROさんは和モノセットをプレイするとか。大沢伸一さんはご自身が今年日本語曲のアルバムを出したりしていますし、Licaxxxさんは、実際そうなるかは未定ですけど、男性アイドル縛りでいこうかとおっしゃっていたり、とても面白くなりそうです」

──そうやって、出演する方々とも、どんな内容にしていくのかを話し合って企画を作り上げていくんですね。実行委員会から一方的にオファーするだけでなく。

「そうなんです。いろんな人と話しながら決まっていく部分も多いです。もちろん、忙しい方だと直接お会いしてディスカッションするには至らない人もいますけど、なるべく対面で話す機会を設けるようにしています」

──こうして話をうかがっていると、フェスに参加するリスナーはもちろん、出演者の方たち、さらには、作っているスタッフ自身も、ジャンルの壁を超えた異文化に出会うことで、新たな自分を発見するというのが、この「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2017」のひとつの大きなテーマのように感じます。アーティスト自身も、自分ではやろうと思わなかったことに挑戦して、新たな可能性が広がるというか。

「今話していて、僕もそうだなと思ってました(笑)。たぶんそういうことですよね。リスナーが新しいジャンルに触れるということもそうですけど、今おっしゃっていただいたみたいに、出演する側も企画を作ってる側も、たぶんそうなんですよ。新しい発見や刺激を生む場所を常に作っていくっていうのが、きっとレッドブルらしいんだと思います」

──その異ジャンルのコラボ企画としてすごく驚いたのが、13日の「ENTER THE NOISE 騒音楽舞踏競奏」。ノイズミュージックの雄、MERZBOWと、パフォーマンスアート集団、ANTIBODIES Collctiveの共演がどんな化学反応を生むのか、楽しみにしている人も多いと思います。

「異色の組み合わせですが、その意外性だけじゃなくて、足を運んでくれた人たちがちゃんと共感できるものにしないといけないので、演出面にはすごく工夫をしています。2014年にも、ノイズのイベントをやったんですけど、その時はオールナイトでした。ノイズ音楽の中でも『オン』と『オフ』の音があって、イベントを二部構成にして、第一部では『オン』を体感してもらって、第二部は『オフ』モードのノイズの中で、朝までみんなで灰野敬二さんと一緒に寝るっていう(笑)。その時は、いかに寝やすい空間を作るかっていうことに知恵を絞りました。今回はどうなるのか、僕たちも楽しみにしています」

──その灰野敬二さんは、今回は15日の「ROUND ROBIN 一発本番即興演奏」に出演されますね。こちらの即興セッションも、名だたるミュージシャンたちが参加しますし、どんな音が生まれてくるのか、とてもスリリングです。「ENTER THE NOISE」が気になってる人の中には「ROUND ROBIN」にも足を運びたくなるという人が多そうですね。

「そうですね。今回、14個も企画がある中で、ひとつに足を運べば、もうひとつくらいは『これにも行きたい』というのが必ず見つかるはずです。一般的なフェスで言えば、通りがかりのステージでたまたま見かけて新しいアーティストを発見するみたいなイメージですね」

東京だけでなく全国でサテライト的にやりたい


──そしてフェスのラストには「DIGGIN' IN THE CARTS 電子遊戯音楽祭」という、ゲーム・ミュージックに特化した企画がラインナップされています。

「もともと『DIGGIN’ IN THE CARTS』というゲーム音楽のドキュメンタリーを2014年に日本発信で作ったんですが、世界的に大きな話題になったんですよね。ゲームはどうしてもプレイのことだけが語られがちですけど、そこにはすべて音楽がついていて、実際にその音楽を作っている人たちがいるわけで、それって一体誰なの?っていうところにフォーカスしたドキュメンタリーなんです。ゲーム音楽好きの人からしたら、『よくぞここに焦点を当ててくれた』っていう作品だったし、ただのBGMだと思っていた人からしたら、『まさかそんないろいろな人が関わってなんて』という発見でもあって。海外のテクノ系のアーティストも、クラブとかでダンス音楽と触れ合う前には、実はゲーム音楽で電子音に触れていたんだっていうところから始まって。それでゲーム音楽ばかりを集めたコンピレーションを制作して全世界でリリースすることにしたので、それを記念したライブツアーがロンドン、ロサンゼルス、東京で行われることになったんです。その東京公演が、この日のイベントという位置付けです」

──フェスのラストを飾るということもあって、熱い思いがこもっていそうですね。

「個人的な話になってしまいますが、僕自身、もともとテクノがすごく好きなんですけど、ゲーム音楽には正直そこまで詳しくなかったんです。どちらかというとチップチューンが苦手だったくらいで。でも、ローランドやAKAIの機材を使ってテクノミュージックを作る工程も、ゲーム音楽の8ビットとか16ビットの限られた中で、いかにいいメロディを作っていくかっていうのと同じ苦労だっていう話を聞いて、『ゲーム音楽もテクノなんだ』って意識するようになったんですよね」

──それこそ、「興味のなかった分野が実は自分の中でつながっていた」っていう発見で、今回のフェスのテーマともリンクする話ですね。

「そうですね。フェスを作っているほうにも、そういう面白さがあるので、素敵だなあと思います」

──今日いろいろお話をうかがって、フェスのコンセプトを明確に理解することができました。ありがとうございました。このフェスは、今後も毎年継続して行っていきますか?

「来年以降は、東京はもちろん、海外の都市でもフェスをやっていく予定です。このフェスの元祖にもなっている『レッドブル・ミュージック・アカデミー』は、もう20年くらい続いているイベントなので、『RED BULL MUSIC FESTIVAL』のほうも長く続けていけたらいいですね」

──日本では、東京以外の都市での開催は、今のところ考えていませんか?

「東京だけじゃなくて、大阪でもやろうとか、日本全国でサテライト的にやろうという企画も出ていたんですよ、最初は。でもそれではスタッフの体が持たないだろうということで、今回は東京だけになりました(笑)。だから、ゆくゆくは大阪をはじめとして、サテライトでの開催も可能性としてはあったらいいなと思っています」

次のページイベント情報はこちら!
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする