なぜVAMPSは世界に挑み続けたのか? 激動の2017年を振り返る

日本だけにいるとどうしてもハングリーさに欠けてくる(HYDE)


――ボーダレスな視点を持てているのも、これまでの経験ゆえだと思うんですよね。そういう皮膚感覚が、『UNDERWORLD』っていうアルバムにも活きてるし、今回リリースされる映像作品『VAMPS LIVE 2017 UNDERWORLD』に収録されているツアーの映像――「ホーム」である国内のライブ映像にも出てると思うんですよね。ホームではあるけど、いやホームだからこそ挑みに行くっていう。

K.A.Z やっぱり、自分たちが海外のツアーを回ってきて得た刺激だったりとかそういうものを、ライブとしてもちろん日本でも観せていきたいっていうのもあるし。アルバムを作って、でっかい波を作りたいっていうのもあるから。でも、それをやるには挑まないと、波はできないし。いろんなところで波を作って、大きな一個の波にしたいと思ってるから。そのためには、その場所に行って、実際に空気を吸って、人と触れ合って、演奏して、ダメだったところを「何が違うか」って考えて――やっぱり、一個の場所にずっといたら、いいものがわからなくなるんですよね。同じものをずっと食べてても、それが美味しいのか不味いのかもわからなくなるし。でも、海外に行けば、もっと美味しいものもいっぱいあるだろうし、食べたことなくてびっくりすることもあるだろうし。それがまあ、バンドを通してできるっていう。それはすごく幸せなことだと思いますね。ツアーを回ってきて、みんなタフになってくるし。

――収録されているZepp Osaka Bayside公演での、HYDEさんの獰猛な挑み具合はすごいですよね。

HYDE そうですね。もちろん、この大阪の、来てるお客さんに対してのライブではあるんですけど、その向こうにやっぱり、僕はアメリカを見てるので。この映像をアメリカに届けるためのライブでもあると思ってますから。そういう気持ちが出てるんじゃないかと思いますね。今はそういう、日本のものでもありながらも、そのコンテンツをどんどん輸出していかないと、アメリカでの宣伝力みたいなものは全然足りないので。常にそういうことは、日本のライブでも意識するようになりましたね。

――“RISE UP”の獰猛さも、別曲か?ってくらいさらにアップしてますからね。

HYDE あ、そう? うーん……ちょっとお腹空いてたのかもしれない(笑)。

――単に「アメリカで興行的な成功を収めたい」っていうよりは、もっと「音楽的にユニバーサルな表現でありたい」っていうような情熱が、このライブを貫いている気がしますね。

HYDE うん。やっぱり、日本だけにいると、独特の――安堵感じゃないけど、そういう独特の空気感があるんでね。どうしてもハングリーさに欠けてくるかなっていう気がするんですよね。海外を見つめることによって、常に「どこから見られても大丈夫」な状態にしておきたいなって思いますね。

次の課題として、進化したいなと思いますね(HYDE)


――『UNDERWORLD』っていうアルバムを持って駆け抜けてこれたっていうのは、この1年間の活動を支える原動力として相当大きかったと思うんですけど。

HYDE そうだと思う。現地のアーティストと同じように、プロデューサーっていう存在と音楽を作っていくっていう、初めての作品だからね。やっぱりそれによって、得るものはすごく大きかったし。向こうのファンの反応も違うかなっていう気がしますね。

K.A.Z 今回、「もっと海外に入り込もう」っていうことで、ケイン・チュルコとハワード・ベンソンっていうふたりのプロデューサーを立てて――現地の人しか感じられない雰囲気だとか空気感っていうのはあると思うんですよ。実際、そこに住んで、そこのシーンをずっと見てきた人の。自分たちも、もちろん海外のツアーをやって、いろいろ見てきたけど、もっとディープなところっていうことで、「曲の形をどうするか」とか、曲調だったりとか、そういうところからスタートして、彼らの力を借りようって。で、今あるアイディアとかをもっとよくしてアルバムを作る、っていう……それをやったことによって、今までにない手応えももちろん感じたし。素晴らしいふたりのブレインと、彼らの周りの素晴らしいスタッフもいるから、そこでのアイディアももちろん盛り込んだりしていって、すごく自信作ができて。ケインとレコーディングして一番最初にできた曲が“CALLING”で。それを聴いて「めっちゃカッコいいな!」ってテンションも上がったし、次のレコーディングも楽しみになった。で、また1曲2曲とできあがっていって、「これは一旦日本に帰ってやって、また向こうに行って残りの曲をやって」みたいな繰り返しだったんですけど、それをやってる意味があったなって思うし。周りの人たちが聴いて「これ、すごいね!」「普通に洋楽だね」って――僕はその「普通に洋楽だね」っていうのはすごい褒め言葉だと思っていて。やっぱりみんな、どっかしら洋楽に憧れてる部分はあると思うし、自分自身ももちろん憧れてるし。それができたことによって、自分もステップアップできたなと。ツアーを回ってても、新しい曲を提げてやるっていうのは楽しみだし。あっちの人がどういうふうに反応するのかとか、他の一緒に出てるバンドから「いいよ!」って言われるのは自信にもつながるし。あっちに行ったら新人だからね(笑)。でも、そういうところから這い上がって、あそこ(アメリカ)の頂点を掴んでるわけだし。だからこそ応援してくれるファンが出てくるんだと思うし。

――『UNDERWORLD』の曲をやってる時の手応えは、これまでと違うものでしたか?

HYDE うん。アメリカでももちろんあったけど、日本でも――これまでと雰囲気は違うけれども、それなりに反応は悪くなくて。(セットリストに)アルバム全曲入れてるし。これまでよりも、メニューを変更しないで、なるべくストレートにやった感じですね。これまでのアルバムは、1枚で2年ぐらい回ったりしてたから、毎日メニューを変えないとお客さんも変化がないかなあと思ってたんだけど。今回はもう、自分でも本数がわかってたので、じっくり全部浸透するまでやろうと思って。ツアー初日から、もうアルバム全曲やってたんですよ。でもすごい、最初から反応よかったですね。

――『UNDERWORLD』のリリースタイミングで、HYDEさんはいろんなところで「次は決定的なアルバムになる」ということをおっしゃっていて。この1年を経て、よりその確信は深まった感じですか?

HYDE そうですね。今回、初めてプロデューサーと一緒にやったことによって、「やり方がわかった」っていうところも大きいかなと思って。「このスタイルでやるんだったら、次回はこうしたいな」っていうのが、たぶんそれぞれあると思うし。僕もやっぱりそこは――次の課題としてね、進化したいなと思いますね。

K.A.Z とにかく、いい曲がないと始まらないなっていう部分はもちろんあるし。多くの人に聴いてもらうためには、実際にその場に行かないと伝わらないっていう部分も、ライブをやってて感じるし。世の中にはものすごい数のバンドがいて、みんなアルバムを出してて。だけど、出しただけだと伝わらない部分ももちろんあったりして。実際そこに行ってライブをやって、っていうことは必要だなって思いますね。

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