ばってん少女隊、初インタビュー! アイドルの枠を自ら壊しにかかる――今のモチベーションの根源を語る

ばってん少女隊、初インタビュー! アイドルの枠を自ら壊しにかかる――今のモチベーションの根源を語る

新しいジャンルの曲をやるようになってきてから、最新の技術でライブをすることも経験して、「こういうライブの在り方もあるんだな」ってすごく勉強になりました(瀬田)

――蒼井りるあさん、柳美舞さんが1年前に加入して6人体制となり、“OiSa”以降サウンドもガラッと変わってきていて、ばってん少女隊は新フェーズに入ったと言えるんじゃないかと思っているのですが、みなさんはばってん少女隊がどんなふうに変化・進化した一年だったと感じていますか?

上田理子 “OiSa”を筆頭に、たくさんの方に私たちのことを知っていただく機会になった、そんな一年になったのかなとは思っていて。昔はヘドバンとかしてたので。今もしてるんですけど(笑)、でもそうじゃない一面も見せられるライブができるようになったのは強みだなと思っています。

瀬田さくら ばってん少女隊は、これまでロック、スカコアをやってきたんですけど、“OiSa”、“わた恋”(“わたし、恋始めたってよ!”/2021年11月リリース)、新曲“YOIMIYA”とかで今新しいジャンルを試してみている状態で。そういう曲もやるようになってきてから、5G、Volumetric Video(被写体を全方位から撮影し、そのまま3Dコンテンツを作成できる技術)、VRとか最新の技術でライブをすることも経験して、「こういうライブの在り方もあるんだな」ってすごく勉強になりました。

希山愛 この一年はすごくあっという間で。りるあちゃんと美舞ちゃんが入ってきてくれてからふたりのフレッシュなパワーをたくさんもらって、私たちももっともっと頑張らんとって思うことができました。今まで以上にメンバーで「もっとこうしよう」とかいろんな話をたくさんして、より仲も深まったなってすごく思います。

――この一年は、グループ内でどういった話し合いをすることが多かったんですか?

希山 たとえば、これまでは(あらかじめ内容の)決められたライブをやることが多かったんですけど、今はセトリを考えるところから一緒に参加させていただいたり。

上田 今までは演出家さんとかが決めてたんですけど。

――そこをメンバーのみなさんで。

上田 はい。りるあちゃん、美舞ちゃんが入ってきてくれて最初のワンマンライブが6周年記念だったこともあって、そこで私たちがどういうライブをしたいのかとかを話し始めたのがきっかけだったかもしれないです。

春乃きいな これまではそんな分野に自分たちが口出ししちゃダメだ、みたいな固定観念があったんですけど、せっかくそうやって参加させていただけたり意見を聞いてくださったりするなら、自分たちなりに考えて、何か自分たちから出るものでライブやミュージックビデオをもっと作っていけたらなって思ってます。

上田 アーティストさん、バンドさんはそこも含めてやってると思うので、アイドルだから任せっきりとかじゃなくしていきたいなとは思いますね。

――その意識変化についてもっと詳しく聞く前に、りるあさん、美舞さんは、ご自身にとってどんな一年だったかを聞かせてもらえますか。

蒼井 全部が初めての経験で。見るもの感じるもの全部が初めてだったし、どんどん時間が過ぎ去っていって、めちゃあっという間だったけど、振り返ってみるとすごく濃い一年だったなと思います。アイドルになることが夢だったのでステージから見る景色に感動したし、ファンのみなさんの温かさや周りの方からの支えをたくさん感じた一年でした。

 すごくいろんなことを学んだ一年でした。初めてのことが多くて、たくさんの人に支えられたなと思います。最初のお披露目ライブは配信だったんですけど、どんどんお客さんと会えるライブが増えてきて、やっぱりお客さんと直接コミュニケーションできるライブは自分も力をもらうし楽しいなと思います。それまでの練習が大変だったり不安なことがあったりしても、そこで勇気をもらってもっと頑張ろうって思えるので。

上田 アイドルになってから初のお披露目で、お面を被って、“OiSa”をやったのは衝撃的だったよなって思います(笑)。

春乃 「あれ、私アイドルになったよな?」って思うよね(笑)。

瀬田 やっぱりアイドルのイメージって、ちょっとフリフリなイメージとかを最初は持ってたので、“OiSa”で最初に出たのは不思議な感じだろうなって。ふたりはどういう気持ちだったんだろうって思うくらい(笑)。

蒼井 緊張してたんですけど、周りを見てもみんなお面を被ってるから、「大丈夫だよ」とか言ってもらっても、なんか……。

春乃 般若の顔とかで「大丈夫だよ」って言われてもね(笑)。

上田 怖いからね(笑)。

蒼井 怖いのもちょっとありました(笑)。

理不尽さを歌う曲も、アイドルが歌うからこそ違う刺さり方ができる気がするので、心に届いていたらいいなって思いますね(春乃)

――“OiSa”以降、ばってん少女隊はなぜ音楽性を変えた、広げていったのだと考えてますか?

上田 ライブのセットリストとかもそうですけど、ひとつ大きかったのは「BATTEN Records」を立ち上げてから、私たちも「こういう曲にしたい」って参加させていただけるようになったことで。今まで私たちが踏み込んでいいと思ってなかった世界に踏み込めるようになりました。

――「こういう曲がやりたいです」って意見やアイデアを、結構メンバーから言うんですか?

上田 まだそんなにがっつり入れるわけではないですけど、“OiSa”とか、和の要素を取り入れた曲をやりたいとは言ってました。“OiSa”ほど和になるとは思ってなかったですけど(笑)。

――和のテイストを取り入れたかったのはどうしてだったんですか?

上田 そもそも、九州には歴史のあるものが残ってることが多いというか。

瀬田 山笠、博多どんたく、(筥崎宮)放生会とかお祭りもありますし、神社とかもたくさんありますし。和のほうが親しみを持っていただきやすいんじゃないかなと思いました。

――たしかに。渋谷はどんどん新しい建物に変わっていくけれど。

上田 “YOIMIYA”にもつながっていくんですけど、どんどん新しくなっていく中で変わらないものの素敵さを伝えていけるといいなと思ってます。

瀬田 あと、個人的に思ったのは、おじいちゃんおばあちゃんがライブを観に来てくれた時に、楽しそうにはしてくれてるんですけどノリ方がわからないような雰囲気をしてて、でも和の曲とかはすごくノリノリで楽しそうな感じで。九州には若い子も多いけどおじいちゃんおばあちゃんも多いので、そのほうがよりたくさんの方に楽しんでもらえるのかもと思ったりしました。

春乃 前までは声が出せてワーッて盛り上がる曲、楽しくて(お客さんを)巻き込める曲を、と思ってたけど、今はライブで声を出せないし距離を取ったりしなきゃいけないので、その中で楽しめる曲というのは難しいなと思いながらも、私たちの世界観で魅せるというのが今のご時世にも合ってるのかなと思います。あとはやっぱり海外。和の要素のある曲で日本の素晴らしさを伝えたいし、そうすると海外で日本が好きな方とかも興味を持ってくださるかなって思いますね。

――“OiSa”は歌詞も斬新ですよね。コロナ時代を射抜く歌詞なんだけど、特にさくらさんが歌っている《ほらね真っ当に生きてしまうから/満身創痍だ満身創痍だ》を一生懸命アイドルをやってる人が歌うというのが衝撃的で、いろんな意味を帯びてくるなというふうに思います。

瀬田 “OiSa”を聴いていくうちに、ファンの方や友達となかなか会えない状況に「寂しいな」、「みんなに会いたいな」という気持ちになってきて、そういうことを思いながら切ない気持ちで歌ってたら、渡邊忍さん(“OiSa”の作詞作曲・プロデュース)に「悲しみ成分いっぱいでいいね」って言っていただきました。

上田 コロナ禍の状況もあると思うんですけど、私は歌詞を見た時に誹謗中傷のこともよぎって。そういう事件もあったから。理不尽さみたいなものはすごく表されてるなと思って。

春乃 アイドルの歌って、基本的に楽しい曲が多かったり、失恋ソングだったら悲しい感じも入るけど、理不尽さを歌う曲はなかなかないよなと思います。アイドルが歌うからこそ違う刺さり方ができる気がするので、心に届いていたらいいなって思いますね。

次のページ「アイドルだから」って毛嫌いされるような方にも届いてほしいって前から言ってたんですけど、さらにそう思うようになってきた(春乃)
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