ばってん少女隊、前代未聞のアルバム『九祭』を語る。今日までの悔しさ、アイドルであることを背負って磨き上げる覚悟

ばってん少女隊、前代未聞のアルバム『九祭』を語る。今日までの悔しさ、アイドルであることを背負って磨き上げる覚悟

身体に馴染ませるのも難しかったんですけど、できあがりを聴いたらメンバーの声とすごくマッチしているしかっこいいアルバムになったんじゃないかなと思います(上田)

――アルバム、めちゃくちゃびっくりしました。

上田理子・春乃きいな あははは(笑)。

――音楽グループとして未開の地に踏み込んだ、と言えるアルバムができあがっていると思います。まずはひとりずつ、手応えを聞かせてもらえますか。

上田 “OiSa”からたくさんの方に聴いていただけて、次はどんなアルバムになるんだろうってすごくドキドキしてたんですよ。実際、すごい方が提供してくださった曲がどんどん届いて、身体に馴染ませるのも難しかったんですけど、できあがりを聴いたらメンバーの声とすごくマッチしているしかっこいいアルバムになったんじゃないかなと思います。

春乃 ばってん少女隊としては4枚目なんですけど、新体制になってからは初のアルバムで。九州をメインテーマに置いてそれぞれの県の特色が表れた曲が仕上がって、こういったコンセプトでアルバムを作るのは九州を拠点に活動している私たちだからできたことだなと思います。それぞれの曲の中に県にまつわるキーワードがちりばめられているので、このアルバムを聴いて「行ってみようかな」って、各県をスタンプラリーみたいに楽しんでもらうのもありかなと思っていて。なので本当に、全国のみなさんに届いてほしいなと思います。

瀬田さくら こうやって九州の良さを一気に知ってもらえる機会ってなかなかないから、九州の各県をモチーフにした曲が詰まったアルバムを作ることができてすごく嬉しいです。九州に住んでいる方が聴くと「あの場所ね」「この方言が入ってるね」とかがわかると思うし、逆に九州を知らない方は「こういうところがあるんだ」って新しい文化に触れる機会になると嬉しいなって思います。

希山愛 私たちは「九州を盛り上げたい」という想いで活動しているので、こうやって1県ずつ歌うことができるのはすごく嬉しいですし、これでもっともっと九州の魅力をみなさんに知ってもらって、「ここに行ってみたいな」と思ってもらえたらなって思います。レコーディングの前は「本当にこの曲歌えるのかな」と思う曲がたくさんあったんですけど、完成した音源を聴くとみんなの良さがたくさん出ているし、それぞれに合った曲になっていて、すごく面白いなと思いました。

蒼井りるあ 私にとっては初めてのアルバムで、一気に(複数の)曲をレコーディングすることも初めてで。しかも、1曲1曲が初めての雰囲気のものばかりで「どうしよう」と思ってたんです。でも、届く曲がすごくかっこよくて、新しい曲が来るたびに「この曲も好き」と感じたので、それらをみなさんにお届けする時にはもっとかっこよくできるように頑張ろうと思ってレコーディングしました。完成した音源を聴いたらめっちゃかっこよくて、しかもその中に自分の声も入っていることがすごく嬉しくて。九州の各県の雰囲気や良さがそれぞれの曲に出ていて面白いなって思います。こういうアルバムに出会ったことがなかったから、みなさんにお届けするのが楽しみです。

柳美舞 りるあちゃんと同じように私にとっても初めてのアルバムで。今までのアルバムは聴くだけだったから、自分の声が入ったものを想像できなくてすごく楽しみにしてました。九州を拠点に活動しているグループとして、地元愛がぎゅっと詰まったアルバムを残せることがすごく嬉しいなって思ったし、それぞれの曲が届いた時に「この歌詞わかる」「このイメージはこの県に合う」とかを感じられるのもすごく嬉しかったです。でもレコーディングの時は、曲ごとの雰囲気を声で表現するのがすごく難しくて。完成したものがみなさんに届いた時、どんな感想をもらえるのかが楽しみです。

アイドル業界の中でファンの方たちが推しを変えていくとかではなくて、アイドルのことを好きじゃない人からも好きになってもらわないと(瀬田)

――九州の各県をモチーフにして曲を作るというコンセプトもそうですが、まず音や歌にびっくりしたところが大きくて。「絶対にアイドル好き以外の人たちにも届けてやる」というみんなの執念で辿りついた音楽ができあがってると思うんですね。改めてこのタイミングで、そもそもばってん少女隊の「アイドル好き以外にもしっかりと届けていきたい」という強い想いはどこから湧いてきたのかを聞かせてもらってもいいですか。

上田 結成当初から私たちはバンドサウンドだったり、いわゆるアイドルソング以外のものを歌っていたんですけど、そもそも私たちのスキルが楽曲に追いついてないという悔しさがあったんです。たくさんの方が観てくださる機会があっても、楽曲がどれだけかっこよくても、「アイドルだし」「幼いし」みたいに見られるのが悔しかったのもあるし。せっかくこんなにかっこよくて楽しい楽曲があるんだからもっともっと届けたい、という気持ちはもうずっと私たちの心の中にあって。それで“OiSa”の時に、それまでのスカコアとかバンドサウンドから一転したことで本当にたくさんの方に知っていただけて、“OiSa”きっかけで「初めてアイドルにハマりました」と言ってくださる方もいて。昔は「この曲を届けたい。だからアイドルというフィルターを通さないでほしい」というのが大きかったんですけど、最近はアイドルが歌っていることを強みにして曲を届けたいなと思ってます。楽曲が掛け橋になったらいいなって。

瀬田 確かに理子が言ったみたいに、結成当初からいろんなステージに立たせていただいて、アイドルファンの方の前でもロックが好きな方の前でもライブをしてきたんですけど、アイドル好きの方にとっても、ばってん少女隊がやってきた楽曲はあまりアイドルっぽくないのもあって、ライブで馴染んでくださる方が思っているより多くなかったという印象があります。その中でもハマってくださる方はハマってくださるんですけど。このアイドル業界の中でファンの方たちが移動していく、推しを変えていくとかではなくて、アイドルのことを好きじゃない人からも好きになってもらわないと、どんどん盛り上げたいのにそうはいかないよね、ということを私は思っていたので。今までやってきた楽曲も、今回のアルバムの楽曲も、アイドルにはなかなかない曲調で面白いノリ方や楽しみ方ができると思うので、アイドルファンの方にも聴いていただきたいけど、アイドルとかを知らない方にも聴いてもらって、「ばってん少女隊からアイドルを好きになったよ」という方が増えていくといいなって思ってます。

――自分たちがアイドルであることを背負って、アイドルという概念も受け手の捉え方も広げていきたいということですよね。自分たちのことだけでなく、文化全体の発展ということも意識されているんだなと思いました。きいなさんはどうですか?

春乃 理子とさくらが話してくれたように、結成から数年くらいはモヤモヤじゃないけど、「もうちょっとうまくできないかな」みたいな想いがあったので。私はアイドルという括りをちょっと窮屈に感じていた時期もあったんですけど、今思うと、いろんなジャンルの音楽をひとつのライブの中でできるのも、新しくアルバムを出すとなればさらに広いジャンルの曲をいただけるのも、振り付けやビジュアルとかいろんな方面で曲を魅せられるのも、アイドルならではというか。昔はアイドルってすごく狭くてギチギチというふうに感じていたんですけど、今はアイドルってすっごく広いなと思うようになりました。今こういうふうにアルバムでもライブでもいろんなことができて、それを自分たちもいいなと思えているからこそ、アイドルを毛嫌いしてきた方にも曲を聴いてもらったりライブをちょっとでも観てもらったりしたいなと思います。

――そうやってアイドルならではの可能性を感じられるようになったのは、“OiSa”以降が大きいですか?

春乃 そうですね、私はそうかなと思います。そもそも“OiSa”も私たちの中では未知の楽曲で、最初は「どう歌えばいいのだろう」「どんなパフォーマンスになるんだろう」という気持ちだったんですけど、それがたくさんの人の耳に残って、ばってん少女隊を知ってくれる人たちが増えて、そういう広がりってあるんだって思ったし。“OiSa”に出会えたのもアイドルだったからだなと思ったりもして。そこから先もいろんなジャンルの音楽に出会ったり、いろんなフェスに出させてもらえたりして、広がっていく様子を感じるとアイドルってすっごく広いしいいなというふうに思えました。

次のページすごく自信のあるアルバムができたので、たくさんの方に聴いてもらいたいし、「九州と言ったらばってん少女隊だよね」って思ってもらえるような存在になりたい(希山)
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