神はサイコロを振らない、ドラマ挿入歌の新曲“修羅の巷”に注ぎ込んだ「ロックの肉体性」と「進化への覚悟」

神はサイコロを振らない、ドラマ挿入歌の新曲“修羅の巷”に注ぎ込んだ「ロックの肉体性」と「進化への覚悟」

基本的に神サイって「弱い部分も肯定する」スタイルですけど、“修羅の巷”は「自分以外全員敵でも立ち向かえや!」っていう曲

――サビの《無様にいこうぜ/愚か者と嘲笑われたって》のフレーズが、楽曲やサウンドも含めたこの“修羅の巷”のモードを象徴している感じがして。歌い続けていくことで、どんどん重要な意味を持ってくる曲のような気がします。

柳田 泥臭く、でもまっすぐに諦めずにやっていれば、いつかは報われるんじゃないかな?っていう期待も込めて、言い聞かせるようにしているというか。「結局なんのために頑張ってんだろう?」とか、「そもそもなんで音楽やってるんだっけ?」みたいなことを思うことは、バンドを結成して8年の間に何回もあったんです。今回、日曜劇場の曲を担当させてもらえるって決まった時も、「本当に着地できるのかな?」「俺なんかが、ドラマに見合う曲が書けるのかな?」って不安もあったし、すぐに「はい、やります」とは言えなかったですけど。悩んで、慎重に考えて……中途半端な気持ちでは超えられない機会だと思ったので、覚悟を決めて臨みました。ただやりたいことをやるんだったら、それはプロじゃないと思うんです。このメジャーという舞台で、神サイの楽曲を多くの人に聴いてもらうために、たくさんの人がすごい時間をかけて動いてくれて、ライブをやるとなれば設営の人が前の日から徹夜でやってくれたりしてるので、ちゃんといろんな人が納得できるものを出していきたいです。そこに対しての鼓舞のような思いはありますね。

――そういう、現実の中でちゃんと闘っていこうとする意志が、この曲のロック感に直結している感じはありますよね。居心地のいい場所で楽しくやっていくのは誰にでもできるけど、表舞台で闘っていく機会はそんなにないわけで。そういうトライアルの果実としても、大事な曲だと思いました。

柳田 そうですね。基本的に神サイのスタイルって、わりと全部を肯定してあげたいというか。弱い部分であったり、人には言えない部分みたいなものも肯定してあげたい、っていうことをライブとかでは伝えてるんですけど。この曲は珍しく「逃げるな」っていう、力強いメッセージがあって。どれだけ笑われても、失敗しても、自分以外全員敵になっても、それでも立ち向かえや!っていう、ストロング系な楽曲――これまでの神サイにもそういう曲はあるんですけど、それ自体をテーマに曲を書くことはなかなかなかったんですよね。そういうテーマを、ドラマの挿入歌として書けたっていうのは大きいことだなって。お茶の間にそういうメッセージを届けられるって、なかなかないチャンスなので。覚悟を決めて、このお話を受けてよかったなと思いました。

ポップな曲でもハッピーな曲でもない、ザ・ロックな楽曲で、どこまでフェスのお客さんを巻き込めるか?っていう

――9月には新作アルバムがリリースされることも発表されています。発売の5ヶ月前にアルバムの告知というのは、最近では珍しいくらい早いですが、もう制作は終了しているんですか?

柳田 あ、いえいえ全然、絶賛制作中です(笑)。でも、Rin音くんと一緒に作った“六畳の電波塔”以降6曲リリースしたことになるので、“修羅の巷”に至るまでに、たくさんデモもできてて、やりたいこと、表現したいこともたくさん増えてきているので、もっともっと挑戦を続けていきたいなって。今までやれてなかったようなアプローチもいっぱいしたいし――今回は歌でも、今まででいちばん難しいくらいの挑戦ができたので、もっと難しい曲も作ってみたいです。「おお、そんなこともやっちゃえるんだ?」っていうバンドになりたいので。まだ言えることは少ないんですけど(笑)、すごくポジティブに楽曲を作れている、いい段階ですね。

――1stアルバム『事象の地平線』みたいに、2枚組・全20曲とかいうボリュームでは――。

柳田 ないですね(笑)。今回はそこまで大ボリュームではないんですけど、そのぶんさらに内容が凝縮されたものができつつあります。あとは、さらにいい新録曲を書いて、バンドで表現できたらいいなと思いますね。ハイパーな曲たちもあれば、木の楽器だけで演奏するネイチャーな感じの優しい曲とかも作ってみたいと思うし。

――そして、10月からは全国8公演のホールツアーの開催も決定しています。ツアーファイナルは東京国際フォーラム ホールAですね。

柳田 去年、LINE CUBE SHIBUYAで2日間やって、「ホールの似合うバンドだな」って思えたんです。ただ、ライブハウスの闘い方とは違って、ホールでは見せ方だけじゃなくて音の作り方もまったく変わってくる。それにツアーって、演奏だけじゃなくチームのグルーヴもどんどん高まっていって、場所ごとにドラマが起きたりするので、今回のツアーもめっちゃドラマが起きると思うし、それを経ての国際フォーラムなので。でも、仙台、新潟、岡山とか、なかなか頻繁にはいけないようなところで、ホールでライブできるっていうのに、未だに実感が湧いてないんですよね。だからまずは初日の大阪・オリックス劇場でどんな景色が待ってるのか、めっちゃ楽しみですね。

――国際フォーラム ホールAって、5000人くらい入りますからね。

黒川 ……ちょっと想像つかないですね(笑)。でも、マジでみんなに「来てよかったな」って思わせる自信はあるので、期待しててほしいですね。セットリストが似てても、同じライブって絶対ないので。

――JAPAN JAM 2023を皮切りに「TOKYO・OSAKA METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2023」「百万石音楽祭2023〜ミリオンロックフェスティバル〜」とフェス出演も続きます。フェスのステージでも“修羅の巷”は聴けるんですよね?

柳田 やっていく予定です。つい先日も、フェスに向けてリハで合わせて、改めて「難しいな」って思いました(笑)。ポップな曲でもハッピーな曲でもない、ザ・ロックな曲で、どこまでフェスのお客さんを巻き込めるか?っていう……とにかく場数を踏んで、曲を仕上げていくイメージです。

吉田 1か所1か所、イベントの個性も違うので、一つひとつ向き合って、自分たちのいいところを出していけたらと思ってます。ライブによって、同じ曲でもボリュームをペダルで下げるのか、手元で下げるのかとか、演奏中にその場の雰囲気で変えることもあるし。空気感みたいなものを大事にしたいですね。

桐木 もう、スーパーシンプルに言えば――後悔させないんで、観てほしいです!(笑)。今はメンバーの士気もすごく上がってきてるし、絶対いいライブしかできないな、っていう自信しかないです。

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