【インタビュー】名古屋発ギターロックバンドの新星、cherie。その首謀者おざきれんの迷いや変化も愛する脳内に迫る!

【インタビュー】名古屋発ギターロックバンドの新星、cherie。その首謀者おざきれんの迷いや変化も愛する脳内に迫る!

完結しない、物語の続きを感じさせる歌詞がすごく好きなんですよね。続きがあるということは、その歌に終わりがないということだから

──cherieの楽曲についても訊いていきたいんですけど、楽曲制作では何から作り始めますか?

歌詞からのこともあれば曲からのこともあるし、鼻歌に歌詞がついてることもありますね。歌詞からのときは、TikTokやYouTube、アニメや映画を観て「ここの文が素敵だな」ってメモしたものをもとに広げていきます。曲からのときは、めちゃくちゃ酔っ払って帰ってきたときに思いついたメロディをボイスメモに録っておいて、翌朝起きて聴いたときに「めっちゃいい!」ってなったら曲にする、みたいな感じです。歌詞を書いてから数日後に読んだとき、メロディを歌えたら曲にするようにはしています。歌詞とメロディがマッチしているかどうかをめっちゃ意識していて──それによって、歌えるか歌えないかが変わってくると思うので。

──歌詞は実体験と想像、どちらが多いですか。

始めの一文は映画を観たりして感じたことから生まれますけど、そこからは実体験で広げていきます。でも「実体験を書こう」と思っているわけでなく、勝手にそうなってる感じです。恥ずかしいくらいに自分の人生を書いてるから、仲のいい友達が歌詞を読んだら「この《アナタ》ってあの子でしょ」ってわかると思います(笑)。それは歌詞に信ぴょう性があるってことだから、いいと思ってます。

──歌詞を読み解いていくと、cherieって「人に言えない本音と欲望を音楽にするバンド」のような気がしているんですよ。楽曲の中で「?」を頻繁に使っていたり、「~たい」と欲望を書いていたり。自身の心に問いかけて答えを出す、内省を繰り返していくことがひとつのcherieらしさだと思ったんですが、ご自身ではどう感じていますか?

確かにそうだと思いました。完結しない、物語の続きを感じさせる歌詞がすごく好きなんですよね。続きがあるということは、その歌に終わりがないということで。完結させたくないから《いつまでも一緒にいたい》とか《報われないでいて》みたいな、欲望が出ているんじゃないかと思います。「?」が多いのも確かにと思って、なんでだろうと考えてみたんですけど、かわいい感じの歌詞を書きたいときに「?」って使ってるような気がします。あざとい雰囲気を出したいときとか。

──1曲の中に詰められている感情がひとつではないのも、cherieらしさですよね。

聴いている人を退屈させたくないので。ずっと同じものをグルグルと歌っているよりは、1曲聴いたあとに何か変化があるほうが面白いじゃないですか。だから、曲の中間で(気持ちが)落ちて、最後にいくにつれてハッピーになるか、さらに落ちていく──そういう起承転結のある曲が多いですね。

──1st EP『誰よりも幸せになれ、報われろアタシ』の中には、世界観が繋がっている曲もありますよね。

“幸せと災難”は、“変わらないで”の翌年の春を描いているので、“変わらないで”の続編という感じです。EPの中で繋がっている曲は他にはないんですけど、“繰言”は前に出した“レコード”という曲と繋がっていて。“レコード”では《寂しい夜にはレコードを回そう/君となら どこへでも行けるさ》というすごくピュアなことを歌っているんですけど、ライブで歌っていく中で「きれいごとじゃないか」と感じるようになって。実際に辛いことに直面して「そんなわけなくね?」と思ったこともあって、“繰言”では《壊れかけたレコードプレイヤー》と歌っています。レコードを回すことが自分の夢になっているとしたら、それが壊れてしまったらもう回せないじゃん、と思って。


──今作の歌詞には《手作り特製棒々鶏》(“幸せ空間”)や《手作りオムライス》(“貴方依存症”)など、具体的なワードがグッと増えましたよね。

以前は「具体性を出してしまうと、当てはまる人が絞られちゃう」と思っていて、具体性のない詩的な歌詞を書きたかったんですけど、最近は「歌詞にそのまま当てはまらなくても置き換えられる」と思うようになったんです。たとえ得意料理が棒々鶏じゃなくても、カレーに置き換えて聴いてもらえばいい、って。あと、自分の実体験を知ってもらいたいという気持ちも出てきたんだと思います。人気者になったときにユーモアがあったら面白いじゃないですか。「この人はオムライスが好きなんだ」みたいな。それに、僕にしかわからない歌詞を書くことによって、僕自身が「自分の曲なんだな」って思えるなと。自分の好きなものや実体験をそのまま書くことで、自分の曲になると思うので。


好きなものをここまで追求することも初めてなので、悩めていることがとても幸せなんです

──EPをリリースされたばかりですけど、次はどのような楽曲を作りたいですか?

今作では“繰言”以外、誰かのことを歌っていたり誰かの気持ちになって歌ったりしたので、もっと自分のことを歌いたいという思いがありますね。なおかつ、もっと掘り下げた本当の恋愛を歌えたらいいな、と。「なぜうまくいかないのか」とか「何があった」とか、もっと皮肉を込めた曲があってもいいなと思っています。

──今のおざきさんは「本当の自分になりたい」フェーズなんですね。

めちゃくちゃ自分探しをしていて、いろいろとアンテナを張りながらどんな自分になるか考えてますね。たとえ選択を間違えたとしても結局は自分の糧になるから、今はすごく大事な期間なんだろうなって。もしかすると、物語を完結させない曲が多いのは「今の自分が完結してないから」なのかもしれない──完結するのは結構あとになると思いますけど(笑)。自分探しの期間に、たくさん曲を残しておきたいです。

──どうなったら「本当の自分になれた」と思えるのでしょうか?

それもわかってないんですよ(笑)。何が正解かはわからないけど、とにかく「これだ!」というものになりたい。「オーラやべえ」みたいなロックスターも理想だし、クリープハイプみたいな人間味があって聴き手が「自分と似てるな」と思える人も理想だし。理想像がありすぎて選びたい放題だから、幸せですね。学生時代は好きなことがなかったけど、今は好きなことを見つけて、追求して、その先まで見られている。好きなものをここまで追求することも初めてなので、悩めていることがとても幸せなんです。人間性も含めて、ずっと成長し続けられる気がしています。

──とはいえ、選択肢の多さゆえに不安になることはないですか?

もちろんありますし、不安が一気にくるときもあります。人間性も時期によって変わっちゃうから、選択肢の多さを楽しめるときもあれば、重荷に感じるときもあって。辛い時期が続くと辛いんですけど、落ちてる自分も好きなんですよ。好きなことだからこそ、それだけ落ち込めているわけだから。でも、結局は「幸せ」という今のマインドに戻ってきますね。

──6月15日からは、「ジャックしてやるおまえの鼓膜ツアー 2024」も始まります。

ツアーをやる機会は滅多にないので、いつもライブに来てくれている人にも、ちょっと違うものを見せたいなと思っています。ふらっとライブハウスに遊びに来た人にもかっこいいと思ってもらえるような、どんな年代の人にも何かを感じ取ってもらえるようなステージにして、僕自身も何かを見つけられたらいいなと思っています。

──おざきさんにとって、ライブとはどんなものでしょうか?

観てくれる人を別に勇気づけはしないけど、共感というか、「一緒にやっていく」みたいな感じです。僕自身、「頑張れ」って言われたら「頑張ってるんだけど」って思うし、「立ち上がれ」って言われたら「やろうとしてるし」って思っちゃうから、隣にいる感じをすごく意識しています。その日によって感情が変わるし、感情によって歌いたい曲も違うから、ライブに感情を持っていきすぎるのはどうかなと考えたこともあったけど、今ではそれこそがライブの醍醐味だと思っていて。僕にとってライブは、共感でありストレス発散。溜まっていることを出す場所、みたいな感じですね。

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