【インタビュー】アニメを通じて海外へ広がる日本の音楽──その当事者のひとりとしてBURNOUT SYNDROMESは今、何を思うのか?

【インタビュー】アニメを通じて海外へ広がる日本の音楽──その当事者のひとりとしてBURNOUT SYNDROMESは今、何を思うのか? - photo by "SUGI" Yuuya Sugiuraphoto by "SUGI" Yuuya Sugiura

「日本の音楽でもこんなにいい歌詞があるんだよ」と伝えるのは、せっかく海外に行くんだから、我々に課されたミッションだと思います(熊谷)

──BURNOUT SYNDROMESの曲のどのようなところが海外の人に受け入れられていると感じていますか? “花一匁”や“BLIZZARD”みたいな、和的情緒のあるテイストも新鮮なのかなと想像しているんですけど。

熊谷 どうなんでしょうね? 我々のアルバム曲で、めちゃくちゃ海外で受ける曲があるんです。『孔雀』に収録されていた“若草山スターマイン”は日本のお祭りの曲で、太鼓や花火の音が入っているんですけど、海外の人の受け止めているノリはメタルみたいです。めちゃめちゃヘッドバンギングをしてノってますので(笑)。

石川 海外の人は日本のお祭りの曲に触れる機会がないでしょうからね。僕らもスペインのトマト祭りの曲とかわからないですし。でも、そういうことがわからなくても「なんかいい」ってなるんやろうな。

熊谷 日本人が歌ってるという時点で、なんか和なもの感じてくれてるのかな?

──初めての海外公演は、いつでした?

石川 2017年のフランス(『SUGOI FESTIVAL』)です。

──どんな反応でした?

廣瀬 日本とはノリが違いましたね。

石川 たとえば“ヒカリアレ”は、いつもだったら1回目の《光あれ》を熊谷くんが歌い上げるんですけど、お客さんの声のほうが大きかったのは、あの時が初めてでした。「あっ! これは歌いたいんだ?」って思いました。

──2022年のアルゼンチンの『Anime-Con Argentina』のライブ映像を観たんですけど、爆発的な盛り上がりでしたよね。

熊谷 アルゼンチンはイベントで2デイズだったんですけど、90分だったんです。我々には90分のライブをできるだけのアニソンはないので、自然とアニソン以外の曲もやらなきゃいけなくなって。でも、アニソンではない曲のほうが盛り上がる瞬間もあったりして、自信になりました。

──「好きなアニメの曲だから好き」ということではなく、「このバンドの音楽、好き」という伝わり方ができたということですね。

熊谷 そうなんだと思います。「日本語のオリジナル曲でちゃんと伝わるんだ?」というのは実感としてありました。他のアーティストも多分、海外に行くとその問題にぶつかるんですけど、「意外とアニメソングじゃない自分たちの曲でも行けるんだ?」って感じるんだと思います。そういうのを積み重ねていくと、アニソンとか関係なく海外に行けるようになるのかなあという予感はしますね。

──海外展開に関しては、「英語で歌わないと本格的に勝負できないんじゃないか?」という話がよく出ますよね。この点に関してはどう思いますか?

熊谷 いまだにあれは「どうなんだろうな?」っていう感じがします。たとえばBTSの“Dynamite”も英語でしたし、日本語の曲が海外でヒットするというのは、正直なところまだ想像がつかないです。PSYの“江南スタイル”くらい強烈な曲だったら母国語の歌詞でも海外でヒットするというのはわかるけど、あれは「面白さ」という要素も大きかったように思います。やはり、本当にアメリカとかでヒットさせたいんだったら、英語で歌わないといけないんでしょうね。『デーモン・ハンターズ』の曲も英語じゃないですか。

──韓国のガールズグループが主役のNetflixのアニメ『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』の曲、ビルボードチャートで1位でしたよね。

熊谷 やっぱり英語以外でランクインするのって難しいんだと思います。でも、英語に関してネイティブに勝てるわけがないから、そこは課題ですね。アニソンの枠から出る必要はないと感じているんだったら、日本語でいいかなと思います。


──みなさんとしては、アニソンの枠から出る気持ちはあるんですか?

熊谷 私は別にない(笑)。私自身は野望、一切ないんですよ。

廣瀬 時々“FLY HIGH!!”とかを海外公演をする国の言葉で歌うことはあるんですけど、それはファンのみなさんへのサービスなので。そういえば、この前アメリカに行った時のミーティングで、「テロップを表示する時に英訳した歌詞がいいのか、ローマ字表記で日本語で歌えるようにしたほうがいいのか?」という話をした時、ほとんどの人がローマ字派だったんです。つまり歌詞の意味をアニメソングに求めているというより、一緒に歌いたいという気持ちのほうが強いんですよね。

石川 でも、僕らは歌詞の意味と内容を知ってほしいんです。

熊谷 我々は英訳をテロップにしてほしい。我々は歌詞に自信があるから。そこは意見の相違があるんです。でも、「日本語で歌いたい」という人は、アニソンの界隈の人たちだけなんです。そういう小さい枠組みの中で「英語で歌うつもりはないけど、意味は知ってほしい」という我々のようなアーティストもいれば、「英語で歌いたいんだ」というアーティストも当然いるだろうし。そういうのはアーティスト毎に異なるんでしょうね。

──歌詞の意味を伝えるために、どういうことをしているんですか?

熊谷 ステージの後ろの大きなディスプレイにMV的に映像を流しながら歌詞を表示するとかですね。英語圏は字幕文化がないので、文字を見ながら映像を観てバンドの演奏も観るって、難しいみたいです。でも、それはそれで押しつけ続けてもいいように感じています。私自身も洋楽の歌詞を見て、「歌詞、いいなあ」って思いますし、海外の人も歌詞の意味は重要視しているはずなので。「日本の音楽でもこんなにいい歌詞があるんだよ」と伝えるのは、せっかく海外に行くんだから、我々に課されたミッションとしてもいいのかなと思います。

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貫いて実験して、駄目でもいいんです。それを後の誰かが活かせばいいという考え方です。シンプルにわくわくします。「海外ってフロンティアだな」って感じるので(熊谷)

──バンドとしての強い意志を持ちながら海外での展開を模索しているお話を聞いて思い出したんですけど……熊谷さんは学生時代に「海外の人名はその国の言葉で書くべきなのでは?」と言って、世界史のテストでその方針を貫いたんですよね?

熊谷 はい(笑)。彼(石川)、その話をよくするんですよ。

石川 何度話してもいいくらい変な話だから(笑)。

熊谷 でも、それはこだわってるわけじゃないんです。

石川 それは僕もわかります。

熊谷 喧嘩を売りたいんです。

石川 そうなんです(笑)。

熊谷 反抗したいんです。

石川 正論で殴りたいっていう。

熊谷 そう!(笑)。音楽やるうえでも、それはあるんでしょうね。

──デビューした頃と比べても、その気持ちは衰えていないですか?

熊谷 はい。でも、「俺たちのほうがすごい」というようなことは、他のアーティストに対してまったく思ってなくて。せっかくやるんだったら我々にしかできないことをやらないと、実験台としての意味がないということなんです。様々なアーティストが海外に行くようになっている中、我々も実験台のひとつなんですよ。「どのやり方が有効なのか?」っていうのをレコード会社の人たちは見ているんです。我々としてはデータを差し上げるだけというか。そういう感覚があります。失敗したとしても参考になるデータは得られるので、それによってこのあとの音楽業界に貢献したいです。

廣瀬 きっと発展するものってそうなんですよ。我々は韓国ドラマが好きで、3人で韓国語で喋ってたら、韓国のフェスの関係者に「なんで韓国語で喋ってるんですか?」と訊かれて、理由を話したら「ありがとうございます! 韓国のドラマが好きでいてくれて」と言われたことがあって。つまり韓国のドラマを国策、自分たちのものとして認識しているから、感謝の言葉が出てきたんだと思います。日本のアニメもそうなっていけばいいですよね。我々が実験台になる意味も、そこにあるんだと思います。

熊谷 「全員でチームです」と私は思っています。

──海外でどのように展開していけるか模索している人、全員がチーム?

熊谷 はい。私はもともと科学者になりたかったんです。科学者って、昔から「生贄だ」って言われているんですよ。ノーベル賞を獲るような科学者は、世界中の何万人にひとり。その他は、ひとつの数式とかが正しいかどうか証明するために一生を費やすんです。光が当たるひとりの下には、ものすごい数の生贄がいるという話が私は好きで。だから私もそうでありたい。貫いて実験して、駄目でもいいんです。それを後の誰かが活かせばいいという考え方です。このスピリットでやってきたから、これだけの期間にわたってやってこられたのかなというのも思います。こういう存在を欲している人は、どこかしらにはいるんですよね。我々には変なこだわりはないから、「やりますよ」って言う。どっちかというと喧嘩をしたいだけ(笑)。「全然やりますよ。喧嘩売ってきますよ」という守りに入らないスタイルだから。そういう意味でも海外でやるのは、やったことがないことの連続なので、合っているんでしょうね。シンプルにわくわくします。「海外ってフロンティアだな」って感じるので。

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──今年の6月にリリースした20周年記念の“月光蝶”も、フロンティアを目指す気持ちを感じる曲だったと思います。

熊谷 この曲も喧嘩売ってますね。Enfantsの松本(大)くんに言われました。「おまえ、20周年の曲で、それはおかしいだろ」って(笑)。でも、それでいいんです。

──石川さんのライブでのヘッドセットマイクを着用するスタイルも、ロックバンドの定型にこだわらない尖った姿勢の表れのように感じたことがあるんですけど。

石川 あれ、なんなんでしょうね? あれで許されてるの、やばいですよ。

熊谷 あれも喧嘩ですよね。あれを始めた頃はライブハウスの人たちとかに「それはロックじゃないからやめろ」って言われたんですけど、「いや。むしろ……」と(笑)。

──(笑)。ライブに関しては、来年3月の日本でのツアーが決まっていますね。

熊谷 久しぶりのツアーなんです。海外ではやれなかったアーティスティックなことをやれるので、楽しみにしています。

──年内は、12月27日に「COUNTDOWN JAPAN」、28日は「FM802 RADIO CRAZY」への出演がありますが、これに関しては?

廣瀬 日本でのフェスも久しぶりです。

熊谷 日本でのフェスのノリを忘れているところがあるんですよ。「歌ってもらえるんだっけ?」みたいな。

廣瀬 すごく楽しみにしています。海外でライブをやる機会が増えている中で、すごく成長しているので。音楽面はもちろん、人間としても成長できてきているこの数年間なんです。それを久しぶりに国内のみなさんに示せるのを我々も楽しみにしているので、ぜひフェスとかで観ていただきたいですね。

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