【インタビュー】Vaundyの一球入魂のロックンロール! 夏の高校野球テーマソング“かげろう”、その熱い意図を語る

【インタビュー】Vaundyの一球入魂のロックンロール! 夏の高校野球テーマソング“かげろう”、その熱い意図を語る

【インタビュー】Vaundyの一球入魂のロックンロール! 夏の高校野球テーマソング“かげろう”、その熱い意図を語る

昔から、絶望の次にあるもの、もしくは絶望の中にあるものって、ロックンロールだと思ってるんです

──でも、Vaundyのリスナーは、もうそれに慣れてるよ(笑)。何か自分を救ってくれる物語を語ってくれるのかなと思いきや全然違うという、いつものパターンだって。俺は俺の話をするから(笑)。だから、この曲はメロディのほうが大事かな。♪この涙~、誰のために流せばいい~、以降は、わざとメロディが思い出せないようにしていて。俺が歌っている間にみんなはいろいろ考えて、もう1回、♪この涙~、でみんなが叫んでいくという精神的なキャッチボールが曲の中で起きてる。《ベランダに落ちた鳥か/芽吹いた花か/忘れてたあの日憧れた僕か》は僕が提案して、「いや違う」ってなるかもしれないし、確かにそう思うかもしれない。俺がこの曲を構成させるために必要な歌詞だと思ってるけど、ここはみんなの自由だから。そのために1行目の爆発力にすべてを置いて、それ以外は余韻にしてるんですよ。あと、♪この涙~、誰のために流せばいい~、って下がるのも珍しいと思う。ミッシェルもそうだけど、ロックンロールをやってる人たちって、大事なところでちゃんと落とすんですよ。ロックは上げるんですけど、ロックンロールは下げるんです。だからロックンロールに聞こえたのかもしれない。──なるほどね! シャッターを下ろすんだね。大事なところは下げて教えない。でも、邦ロックと呼ばれるものは、ちゃんと大事なところを教えるんですよ。共感のほうが大事だから。──シャッターを開けて、おいでってするんだよね。そう。だからこの曲でも最後は一応やってるんですよね。♪この涙~、誰のために流せばいい~(下げる)のあと、最後のサビで♪誰のために流せばいい~(上げる)ってやってるのはロックなんです。コード進行も変わるんですけど、前半までのコード進行は暗めで、最後のところで開くという構成になってる。ロックンロールとロックが共存した曲かもしれない。《進めばいつか/この先でまた》からめっちゃポップスになるので、最後は結構ロックかな。前半はかなりロックンロールというか、オルタナっぽい。《焼かれて逃げ水追いかけては/追いつけない。/おどけた魂が俺に魅せる幻。》は、ただかげろうを見てる時の自分がどういう状態かを描写してる。細かいことをちゃんと気にして、みんながどうでもいいと思ってることがいかにどうでもよくないかを教えるのが、ロックンロールだと思ってます。で、「じゃあどうするんだ」「俺だったらね」ができたら、ちゃんとVaundyの曲になるかなって。──ロックンロールがまったくないティーンエイジャーの世界にあえてロックンロールをぶち込むのが、最高だなと思った。弾(はじ)けるものがないのがむしろ変だなと思ってて。コロナ禍ももう冷めて、マスク世代の子たちがやっとマスクを外し始めて、就職も自分で選べるようになってきて、前よりはだいぶ明るくなったなとは思うから。その中でどういう曲が必要かを考えた時に、俺たち大変だよねっていう曲より、大変だったけどこれからこうしていったほうがいいだろ、オラー!っていう。──そこにロックンロールが有効だと思ったのはなんでなの?昔から、絶望の次にあるもの、もしくは絶望の中にあるものって、ロックンロールだと思ってるんですよ。俺は夜系世代だから、活動を始めた時は暗闇について語ろうとする人たちが多くて、それはコロナ禍があったこともあって。暗いけど、ちゃんとそこに面白さを見ようよって、わりとポジティブにやってて、その名残りがあるまま弾け始めてるのが最近の曲かなと。

野球を見て最初に浮かんだのが、やっぱりギターだったから。ジャー!ってやってる汗ビシャビシャの男しか俺の頭には思い浮かばなかった

──それを推し進めて、しかも8ビートのロックンロールになるのは、Vaundyがルーツとして好きだからだよ。これが万人の答えだとは思えないもん。いや、さっきも言いましたけど、これをやってなかったことのほうが不思議でしょうがないです。野球を見て最初に浮かんだのが、やっぱりギターだったから。ジャー!ってやってる汗ビシャビシャの男しか俺の頭には思い浮かばなかったから、こうならざるを得なかった。野球のアツさ──俺が野球をやりたくなくなった理由は、アツいからだったんですけど(笑)、そのくらい熱のこもったものなので、その鬱屈とした感じは絶対にギターでジャカジャカやってないと出ないだろうと思って。でも、サビでちゃんと解放するという。──でも、Vaundyといえば今のこのポップ全盛時代の代表選手なわけじゃん? みんなが打ち込みで情報過密な曲を作ってる時代の主人公であるVaundyが、その真逆のはっぴいえんどみたいな音にいくというのも、特殊だなと思うし。でも、俺は音楽家がやりたいことを素直にやってるだけだと思います。はっぴいえんどが好きな人ってわかるじゃないですか。俺はそこに躊躇なくいくというだけで、たぶんみんなやりたいんですよ。あと、みんなは「自分にはこういうやり方があるから、そこにちゃんと入れていかないと」って考えてるのが大きいと思います。俺は、俺がやれば何か別のものにはなるだろうって思ってるから、そこへのハードルがないかもしれない。元々、「俺とは」という芯がないから、とにかくやってみてグチャグチャって混ぜて、歳を重ねるごとに余分なものがなくなっていった時にやっと自分がわかるものだと思ってるから。Vaundyというものはそこにしかないと思うんです。でも、他のアーティストは自分がこれだってわかってるし、ちゃんとルールがあるから、あえてやらないとか、そこにどういうふうに混ぜようかが重要で。──なるほど、その違いなんだね。この曲、レコーディングはどんな感じだった?せーの、でやってます。Duran兄ィと、かっちゃん(サトウカツシロ)と、BOBOさんと、(吉田)一郎さんです。俺は一緒に歌ってなくて──この曲は歌がデモなんですよ。──ええ! ほんとにロックンロールじゃん。これは再レコーディング不可能と判断して、デモをそのまま使いました。最近、デモを使うことが多くなってきたんですよね。レコーディングではきれいになっていっちゃうので、作った時の爆発力や能力を残したいと思って。──このスケールのアーティストでデモテープを使う人って聞いたことないよ。僕は家で録ってもスタジオで録っても一緒っちゃ一緒なので、デモを使うハードルはないですね。むしろ衝動とか原動力をそのまま残したい、デモに近づけていかなきゃいけないってなったら、デモを使ったほうがいいっしょって。──それができるVaundyはほんとにすごいよ。これからは、夏フェスに向かっていく感じかな?そうですね。フェスに出て、アジアツアー(Vaundy ASIA ARENA TOUR 2026 "HORO")に入って、という感じです。で、その間もいろいろ作ってます。──曲もかなり増えてきたよね。アルバムを作ってもいいけど、シングル集にしたくなさすぎて。みんなはそれでいいって言うんだけど、俺は嫌なんですよね。『replica』の時もそうでしたけど、半分は違うことやりたくて──でも、曲が貯まりすぎて、既発曲がまた30曲くらいになる──もう20曲は超えてるんじゃないかな? だから『replica』のような2枚組形式は不可能になった(笑)。3枚組になる可能性がある。──(笑)楽しみにしてます。その前に、まずはROCK IN JAPAN FESTIVALもよろしくお願いします!9月ですね、よろしくお願いします!ヘア&メイク=東川綾子
スタイリング=髙田勇人(1729agency)このインタビューの完全版は、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』9月号に掲載!
【JAPAN最新号】Vaundyの一球入魂のロックンロール! 夏の高校野球テーマソング“かげろう”、その熱い意図を語る
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