HUSKING BEE@渋谷TSUTAYA O-EAST

HUSKING BEE@渋谷TSUTAYA O-EAST
5月からスタートしたHUSKING BEEの全国ツアー「AMU TOUR」。前半戦と後半戦からなる足掛け半年以上にも及んだ長いロードが、ここTSUTAYA O-EASTにてクライマックスを迎えた。対バンとワンマンを織り交ぜながらの本ツアーであったが、この日は堂々のワンマン公演。ツアーファイナルにふさわしくアンコール含め全35曲(!)、4月30日にリリースした7thアルバム『AMU』の収録曲はもとより、往年のキラー・チューンも惜しみなく並べたセットリストで、実に2時間半以上にもわたる熱狂を築き上げた。

SEと盛大な拍手に迎えられてオン・ステージしたHUSKING BEE。「ツアーファイナル来てくれてありがとう。HUSKING BEEはじめます」というイッソンこと磯部正文(G・Vo)の挨拶を経て、最新アルバム『AMU』でもオープニングを飾っている“Find You”でライヴをスタートさせる。大地をしっかり踏みしめるような、雄大かつ安定感あるバンドサウンド。往年のメンバーであるイッソンと平林一哉(G・Vo)に、岸野一(B・Cho)と山崎聖之(Dr・Cho)を加えた新体制での活動も早2年を迎えるが、そんなバンドの盤石ぶりを物語るような威風堂々とした幕開けである。しかし、続く“1 Minute”からは一転して猛ダッシュ。“ANCHOR”“DON’T GIVE A SHIT”など往年のナンバーも畳み掛け、瑞々しくも晴れやかな青春の風景を立ち上げていく。これにはオーディエンスも興奮の色を隠せず、モッシュやダイブを次々と巻き起こして熱のこもったバンドのプレイに応えるのであった。

HUSKING BEE@渋谷TSUTAYA O-EAST
MCでは「アルバムツアーなのに古い曲も結構やっています。だから身体が追いつかないんですよ。24歳ぐらいの時に作った曲だから(笑)」とイッソン。新メンバーの岸野と山崎とは一回りも年齢が離れていることにも触れ、「(若いふたりに)最近やっと追いつき始めて、なんとか当時の感覚が蘇ってきました」と自虐気味に笑わせる。しかしながら“Words Unheard”“Lifestyle”“らせんの夜”などの新体制後の楽曲では、イッソンの奥深い詩情と若手リズム隊の切れ味鋭いビートが融合したヴィヴィッドなサウンドが炸裂。“DON’T CARE AT ALL”“SUN MYSELF”“NEW HORIZON”などの往年のナンバーも発表当時に負けず劣らぬ爆発力で届けられていて、新体制になったことでフレッシュなエネルギーを獲得したバンドの充実をまざまざと見せつけていく。“どんどん”こと平林(ちなみに今回のツアーで“ダイナマイトどんどん”という新たなニックネームが授けられたそうです)の突き抜けたヴォーカルと、イッソンのヒリヒリとした絶唱が伸びやかに響きわたっているのも嬉しい限り。ここに来てHUSKING BEEは新たな絶頂期に突入したと言えるのではないか。

HUSKING BEE@渋谷TSUTAYA O-EAST
その後も“Just a beginning”から“欠けボタンの浜”までの4曲をアコースティック編成で届けたり、“摩訶不思議テーゼ”“the steady-state theory”の連打でフロアの拳を突き上げさせたりと、柔剛自在の展開でオーディエンスと濃密なコミュニケーションを結んでいく4人。『AMU』のレコーディングにも参加したコーラス兼キーボードの服部恵津子(katyusha)を招いて5人編成で披露した“Don’t Stop Dreamin’”“Once So Close”の2曲では、ステージ後方から射し込む黄金の光を浴びながら、眩くもエモーショナルな音像を届けて会場を優しく包み込んでいく。さらに“カナリア”“THE SUN AND THE MOON”で再びスパークすると、本編ラスト“YOU CAME BACK”へ。曲に入る前の「この曲の『グッバイ』は『ハロー』っていう意味です」というイッソンの言葉通り、再会の日を約束するような「グッバイ!」の大合唱が会場全体に響きわたったところで、全29曲に及んだ本編は華やかなクライマックスを迎えた。

HUSKING BEE@渋谷TSUTAYA O-EAST
アンコールでは、まずはイッソンひとりが登場して“後に跡”を弾き語りで披露。最近家でギターを弾いていると4歳の娘が「ギターだ!」と近寄ってくるらしく、「いつか娘にギターを教えて一緒にセッションできたら素敵だな」という細やかな夢を明かしながら、本編終盤に演奏した“Don’t Stop Dreamin’”にも通じる「夢を見続けることの大切さ」を実直な語り口で伝えていく。そして「年をとっても音楽ができて、一生歌えていたら最高です」という言葉でMCを締め括り、“大きなボートと小さなヨット”をプレイ。バンドメンバーを呼び込んで“新利の風”“FACE THE SUNFLOWER”“8.6”とキラー・チューンで攻め立てると、「来年はゆっくりマイペースに活動しながらポップな曲とかも作れたらいいなと思っています」とイッソン。さらに「これからも皆と一緒にゆっくり、しっかり歩くんだ」という前振りから“WALK”をラストに届けて大団円! 3月27日には恒例の自主企画イベント「HUSKING BEE presents New Peace vol.3」も開催予定。大きな包容力と燃えたぎる情熱を兼ね備えたHUSKING BEEの音楽は、今後もマイペースかつ着実にスケールと円熟味を増しながら、我々を優しく鼓舞してくれることだろう。(齋藤美穂)

■セットリスト

01.Find You
02.1 Minute
03.A Subtle Touch
04.A SMALL POTATO’S MIND
05.ANCHOR
06.DON’T GIVE A SHIT
07.Words Unheard
08.Feedback Loop
09.PUT ON FRESH PAINT
10.DON’T CARE AT ALL
11.Lifestyle
12.らせんの夜
13.SUN MYSELF
14.BY CHANCE
15.NEW HORIZON
16.Just a beginning
17.バランス予報
18.オーバーラップワルツ
19.欠けボタンの浜
20.A Never Ending Journey
21.Within The My Aim
22.青い点滅
23.摩訶不思議テーゼ
24.the steady-state theory
25.Don’t Stop Dreamin’
26.Once So Close
27.カナリア
28.THE SUN AND THE MOON
29.YOU CAME BACK

(encore)
30.後に跡
31.大きなボートと小さなヨット
32.新利の風
33.FACE THE SUNFLOWER
34.8.6
35.WALK
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