all pics by Sachie hamaya突如響きわたる三味線や尺八の音色をバックに、「拙者の名前は田中慎左衛門。またの名を、たなしん!」と始まったオープニングの影アナ。続けてワイヤーに吊られた忍者姿のたなしん(B・Cho)がステージ天井から現れると、満場のフロアから大爆笑が沸き起こる。……が、そこに金廣真悟(Vo・Gt)/渡邊幸一(G・Cho)/ペギ(Dr・Cho)が加わってスタートした2時間強のステージは、気づけばふいにオーディエンスの目頭を熱くさせてしまうほどの、至上のエモーションを生み出していた。2ndアルバム『inトーキョーシティ』を引っ提げた全国ツアーのファイナルとなる、Zepp Tokyo公演2DAYSの2日目である。
冒頭は“inトーキョーシティ”“アブラカタブラ”“何とかなるでしょう”と最新アルバム収録曲を連打。渡邊のメタリックなギター、たなしん&ペギの爆裂ビート、そして金廣のナイーヴながら熱のこもった歌声が、時に火花を散らすような緊張感で、時に大空を舞うような雄大さでもって、会場の景色をダイナミックに塗り替えていく。短パン一丁になった、たなしん(ちなみにこの日は持っている中で一番丈の短いパンツを履いてきたそうです)による恒例の「ファイヤー!」コールで場内の空気を燃え上がらせると、アップリフティングな楽曲群で大激走。最新アルバムの曲に“言葉にならない”“光となって”といったインディー時代の名曲を盛り込みながら、明日への扉をパンキッシュにこじ開けていくのだった。
夢を語り合う仲間の大切さを綴った“コールアップ”の前には、「今ステージに立てて胸いっぱいです。夢にまで描いたZepp Tokyoだから……」と、活動休止やメンバーチェンジを乗り越えてきた苦節14年のバンドヒストリーを明かしながら、感慨を口にする渡邊。たなしんの超絶ハイテンションな煽りだけでなく、こういったシリアスな言葉でバンドの意志を伝えるシーンも彼らのライヴの見どころである。中でも「この世界には葛藤や矛盾がいっぱいあるけど、そんな中でも前を向いて歩いていくために皆の背中を押すような音楽を届けたい」といった趣旨の金廣のMCの後、“スクランブル交差点”を届けたシーンは感動的だった。不安と希望を行き来しながら混沌とした現実を描くグッドモーニングアメリカの音楽。そのサウンドが生々しく響くのは、ありのままの現実から目をそらさずに等身大のメッセージを届けようとする彼らの実直な姿勢があってこそだということに、改めて気づかされる名演だった。
その後はイントロから大合唱が沸き起こった“未来へのスパイラル”、目も眩むような輝きに満ちた“少年”、無数のバルーンが落下する中で金廣の絶唱が響いた“STAY WITH ME”と繋いで本編終了。アンコールでは、まずは金廣ひとりが登場して“餞の詩”を弾き語りで披露する。そしてメンバー4人で“雨の日”“拝啓、ツラツストラ”の2曲を疾走感たっぷりに届けると、お待ちかねの重大発表のコーナーへ。すでに大阪と名古屋公演での重大発表では、6月10日にニューシングルを発売すること、そのレコ発イベントとして6月13日にバンド結成の地・八王子でホールワンマンと6月20日に大阪城野外音楽堂でTOTALFATとの2マンを開催すること、さらにシングルを引っ提げた「凌ぎ合うツアー 2015」を敢行することを告知している彼ら。この日新たに発表したのは、11月27日のバンド初の日本武道館ワンマン開催! この日のライヴをDVDとしてシングルと同日リリースすることも明かし、フロアの歓喜を最高潮に引き上げる。そして大ラス“空ばかり見ていた”へ――曲の終盤で発射された煌びやかな金テープが、まだまだ眩い輝きに彩られていくだろう彼らの前途を暗示しているように思えた。(齋藤美穂)
■セットリスト
01.inトーキョーシティ
02.アブラカタブラ
03.何とかなるでしょう
04.STOP THE TIME
05.言葉にならない
06.2014年6月25日我思ふ
07.光となって
08.ワンダーフルワールド
09.キャッチアンドリリース
10.ファイティングポーズ
11.春が迎えに来るまで
12.コールアップ
13.だけど不安です
14.イチ、ニッ、サンでジャンプ
15.スクランブル交差点
16.未来へのスパイラル
17.少年
18.STAY WITH ME
(encore)
19.餞の詩
20.雨の日
21.拝啓、ツラツストラ
(encore 2)
22.空ばかり見ていた