RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - RADWIMPS/ pic by 植本一子RADWIMPS/ pic by 植本一子
RADWIMPSの10年間の軌跡と、音楽の才を与えられた表現者たちが織り成す奇跡の一夜だった―――「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤」の初日となる公演がZepp Tokyoで行われた。全公演がツーマン形式で行われる今ツアーのトップバッターに選ばれたのは、米津玄師。野田洋次郎(Vo・G)は「実は今日初めて(米津と)会ったの」と話して会場を驚かせていたが、ライヴが終わってみると彼らが引き合うのは必然だと納得した。それは〈目の前に在る愛〉を絶えず歌い続けているふたりが出会った、運命的な夜だった。セットリストの掲載はもちろん楽曲や演出についての言及も極力控えるが、今後ツアーに参加する方はご注意を。

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - 米津玄師/ pic by 中野敬久米津玄師/ pic by 中野敬久
RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - 米津玄師/ pic by 中野敬久米津玄師/ pic by 中野敬久
開演時間と同時に鳴ったSEと、これから米津がステージに現れるという前触れだけで高揚した会場。そこに両手を広げて現れた米津を、驚くほどの大歓声と拍手が迎えた。そして「1,2,3」のカウントとクラップで始まった“ゴーゴー幽霊船”で、遂に「胎盤」ツアーの幕は開けられた。米津のライヴは、まるで彼に物語を読み聞かせてもらっているかのようだ。曲間に一定の間が置かれて次曲が演奏されるから、一曲ごと、というより一話ごとの余韻をしっかりと味わえる。不協和音を巧みに操り、聴く者を今まで経験したことのないような異世界へ誘う米津はまるで魔術師のよう。そんな彼が紡ぎ出した“アイネクライネ”“WOODEN DOLL”の世界のあまりの心地良さに、この音に浸ってふやけてしまいたいとさえ思った。

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - 米津玄師/ pic by 中野敬久米津玄師/ pic by 中野敬久
RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - 米津玄師/ pic by 中野敬久米津玄師/ pic by 中野敬久
そしてRADWIMPSの音楽を高校生の頃から聴いていたと話す米津は、彼らを偉大な父親だと例え、「ここに立てると決まった時に、嬉しいとか恐れ多いとか色々感情はあったんですけど、一番最初にくるのは不思議だなってことで。点と点が繋がったようでした」と心境を語った。そうして「後半の曲もRADWIMPSに捧げる気持ちでやります」と話し、ハチ名義時代の曲である“パンダヒーロー”や最新アルバム『Bremen』から“アンビリーバーズ”“Blue Jasmine”と彼自身の歴史を紐解くように次々と演奏し、この日結ばれた線を彼らに繋いだ。

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - RADWIMPS/ pic by 植本一子RADWIMPS/ pic by 植本一子
そして、米津のアクトによって会場の興奮が一番心地良いところに達した時、ステージに現れた野田、桑原彰(G・Cho)、武田祐介(B・Cho)の3人。彼らが現れた瞬間の歓声も相当だったが、この後も毎曲のイントロが鳴る度に爆発したかのような歓声が鼓膜を突き抜けていくことになる。その様子は「この曲が好きだから」というだけではなく、長年この曲に温めてもらっていた思い出たちが、イントロが鳴った瞬間に開放されているかのようだった。その光景から、RADWIMPSが10年で進んだ分ファンも同じように歩んできたこと、そして互いの道の合流地点のひとつがこの日のZepp Tokyoなのだいうことがひしと伝わってきた。

そんな会場のグルーヴにも充分驚かされたが、それ以上にメンバー3人とサポートドラマーである森瑞希(Dr)と刄田綴色(Dr)の織り成すグルーヴがとんでもなく凄まじかった。“ヒキコモリロリン”“実況中継”で感じられた、海外ツアーを終えたメンバーの圧倒的なプレイスキルもさることながら、5人が醸し出す安定感はツアー初日のクオリティとは到底思えなかった。

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - RADWIMPS/ pic by 植本一子RADWIMPS/ pic by 植本一子
そうして今ツアーがツインドラムを含めた5人編成で敢行されることはこの日初めて明らかになった訳だが、野田は森と刄田を「(山口)智史(Dr) が居なくなった分を、この天才ドラマー2人が支えてくれています」と紹介した。この布陣で10周年という節目のツアーを行うことを決めたのは、RADWIMPSを絶対に止めてはならないという固い決意の表れにほかならない。

そんな中で、曲と曲の間に会場の至る場所から叫ばれたファンからの声に対して「全部届いているよ、ありがとう」と言った野田の優しい声や、フロアへと投げられる慈愛に満ちた視線が忘れられない。さらに野田は転売目的で売買されているチケットについても言及し、「気持ちが通じ合う者同士、互いの努力が必要だと思う」と話した。冒頭でも話したが、RADWIMPSの音楽はいつも目の前に在る愛や人を歌っている。だからこそ彼らの曲はライヴという演者と聴き手の距離が最短になる場で最高に響くのだろうし、その姿勢はデビューから10年経った今も、そしてこの先も変わることはないはずだ。
彼らの立つ場所はまだ、小説でいうところのほんの数行目に過ぎない。「まだ歩く理由がある」そんな想いが込められた新曲“‘I’Novel”が、会場にいる人全員の未来を優しく照らしているように響いていた。

RADWIMPS × 米津玄師@Zepp Tokyo - RADWIMPS/ pic by 植本一子RADWIMPS/ pic by 植本一子
そんな壮大な本編が終わってのこの日のアンコールでは、本編で野田が話していた「俺、生まれて初めて自分よりでかいヴォーカルに会ったわ。すごい勇気を出して米津くんのことを〈よねっち〉って言ってみるわ」とのくだりを受け、なんと米津もステージに登場! この演出は観客へのサプライズでももちろんあるが、誰よりも米津自身が一番驚いていたことはその挙動からも明らかだった。手で顔を覆いながらたじろぐ米津へ「でも、ヴォーカリスト同士がステージに揃って何もしないわけにはいかないでしょ?」との野田の後押しで、なんと“有心論”をデュエット! 観客にとっても、恐らく米津本人にとっても、まさに奇跡のような時間となった。

ツアーも、RADWIMPSも、これからだ。彼らが歩んできた10年は決して短くはないが、続けていく覚悟と意味があるからこそ、変わらずにステージに立ち続けている。彼らがこれからも起こしていくであろう奇跡の数々をいつまでも見ていきたいと強く思えた、夢のある素晴らしいアクトだった。(峯岸利恵)
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする