「NO NUKES 2015」@豊洲PIT

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - all pics by 上山陽介all pics by 上山陽介
前日の「Acoustic Night」は、SEALDsのメンバー3名も参加してのトークセッションや、辻雄貴+シャクジ能のパフォーマンスなども加わって、より幅広い角度から音楽を通して脱原発について考えるためのフェスとなったが、2日目は昼13時の開演から夜まで、豪華で多彩な8組のバンドのライヴが一日中繰り広げられた。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - 在日ファンク 在日ファンク
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - 在日ファンク 在日ファンク
1日目にも紹介された小熊英二監督作『首相官邸の前で』と、舩橋淳監督作『フタバから遠く離れて 第三部』のトレーラー映像がスクリーンに流れたあと、オーガナイザーの坂本龍一が、「ちゃんと足があります」と冗談を飛ばしながら、前日に続いて元気な姿を見せる。そして「やめることを目指すフェス」であるという前提を改めて説明するとともに、トップバッターの在日ファンクを、自身のたっての希望で出演をしてもらった大好きなバンドとして呼び込む。MCでは、まだ教授からのラブコールにドギマギしているようだったが、脂身たっぷりのグルーヴと堂々たるステージングで会場の温度を一気に上げる在日ファンクの7人。新曲“ぬるま湯ファンク”をはじめ、そのわかりやすい言葉とキャッチーなパフォーマンスの奥に秘めた社会への批評性は、この「NO NUKES」のステージにおいて、いつも以上に鋭く刺さってきた。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - a flood of circlea flood of circle
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - a flood of circlea flood of circle
続いて「頭からブルース、ぶち込んでいいですか⁉」と“Summertime Blues Ⅱ”をかましたのは、a flood of circle。SNS主流の時代の空気に逆らうように、歌に言いたいことすべてを注ぎ込む極めてアナログなスタンスは、若手バンドとしては異色だが、だからこそどの曲もタフで伝わりやすい。佐々木亮介(Vo・G)がひとりステージに残り、最後はマイクも通さず肉声だけで広い豊洲PITの会場に響き渡らせた“BLUES MAN”に送られた惜しみない拍手は大きかった。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - HEY-SMITHHEY-SMITH
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - HEY-SMITHHEY-SMITH
さらに「NO NUKES」初登場組、3発目はHEY‐SMITH。とにかく踊って踊って踊りまくれる痛快なミクスチャーサウンドと、嫌いなものは嫌いだと明確に伝えるパンクなメッセージのドッキングが超強力。小難しく思想を語らなくても、彼らのなかにある原発反対/戦争反対のマインドは、その音楽のカッコ良さによって脳味噌ではなく、肉体に染み入ってくる。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - NAMBA69NAMBA69
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - NAMBA69NAMBA69
そして昨年は、難波章浩(Vo・B)の喉の損傷による緊急入院のために出演できなかったNAMBA69が、2年ぶりに登場。NO NUKESのステージに立つとき、難波は怒っている。それは、本当は誰よりも肯定的なことを叫びたい自分が、この現状には「NO」を叫ばずにはいられないからだ。しかし怒りながらも、「世界は変えられる」ことを信じる歌“THE WORLD IS YOURS”までのストーリーを真摯に作っていく姿がとても感動的。「NO NUKES」にとって、やはり難波の存在は大きい。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - ACIDMANACIDMAN
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - ACIDMANACIDMAN
初回開催から4年連続で出演しているACIDMANの大木伸夫(Vo・G)は、1曲目”リピート”を奏でたあと「楽しめるかどうかわからなかったけど、やっぱり楽しもう。最高の1日にしよう」と叫んだ。いちミュージシャンでありながら、何ができるのか、現実と理想の狭間で葛藤する姿まで正直に見せながら、この「NO NUKES」のステージに立ち、戦い続けている彼ら。しかし、その答えはいつも「最初から人間は、宇宙とひとつである」ということを描き続ける、その音楽のなかにある。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - MONOEYESMONOEYES
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - MONOEYESMONOEYES
MONOEYESは、ステージの上か下か、どのバンドを観に来たか、思想や立場が細かくどう違うか、といった垣根をひとまずすべて取り払う、ムチャクチャな楽しさのライヴを展開してみせてくれた。これまで細美武士(Vo・G)はthe HIATUSで2度、この「NO NUKES」に登場しているが、MONOEYESがその「楽しさ」を武器にこのステージで戦う意義もバリバリにデカいのだということを力強く証明してみせる圧巻のライヴだった。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - BRAHMANBRAHMAN
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - BRAHMAN × 細美武士BRAHMAN × 細美武士
MCなしで一気に10曲を畳み掛けたBRAHMANのステージは、震災以降、彼らがどれだけの支援活動と戦いを現実的にしてきたか、そしてそれを踏まえてどれだけの音楽的な試行錯誤をしてきたかが濃密に注ぎ込まれたものだった。そして事態が解決されぬまま国内の原発再稼働、さらに海外への原発輸出を推し進める日本の首相への怒りを込めたボブ・マーリーのカバー“Redemption Song”から“鼎の問”へのラストに込められた折れない決意に涙を抑えられなかった。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - ASIAN KUNG-FU GENERATIONASIAN KUNG-FU GENERATION
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - ASIAN KUNG-FU GENERATIONASIAN KUNG-FU GENERATION
そしてトリはASIAN KUNG-FU GENERATION。後藤正文(Vo・G)編集長のフリーペーパー「THE FUTURE TIMES」の刊行を続けるなど、脱原発のメッセージを掲げるアーティストのひとりとして矢面に立ち続け、この「NO NUKES」にも出演し続けている彼ら。しかし「楽しくやろう、ASIAN KUNG-FU GENERATIONです」とライヴそのものはあくまでも軽やかにエネルギッシュにスタート。震災以降の活動のなかで悩んできたこと、勇気を得たり喜びだったこと、すべてが今のアジカンの音楽になっていて、ものすごくエモーショナルなライヴだ。そして“転がる岩、君に朝が降る”の前にゴッチが語った力強い言葉は、ぜひあの場で音楽的体験として、それを聞いた人の言葉で拡げてほしい。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - アンコールセッションアンコールセッション
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT - 坂本龍一坂本龍一
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
そして、そのアジカンのステージの最後にはサプライズが。ゴッチが坂本龍一を呼び込み、ピアノも運び込まれる。そしてこの日の出演者たちが袖から登場し、なんとジョン・レノン“Imagine”をセッション。ゴッチ、TOSHI-LOW、細美&スコット・マーフィーとソロパートの歌がリレーされ、坂本龍一のピアノもまた「言葉のない歌」として、この楽曲に込められた願いを豊洲PITに響き渡らせた。
しかし「NO NUKES 2015」の大団円は、まだこんなものではなかった。鳴り止まぬアンコールと共に登場した出演者たちは、ステージ上で話し合いを始め、最後は細美による坂本龍一への交渉というか無茶振りにより“戦場のメリークリスマス”がピアノソロで披露されることに。本人は「せっかく熱くなってるのに冷え込んじゃうよ」と言っていたが、イントロのアルペジオが鳴った瞬間、会場は大歓声で溢れる。舞台袖に集結した出演者たちも含めて大盛り上がりの、本当に感動的で熱い“戦メリ”となった。

「NO NUKES 2015」@豊洲PIT
「NO NUKES 2015」で何が起きたか、このレポートですべて書ききれた感じはしないし、実際に名場面や素晴らしいMCの数々がまだまだたくさんあった。アジカンのところでも書いたが、それらは是非、実際にこのフェスを音楽と共に体験した人々の言葉で拡げてほしい。そして様々な形で、この「NO NUKES 2015」が、原発の問題について、より多くの人が深く考えて行動を起こすきっかけになり、そしていつか本当にこのようなフェスが必要のない世界になってほしいと心から思う。(古河晋)

●セットリスト

・在日ファンク

01. 大イントロ
02. 根にもってます
03. ちっちゃい
04. ゆるま湯ファンク(新曲)
05. むくみ(アフロver.)
06. 爆弾こわい

・a flood of circle

01. Summertime BluesⅡ
02. Dancing Zombiez
03. シーガル
04. 花
05. ベストライド
06. BLUES MAN

・HEY-SMITH
01. Endless Sorrow
02. Download Me If You Can
03. Living In My Skin
04. Like a Gentlemen
05. Jump!!
06. The First Love Song
07. We Sing Our Song
08. Goodbye To Say Hello
09. Come back my dog

・NAMBA69
※セットリスト掲載なし

・ACIDMAN

01. リピート
02. to live
03. FREE STAR
04. ある証明
05. Stay in my hand
06. 世界が終わる夜

・MONOEYES

01. When I Was A King
02. Like We've Never Lost
03. My Instant Song
03. HOMELY GIRL(Scott & Rivers カヴァー)
04. 明日公園で
05. What I Left Today
06. End Of The Story
07. Run Run
08. Remember Me
09. グラニート

・BRAHMAN

01. LET'S GET ANOTHER PLACE(NUKEY PIKES カヴァー)
02. BEYOND THE MOUNTAIN
03. 賽の河原
04. 露命
05. BASIS
06. 遠国
07. 其限
08. 終夜
09. ANSWER FOR…
10. 警醒
11. Redemption Song(ボブ・マーリー カヴァー)
12. 鼎の問

・ASIAN KUNG-FU GENERATION

01. Easter / 復活祭
02. Little Lennon / 小さなレノン
03. N2
04. 1980
05. スタンダード
06. 踵で愛を打ち鳴らせ
07. 今を生きて
08. 転がる岩、君に朝が降る

・アンコールセッション

01. Imagine
02. 戦場のメリークリスマス(坂本龍一)


前日11月27日(金)に開催された「NO NUKES 2015 Acoustic Night」@豊洲PIT ライブレポートはこちら
http://ro69.jp/live/detail/135631

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