[Alexandros]がゲストミュージシャンとセッション＆トークを繰り広げるスペースシャワーTVのレギュラープログラム「Welcome! [Alexandros]」。その番組イベント「Welcome! [Alexandros] LIVE 2016」が開催された。今年で3度目の開催となる今回は、東名阪ツアーとして展開。ファイナルの新木場スタジオコースト公演には、全公演に参加した内澤崇仁（androp）、金廣真悟（グッドモーニングアメリカ）に加え、菅原卓郎（9mm Parabellum Bullet）も登場した。

番組ロゴが映る紗幕とシャンデリア型の照明が期待を煽るなか、SE“Burger Queen”が鳴り渡る。紗幕が振り落とされると、川上洋平（Vo・G）／磯部寛之（B・Cho）／白井眞輝（G）／庄村聡泰（Dr）／サポートのROSE（Key）が登場し、大きな歓声が彼らを迎え入れた。 [Alexandros]の面々が演奏を続けている最中にゲストがステージに呼び込まれる、という構成で進む今回のライヴ。早速最初のゲスト・金廣が登場し、Stereophonicsのカヴァー“The Bartender and the Thief”を演奏。トリプルギター＆ツインヴォーカルでUKロックど真ん中の名曲を勢いよく届けると、続く“Kids”では一転、叙情的なサウンドで会場を満たした。陰と陽を鮮やかに見せたコラボのあとは再びメンバーのみに戻り、「歌える人いますか？ 歌えるでしょ、新木場！」と“ワタリドリ”へ。特大シンガロングで応えるオーディエンス、それを軽々と飛び越えてしまうほどの気迫に満ちたバンド演奏、ドラマティックに展開を重ねる曲構成――フロアにマイクを向けながら川上が「最高！」と笑った“ワタリドリ”にしろ、後に披露された“Starrrrrrr”にしろ、様々なエネルギーが螺旋を描きながらひとつの渦となっていく様子はまさに圧巻だ。

その熱量をさらに押し上げるようなセッションが“Run Away”イントロにて繰り広げられる最中、2人目のゲスト・内澤がアコースティックギターを手にして登場。川上とのツインヴォーカルのハーモニーは透明度が高く、どこか凛とした空気を纏っている。そのあとは川上と内澤以外のメンバーが一時退場。残った2人は椅子に腰かけながら“Shout”を歌ったのだった。前後のMCにて、内澤が弾く“Run Away”のギターコードを気に入り前々日に急遽弾いてもらうことを決めたという経緯を明かし、さらに「ウェルアレって一緒にバンドをやってる感じになるから（ゲストとの）仲間意識が強くなるんですよ」と語っていた川上。新鮮な空気を取り込みながら積極的なトライを繰り返したこのツアーは、彼らにとって刺激的な経験になったのだということが、様々なシーンから読み取れる。

「レア曲やっていいですか？」と“Waterdrop”（5thシングル『Kill Me If You Can』カップリング曲）を披露し、いよいよ後半戦へ。ライヴ定番曲の連投により会場の温度も最高潮に達したところで、3人目のゲスト・菅原の登場だ。9mmのライヴアンセム＝“Discommunication”が繰り出されれば、フロアはさらなる大沸騰状態に。さらに“Black Market Blues”へ！……と思いきや、「続きはワンマンライヴで」とワンフレーズのみで終わってしまうというお茶目な場面も挟みながら、川上＆菅原による掛け合いがスリリングな“For Freedom”では曲中で菅原が「まだ行けるっしょ！ 行けるか！？」とフロアを焚き付けた。そうしてゲストとのコラボを終えたあとは、オーディエンス数名をステージに上げメンバーの代わりに演奏をさせる、というこの日限りの試みも。愛知と大阪ではドラムとベースのみだったとのことだが、なんとこの日はヴォーカル以外の全パートが総入れ替え。“ワタリドリ”を演奏したのだった。

メンバーのみの編成に戻った終盤では、4月20日発売の両A面シングルより“I want u to love me”“NEW WALL”も演奏された。東京ではライヴ初披露だという前者は、砂埃を巻き上げるような疾走感と彼らならではの遊び心がキラリと光る曲。そして後者は、昨年末の幕張メッセワンマンで披露された段階では歌詞も構成も決まっていないと言っていたあの曲だ（「幕張でみんなの顔を見ながらアレンジを考えて、だからみんなと作ったような感じもあります」とも話していた）。壮大なスケールで奏でられる力強いサウンドに、このバンドの「次章」を強く感じさせられた。

特別なシーンをたくさん生み出しながらも、ゲスト3名が再登場した“Adventure”で大団円を迎えた「ウェルアレ」ライヴ。この日の模様はスペースシャワーTV「Welcome! [Alexandros]」にて3月から4月にかけて最速オンエアされるほか、4月29日には特別番組も放送される予定とのこと。こちらもお見逃しなく！（蜂須賀ちなみ）

●セットリスト

01.Boo!
02.Girl A
03.The Bartender and the Thief feat. 金廣真悟 （Stereophonicsカヴァー）
04.Kids feat. 金廣真悟
05.ワタリドリ
06.Famous Day
07.Starrrrrrr
08.Run Away feat. 内澤崇仁
09.Shout feat. 内澤崇仁
10.Waterdrop
11.city
12.Kick&Spin
13.Discommunication feat. 菅原卓郎
14.For Freedom feat. 菅原卓郎
15.I want u to love me
16.Dracula La
17.Waitress, Waitress!
（encore）
18.NEW WALL
19.Adventure