髭(HiGE) @ Zepp Tokyo

髭(HiGE)  @ Zepp Tokyo    - 髭(HiGE) 髭(HiGE)
アルバム『Chaos in Apple』ツアー追加公演にしてファイナル。そして、バンドにとってワンマンとしては過去最大である初のZepp Tokyo。開演直後から、すぐさま沸騰するフロア。3曲目“ギルティーは罪な奴”でのコテイスイの拡声器を持ったパフォーマンスもおもしろいように決まり、序盤で既に、髭がさらに大きなステージで驀進できるポテンシャルを持っていることが証明されていた。
 
須藤は完全に開ききっていて、キレたパフォーマンスを繰り広げる。他のメンバーも、飄々とした佇まいは保ちつつも、格段と逞しく華やかになっていた。ライヴバンドとして、頼もしいほどの安定感と、大きなスケール感が備わっていた。会場が大きくなれば、その分バンドのレベルも高くなるという、ライヴバンドとしての順調なスケールアップを感じた。  

ステージ上の電飾に上りながら歌い、かなり高いところに寝そべって手を振る須藤。そして、不可思議な踊りを繰り広げるコテイスイ。人を喰ったようなラフでシュールな髭ワールドはそのままに、多くのオーディエンスを巻き込む要素だけがしっかりとレベルアップした、理想的な成長を見せつけられた気がした。

「今日でファイナルだけど全然感慨深くないよ」と何度も口にした須藤だが、アンコールのラストで“電波にのって”を演奏しようとしたとき。「この曲は俺からだ。だから、もう少しこの時間を楽しもう」というようなことを言って、幸せな時間を少しでも長く味わおうと、予定にはなかった“マヌケなクインテット”を演奏し始める。髭のライヴで、こんな感傷的なシーンを観ることは珍しい。しかし、そんなサプライズもまったく違和感なく受け止められるほど、この日のライヴは素晴らしかった。髭は今度さらに大きくなる確信に満ちていた。(小松香里)
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