アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト

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アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
ブリタニー・ハワードは、現在もっとも愛されるべきロック・アイコンとして、そこにいた。この2016年師走に、東京(豊洲での追加含め2公演)・名古屋・大阪・福岡で計5公演がスケジュールされた、アラバマ・シェイクスのジャパン・ツアー。2013年の初来日公演ではリキッドルームをソールドアウトさせていたけれど、セカンド・アルバム『サウンド&カラー』の全米チャート1位や、グラミー賞複数部門獲得といった活躍のおかげで、支持基盤が拡大していることが窺える。その初日、新木場スタジオコースト公演をレポートしたい。以下本文はネタバレを含むので、今後の公演を楽しみにしている方はご注意を。

開演予定時刻の20時。後日の追加公演も決まっているだけあって、スタジオコーストのフロアはびっちりと埋まっていて壮観だ。僕もその中にいたので何かと大変ではあったが、興奮するのは間違いない。バンドの正式メンバー4人に、キーボード奏者が2人、男女コーラス隊が3人という総勢9名のステージで、シングル曲“Future People”を切り出すオープニングだ。ギターを携えたフロントウーマン=ブリタニーのソウルフルなファルセット歌唱を、歪んだベース音やコーラスが膨らませてゆく。

アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
圧倒的な歌声とは裏腹に、「故郷からはるばるやってきたよ!」と愛嬌たっぷりの挨拶を届けるブリタニー。バンドの演奏も然りで、ホンキートンクな“Hang Loose”にしても、モータウンソウルの甘く豊かなサウンドをガレージバンドで再現してしまうような“Rise to the Sun”も、作曲/アレンジが実にチャーミングに決まっている。アルバム『サウンド&カラー』は、アラバマ・シェイクスのヴィンテージなサウンドを2010年代のオルタナサウンドへとアップデートする働きを持っていたが、ライブではバンドとしての地肩の強さが露わになる、といったところだろうか。

ただし、ライブもアルバム音源も、ブリタニーの業と才能を解き放つ装置として完璧に組織されているという点では、一致している。その呼吸とソウルフルな節回しのために楽曲がデザインされ、演奏される。それこそ、今回のライブ終盤“Gimme All Your Love”でブリタニーがギターの音を外し演奏がストップしてしまっても、じっくりと立て直して熱いクライマックスへと導く、というふうに。バンド・サウンドでなければ理由、ロック・バンドでなければならない理由を、その一瞬に観た。

アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
アラバマ・シェイクス @ 新木場スタジオコースト
ブリタニーがギターを置き、ハンドマイクでフロアに語りかけるように歌い上げる“Joe”や、サザンソウルなパフォーマンスで渦を巻くようにエモーションの上昇線を描き出す“Be Mine”は、個人の叫びを浮かび上がらせる装置の真骨頂だったろう。そして、ファンキーでありながらも哀しみが深く染み入って消し去ることのできない“Don’t Wanna Fight”や、シリアスなグルーヴを練り上げる“Gemini”の凄まじい本編フィナーレ。アンコール含めて計19曲の1時間半、決してワンマン・バンドではありえないアラバマ・シェイクスの本領を見届けるステージであった。(小池宏和)

〈SETLIST〉
01. Future People
02. Dunes
03. Hang Loose
04. Rise to the Sun
05. Guess Who
06. Heartbreaker
07. Miss You
08. Shoegaze
09. I Ain't the Same
10. Always Alright
11. Joe
12. Be Mine
13. Hold On
14. Gimme All Your Love
15. Don't Wanna Fight
16. Gemini

En1. Sound & Color
En2. You Ain't Alone
En3. Over My Head
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