そして実際に今回のガンズに臨んでみて感銘を受けたのは、2001年の「チャイニーズ・デモクラシー・ツアー」以降のガンズとは、やはり似て非なるものだったということだ。端的にスラッシュとダフがいるだけでこれほどまでに違うことなどありうるのか?という音を今回バンドは叩きつけてきたのだ。オープニングは1993年の「ユーズ・ユア・イリュージョン・ツアー」までライブのオープナーの定番となっていた“It’s So Easy”で、この展開だけでも90年代ガンズの記憶を蘇らせて盛り上がるわけだが、強烈なパンク・ベース・リフと異常にドライヴのかかったスラッシュのギター・リフにアクセルのつんざくようなヴォーカルがたたみかけていく内容に、これはまごうことなきガンズ!と感激する。さらにこれに輪をかけたのが続く“Mr. Brownstone”で叩き斬るようなリフと強烈なグルーヴとが混然となって、アクセルのスピードラッピングにも近いヴォーカルと一体化していくパフォーマンスに、ミュージシャンが自分のオリジナル曲を弾くというのはこれほどまでに違うことなのかとあらためて驚かされた。たとえば、01年以降のガンズはスキルと資質の両面で鉄壁のミュージシャンを常に抱えていて、決して聴き劣りのするパフォーマンスを届けていたわけではない。しかし、現役のオリジナル・メンバーが揃ってしまうとこれほどまでに違うのか、と思い知らされるのがこのオープニング・シークエンスで、ある意味、『アペタイト・フォー・ディストラクション』で初めてガンズにやられた時くらいの衝撃を感じた。
アンコールは“Don’t Cry”、“The Seeker(ザ・フーのカバー)”、“Paradise City”となり、ライブは2時間半以上という充実の内容となった。毎回、なんかしらの形で打ちのめされたような、心地よい疲労感とともに帰ることになるガンズのライブだが、今回はアクセルとスラッシュ、ダフのケミストリーの持つ破壊力にやられっぱなしの内容となった。考えてみれば、これは93年の来日公演以来の興奮ということになるが、これがやっぱり一番だと素直に思った。(高見展)
01. It's So Easy
02. Mr. Brownstone
03. Chinese Democracy
04. Welcome to the Jungle
05. Double Talkin' Jive
06. Better
07. Estranged
08. Live and Let Die
09. Rocket Queen
10. You Could Be Mine
11. New Rose
12. This I Love
13. Civil War
14. Coma
15. Speak Softly Love
16. Sweet Child O' Mine
17. Used to Love Her
18. Out Ta Get Me
19. Wish You Were Here
20. November Rain
21. Knockin' on Heaven's Door
22. Nightrain
En1. Don't Cry
En2. The Seeker
En3. Paradise City