back number/さいたまスーパーアリーナ

back number/さいたまスーパーアリーナ - All photo by 佐藤祐介All photo by 佐藤祐介
●セットリスト
1.はなびら
2.高嶺の花子さん
3.003
4.そのドレスちょっと待った
5.花束
6.クリスマスソング
7.fish
8.黒い猫の歌
9.アップルパイ
10.MOTTO
11.SISTER
12.幸せ
13.助演女優症
14.恋
15.ハッピーエンド
16.君の恋人になったら
17.光の街
18.stay with me
19.繋いだ手から
20.青い春
21.スーパースターになったら

En1.世田谷ラブストーリー
En2.日曜日
En3.海岸通り

back number/さいたまスーパーアリーナ
「この2Daysが僕らにとって人生初めてのさいたまスーパーアリーナなので。それを見届けてくれて光栄に思ってます」。
会場後方まで満員のさいたまスーパーアリーナを見渡して語る清水依与吏(Vo・G)に応えて、2万人のオーディエンスの熱い拍手が巻き起こる――。

昨年12月にリリースされたベストアルバム『アンコール』を携えて、今年2月から15会場・30公演にわたって行われてきたワンマンツアー「All Our Yesterdays Tour 2017」の終盤、back number自身初のさいたまスーパーアリーナ公演となる2Daysライブの2日目、6月4日。
センチメンタルなバラードからアグレッシブなロックナンバーまでその音楽世界の魅力を高純度凝縮したような内容と、清水をはじめメンバーのさらなる進化への意志が、会場一丸の高揚感と共鳴し合った、最高の一夜だった。
back number/さいたまスーパーアリーナ
清水依与吏、小島和也(B・Cho)、栗原寿(Dr)のメンバー3人に、村田昭(Key)、矢澤壮太(G・Cho)、藤田顕(G)という鉄壁のサポート陣を迎えた布陣でステージに登場したback number。
舞台を覆うLEDスクリーンのグラフィック越しに冒頭のミドルナンバー“はなびら”を聴かせた後、清水の「埼玉ー!」のコールとともに“高嶺の花子さん”へ突入! LEDスクリーンが上方へ移動、ステージ後方&両サイドに設置されたビジョンの映像効果が、6人の熱演と乱反射し合うような鮮烈な演出に、巨大な客席が歓喜に揺れていく。
back number/さいたまスーパーアリーナ
さらにそこから“003”“そのドレスちょっと待った”とアッパーな楽曲群へと流れ込んで、広大な空間を一気に高揚感で包んでみせる――のだが、連日の公演の疲労のせいか、清水の声がベストコンディションでないことは、誰の耳にもわかるほどだった。
それでも、自身の不調を言い訳にすることなく、珠玉のメロディの数々をたまアリ一面に鳴り渡らせようと己の歌声を突き上げる気迫と覚悟が、この日の清水の姿には確かに備わっていた。
back number/さいたまスーパーアリーナ
「1曲1曲一生懸命に作って、それを一生懸命に練習してきました。一生懸命やることぐらいしかできないんですけど、でもそれが自分なりの一番のおもてなしなので……楽しむ人は楽しむ! 昔の古傷をえぐる人はえぐる! 人それぞれに、楽しみ方は自由でいいと思います」。
そんな清水の言葉が緊迫した会場をホッとしたような笑いで包んだところで、“花束”“クリスマスソング”“fish”といったバラード曲群へ。己の不調をも突き破ろうとするかのような渾身の絶唱を響かせる鬼気迫る姿が、観る者すべての感動を誘っていた。
back number/さいたまスーパーアリーナ
ライブ中盤以降には、MCを小島&栗原に委ねて清水が舞台袖に姿を消す場面も幾度か見られたこの日のアクト。
だが、本編後半に差し掛かると清水の声には一段と迫力と情感が増し、会場激震の熱狂を生み出した“MOTTO”やメロディアスなバラードナンバー“ハッピーエンド”にその歌で圧倒的な熱量を吹き込んでみせる。

シングル『ハッピーエンド』のカップリング曲“君の恋人になったら”の晴れやかな加速感からライブは終盤へ。凛とした清冽さに満ちた“光の街”、《すべての報われない想いに光を》という祈りのフレーズが力強く会場を包んだ“stay with me”……back numberの名曲のひとつひとつが、途方もない輝きと生命力とともに繰り広げられていく。
back number/さいたまスーパーアリーナ
「俺たちには俺たちなりのこだわりがあって、でもなかなか一発で褒められなくて。どの曲で俺たちのことを見つけてくれたかっていうのは――もちろんあなたの中ではすごく重要なことなんだろうけど、俺たちは『一生懸命作ったんだよね』ってちゃんと言える曲だけを作るっていうのが大前提だし。それがなかったら、こんな素敵な場所に立てることはなかっただろうし」
終盤のMCで、満場のオーディエンスにひと言ひと言語りかける清水。
「これからも死に物狂いでやっていくので。俺たちを観に来てくれたり、曲を聴いてくれた人が、『私back number好きなんだよね』『俺back numberのライブ行ったけど最高だったんだよね』って胸を張って自慢できるようなバンドに、もっともっと頑張ってなるんで。これからもよろしくお願いします!」――まっすぐに呼びかける清水の言葉に、会場は高らかな拍手と歓声で満たされていく。

そして、ライブ本編は“繋いだ手から”をきっかけに一気にクライマックスへ! “青い春”で会場一丸のシンガロングが巻き起こる中、「踊ろうぜ!」と観客を煽る清水は全身の力を振り絞ってトップノートを響かせ、キャノン砲の銀テープが舞い踊った“スーパースターになったら”では「愛してるぞーっ!」の絶叫を残して、力尽きたように舞台に大の字になって倒れ込む。あまりにも壮絶なエンディングだった。
back number/さいたまスーパーアリーナ
アンコールでは小島&栗原とサポート3人にやや遅れて姿を現した清水は、“世田谷ラブストーリー”を披露したところでようやく「本当に今日、ステージに上がる前、正直『歌えねえな』と思ってました」と自分の状態を明かしていた。
「昨日、声が潰れて。でも……『だったら今日で最後でいいや』って思って。命懸けでステージに上がって――みんな頑張ってんのに、俺の喉がどうこうで『観に来なきゃよかった』『別の日がよかった』なんて言われるのは、曲もかわいそうだし」
自分自身やバンドの在り方よりも、楽曲と音楽そのものに全存在を懸ける――そんな表現者としての揺るぎない決意が、飾らない言葉のひとつひとつからリアルに伝わってきて、抑え難く胸が震えた。

そのまま“日曜日”“海岸通り”の祝祭感でたまアリをひときわ激しく揺さぶってみせたback number。すべての音が止み、6人で手を取って一礼した後、再び3人で深々と頭を下げて感謝を伝える姿に、惜しみない拍手喝采が広がっていった。(高橋智樹)


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