ザ・クークス @ 渋谷O-EAST

ザ・クークス @ 渋谷O-EAST - ザ・クークスザ・クークス
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昨年のサマーソニックでスタジアムを熱狂させたザ・クークスが、さらなる進化をみせた。

2nd『コンク』発売以来初となる単独公演でもあり、実は名古屋・大阪のファンにとっては初の単独公演でもある。

当初、今回のツアーは昨年の11月初旬に行なわれる予定だったが、深刻な腕の怪我のため戦線離脱していたドラマーのポールのバンド復帰が決定したため、急遽スケジュールが変更。メンバー・ツアーの再編・リハーサルを経て、ついに実現した来日なのだ。

フロアのテンションも高く、一発目の“オールウェイズ”から、「Do Do Do ドゥドゥドゥ」と合いの手がバッチリ入る。それに応えるかのように、ザ・クークスも“マッチボックス”“エディーズ・ガン”“Ooo La”と、おなじみの1st収録曲をたたみかけてくる。デビュー作『インサイド・イン/インサイド・アウト』が発売されたのは06年の1月。気付けば、もう3年経っているけれど、あらためて不朽の名曲揃いの一作だったとあらためて実感。曲ごとに聴きどころ満載の巧みな構成と、あの多様性には唸らされるばかり。何回もCDで聴いてきているし、これまで来日ライブのたびに胸を射抜かれてきたけれど、やっぱり今日もドキドキさせてくれた。

特筆するとすれば、ボーカルのルークのパフォーマーとしての成長ぶりだろう。切なく枯れた声質はそのままに、表現力・声量ともにアップ。アンコールでみせてくれた“シーサイド”や“ティック・オブ・タイム”といった曲のアコースティック演奏は、独壇場といっても過言ではなく、この人が「しゃべるように歌い、名曲を生み出してしまう」タイプの才能の持ち主であることを、あらためて認識させるものだった。ライブ中は始終、ステージを所狭しと動きまわり、フロアにダイブしたり、シンガロングを煽ったりと、全身からロックなエナジーを放出。加えて、女心をくすぐる小悪魔的な天然性の色香も漂わせていて、フロアからブラ(!)が投げ込まれるほどの熱狂も生み出していた。一見普通の若者だけど、同世代のアーティストでも随一の“ロックなフェロモン”を漂わせられる男なのだ。

そして、着実にバンドの演奏力が上がってきている。それが顕著に感じられたのは、“マッチボックス”や“タイム・ア・ウェイツ”といった、スカやレゲエのビートが肝になっている楽曲で、正直これまでは、音を再現するので手一杯といった印象で、音色も途切れ途切れ。曲のポテンシャルと演奏とのギャップにズッコケてしまっていたのだけれど、タメを利かせて、曲の持ち味であるバウンシーなビートの快感を味あわせてくれるようになってきている。2ndアルバム『コンク』の楽曲の演奏は、どれも安定感があることに加え、ダイナミズムも満載。自身の演奏力を見極めての曲作りは、本末転倒になってしまったら困るけど、『コンク』に関していえば、ライブで現在のポテンシャルを最大限発揮する、という面において一つの大きな成果をみせられた作品だったと感じさせられた。

一応付け加えると、つい忘れがちだけど、このバンドの平均年齢はまだ22歳。この1年は、ベーシストの脱退劇を経て、ドラマーの復帰もあり、と腰を据えての活動がままならない状態でもあった。そうした状況下にありながら、こうして着実な進化をみせてくれたことが本当にうれしい。次作への期待も高まるばかりで、どんな作品になるのか、楽しみで仕方がない。アンコールのアコースティック・タイムの合間に披露された新曲も最高でした!(森田美喜子)

1.オールウェイズ
2.マッチボックス
3.エディーズ・ガン
4.OOH LA
5.スウェイ
6.タイム・アウェイツ
7.アイ・ウォント・ユー
8.ワン・ラスト・タイム
9.シー・ムーヴズ・イン・ハー・オウン・ウェイ
10.ミスター・メイカー
11.ドゥ・ユー・ワナ
12.ナイーヴ
13.シャイン・オン
14.シー・ザ・ワールド
15.ユー・ドント・ラヴ・ミー

アンコール
16.シーサイド(アコースティック)
17.ジャッキー・ビッグ・ティッツ(アコースティック)
18.新曲(アコースティック)
19.シー・ザ・サン
20.ストーミー・ウェザー
21.ソファ・ソング
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