sumika/東京国際フォーラム ホールA

sumika/東京国際フォーラム ホールA - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ

●セットリスト
1.Answer
2.Lovers
3.カルチャーショッカー
4.ソーダ
5.FUN
6.1.2.3..4.5.6
7.KOKYU
8.Summer Vacation
9.アネモネ
10.まいった
11.Amber
12.ここから見える景色
13.マイリッチサマーブルース
14.イナヅマ
15.ふっかつのじゅもん
16.アイデンティティ
17.Door
(アンコール)
EN1.MAGIC
EN2.「伝言歌」


sumikaの1stフルアルバム『Familia』は、バンド史上最高の作品で、「今こそ出すべき」と自分たちで思えるタイミングで、一切の妥協をせずに作り上げた堂々たるフルアルバムだった。そんなスペシャルなアルバムの完成を受けて、それを提げての全国ツアーも、バンド史上過去最大の規模で行われたものだった(このツアーを振り返るインタビューが、11月30日(木)発売の『ROCKIN’ON JAPAN』1月号に掲載されるので、ぜひそちらもご一読ください)。この「sumika 1st FULL ALBUM『Familia』Release Tour』では、追加公演として、東京、大阪、名古屋の3都市でホールライブも行われた。今回は、その追加公演の初日、10月26日東京 国際フォーラム ホールAで行われたライブをレポートする。

sumika/東京国際フォーラム ホールA - Photo by ヤオタケシPhoto by ヤオタケシ
この5000人規模のホールでワンマンライブを行うのは、sumikaとしてはもちろん初の試み。とは言えチケットはもちろん完売。この広い会場を、どんなふうにsumikaの色に変えていくのだろう。アルバムの1曲目と同じく“Answer”でライブは幕を開けた。ステージ横にセットされたスクリーンに、メンバーの表情が大映しになる。全員とてもリラックスした表情で、思い切り演奏を楽しもうとしているのがよくわかる。始まってしまえば、そこがライブハウスだろうと、大きなホールだろうと、瞬時にsumikaのホームになるということを確信した。「こんばんは。sumika始めます」と片岡健太(Vo・G)が告げて、続けざまに小川貴之(Key・Cho)が奏でるポップなピアノのイントロから“Lovers”へ。はじけるようなサウンドに、早くもシンガロングが巻き起こる。

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sumika/東京国際フォーラム ホールA - Photo by 後藤壮太郎Photo by 後藤壮太郎
『Familia』からの曲を中心に組み立てられるセットリストでも、序盤3曲目からは1枚目のミニアルバムの曲など、過去曲を連発。ダンサブルな“カルチャーショッカー”で会場の熱はさらに上昇。全員で音を出す嬉しさが全開でグルーヴする“ソーダ”、黒田隼之介(G・Cho)のソリッドでロックなギターとアクションにも目を奪われる“FUN”、荒井智之(Dr・Cho)が叩き出す疾走感溢れるリズムと和テイストのメロディが祭りさながらの盛り上がりを促す“1.2.3..4.5.6”と、立て続けに演奏されたアッパーな楽曲の数々は、今のsumikaの勢いをそのまま表すかのような素晴らしいコンボだった。まるで以前からのsumikaの音が『Familia』へとつながっていることを自信を持って提示するような、そんな「攻め」のセットリスト。

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ここまで全6曲を、ほとんど休みなしのフルスロットルで演奏し、片岡は「これで終わってもいいくらい幸せ」と言うほど、会場の音の良さも相まって、すでにクライマックスを迎えたかのような充実ぶり。そして、ここから続く『Familia』曲で、あのアルバムに収録された楽曲たちの、その幅広さと完成度を強く実感することになる。サポートメンバーの井嶋啓介(B)のヘヴィにうねるベースサウンドから始まったのは、アルバムの中でも、あえてのハズシ曲だった“KOKYU”。ファルセットのコーラスも重なって、なんとも言えない強烈なグルーヴが充満する。客席のハンドクラップも完璧なタイミングではまる。その流れから“Summer Vacation”でソウルフルな歌をしっかりと聴かせると、続いては“アネモネ”。これ、ほんとに完璧なポップミュージックだと思った。“まいった”に至っては、完全にsumikaのバンドアンサンブルが1つに溶け合ったような、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。まさにライブでしか味わえない瞬間がここに詰まっていた。

sumika/東京国際フォーラム ホールA - Photo by 後藤壮太郎Photo by 後藤壮太郎
sumika/東京国際フォーラム ホールA - Photo by 後藤壮太郎Photo by 後藤壮太郎
「楽しいね」という言葉を何度も口にした片岡。ホールのライブならではということで、「座ったままで大丈夫」と客席へ向かって告げると、“Amber”、そして、片岡の友達が結婚する時に作ったというあたたかいウェディングソング“ここから見える景色” をアコースティックギターの響きとともに、ゆったりと穏やかに歌う。そして、「ギアを8速くらいに上げていきたいんですけど、準備はOK?」と、タオルをぶんまわす用意を促して、“マイリッチサマーブルース”へ。この緩急が、ものすごいエネルギーを生む。夏はとっくに過ぎたけれど、瞬間的に会場中が夏の空気に変わる。2階席の床の揺れがハンパない。そのテンションのまま“イナヅマ”、“ふっかつのじゅもん”、“アイデンティティ”と、まだまだずっとライブは続いていきそうな勢いを感じさせた。

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ラストの曲を演奏する前に、片岡は大切な1stアルバムに『Familia』という名前をつけたことの意味を、しっかりと言葉にした。片岡の声が出なくなって休養を余儀なくされた時、彼が自身の父親に言われた言葉──「今お前のまわりにいてくれる人のことは、家族と思っていいんだぞ」。「それが、このメンバー、スタッフです。支えてくれた人たちの手を絶対離さない。そう決めたから、フルアルバムを作る時に『家族』という名前にしようと決めました」。訥々とした語りながら、今にも感極まって涙を流してしまいそうな、思いの込もったMCだった。「あなたに、誇りたいものがあってうまく守れなくても、転んで傷ついても、僕らはその傷を見て笑うことは絶対にしません」というやさしい言葉も、片岡自身がその傷を負った痛みを知っているから。そして演奏された“Door”はとても感動的で、演奏が終わっても拍手はなかなか鳴り止むことはなかった。

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アンコールは「1秒で世界を変える歌を」と、“MAGIC”、そして“「伝言歌」”で締めくくられた。メンバー全員に親指を立てて、笑顔で「Good」サインを送る片岡の姿を見て、やはり『Familia』は、sumikaという存在を、リスナーやファンを含めて「家族」にしてしまうような、そんなマジックを持ったアルバムなのだと思った。いろいろな感情を持って生きていく中で、一瞬でもsumikaの音楽に触れたら、「それでもいい」と自分を肯定できそうな気がする。そういう「場所」としてsumikaが在るということだ。片岡は最後に「今日のこの光景を覚えてたら、いくらでも頑張れる気がしました。こちらから言わせてください。ありがとうございました!」と言った。その言葉には、あの場所にいたほとんどの人が、一言一句違わず同じ気持ちだよ!と言いたかったはずだと思う。1ヶ月経った今でも、あの日の余韻はまだ続いている。(杉浦美恵)

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終演後ブログ
【速報】sumikaの国際フォーラムでのライブ、最高でした!
なんて豊かで、なんて希望に満ちたライブなんだろう。 sumikaの織り成すバンドサウンドは、どこまでも温かくて、力強くて、気づけば終始笑顔でステージを見つめている自分がいた。 東京国際フォーラム ホールAという、5000人規模のかなり大きなキャパの会場が、見事に満員ソールドアウト。そん…
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