サンボマスター/日本武道館

サンボマスター/日本武道館 - All photo by 浜野カズシAll photo by 浜野カズシ

●セットリスト
1.愛しき日々
2.そのぬくもりに用がある
3.歌声よおこれ
4.できっこないを やらなくちゃ
5.このラブソングはパンクナンバー
6.可能性
7.光のロック
8.ロックンロール イズ ノットデット
9.愛してる愛して欲しい
10.Sad Town, Hot Love
11.美しき人間の日々
12.青春狂騒曲
13.世界をかえさせておくれよ
14.全ての夜と全ての朝にタンバリンを鳴らすのだ
15.手紙
16.ラブソング
17.Stand by me & you
18.ミラクルをキミとおこしたいんです
19.オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで
20.世界はそれを愛と呼ぶんだぜ
21.YES
(アンコール)
EN1.朝
EN2.あなたといきたい


サンボマスターが12月3日に初の日本武道館公演を開催した。3時間にわたり新旧楽曲含む全23曲が披露されたのだが、とにかく愛とポジティブなパワーが会場中に充満した美しい時間がそこには流れていて、いくつもの印象的なシーンが写真のようにバッチリと心に刻まれている。

14年前の12月3日は、メジャー1stアルバム『新しき日本語ロックの道と光』のリリース日。つまり、サンボマスターが「新しき日本語ロックの道」を歩み出した日だ。そんな記念すべき日に、今まで何度もサンボマスターの曲に励まされてきたであろう人々が武道館に集結した。

メンバーが選曲したというBGM(私の到着時は↑THE HIGH-LOWS↓の“日曜日よりの使者”だった)が流れる開演前の会場は、さすがに初の武道館ということで、心なしかワクワクとソワソワの感情が入り混じったようなお客さんの姿がちらほら。ステージ上は、今回の武道館公演のロゴを大きくあしらった垂れ幕1枚というシンプルな装飾、そして広いステージでもいつものようにギュッとセンターに寄せたギター、ベース、ドラムがセッティングされていた。

サンボマスター/日本武道館

暗転し、いつものSEが流れると、割れんばかりの大きな手拍子と歓声に迎えられ、メンバーが登場。伝説の武道館1発目は、『新しき日本語ロックの道と光』でも1曲目に収録されている“愛しき日々”だ。「よく来たなみんな!」と叫ぶ山口隆(唄とギター)、前へ横へと移動しながらクールに、時にはアツいベースプレイを魅せる近藤洋一(ベースとコーラス)、スティックを天に向けて高く突き上げる木内泰史(ドラムスとコーラス)と、ライブ開始早々からテンションがフルテン状態のメンバーと、1曲目から「後のことは知らねぇ!」と言わんばかりに全力で腕を振り、大合唱が起こる客席。どちらも初っ端から「ミラクル」を起こす気満々である。

サンボマスター/日本武道館

サンボマスター/日本武道館

サンボマスター/日本武道館

オレンジ色のライトがステージを照らし、2曲目“そのぬくもりに用がある”に突入すると、山口の「唄いまくれる人ー!」の呼びかけに、元気良く会場中の手が挙がる。山口とお客さんの声が混ざり合って武道館いっぱいに響き、地面がグラグラと揺れる。間奏では客席の「オイ!」コールに合わせて、いつも以上にエモいギターソロをブチかまし「ヤベー、オレめっちゃギター上手いんですけど!」とさらにテンションが上がってしまう山口。曲の最後のブレイクでは、「あんた方のそのぬくもりに用があってここに来ました!!」と絶叫。その後も息をつく暇もなくアップテンポなナンバーを繰り出し、会場のボルテージはどんどん上昇していく。

サンボマスター/日本武道館

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最新アルバム『YES』からの1曲“このラブソングはパンクナンバー”などを経て、「オレはお前の悲しみ、無くしに来たんだよ」と客席に向けて捲し立てた後にキラーチューン“ロックンロール イズ ノットデッド”が放たれると、サビで会場中が赤一色のライトに照らされ、一層情熱的な大合唱が沸き上がる。曲が終わってもメンバーの名前を呼ぶ声は止まず、「武道館おめでとう!」と誰かが叫ぶと自然と大きな拍手が起こった。そんな客席の自発的な祝福ムードに「なんすか?(笑)」と照れ笑いしながらも嬉しそうな山口。「今日、売り切れたそうで。ありがとうございます!」とソールドアウトを報告しつつ、「男は全員童貞、女の子たちはどっかの読モか?」といつもの感じでお客さんをイジり、温かい笑いが会場中に広がった。その後、幻想的なライティングに包まれながら、ゆったりと“Sad Town, Hot Love”をプレイ。狂騒の合間のこの心地好さには、思わず目を閉じてじっくり聴き入ってしまった。

サンボマスター/日本武道館

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そんな時間も束の間、「心のピーク持ってきて踊る曲だぞ!」と“青春狂騒曲”へなだれ込むと、手を左右に振ってなりふり構わずその場で跳ねる客席に向かって「あれ? まだ踊ってないやつがいる!」と煽り、続けて“世界をかえさせておくれよ”で「武道館では盛り上がらない協会のみなさんですか?」とさらに煽る。それに負けじと、力強く、かつ満面の笑顔で応えるオーディエンス。ライブ中盤のMCで山口は「自分たちで言うのも何だけど、良いお客さんだなぁ」と感謝を滲ませながらしみじみ呟きつつ、「でもその辺で『山口!』って呼び捨てしたやつ、絶対オレより年下だからな」としっかり笑わせるユーモアも忘れない。

サンボマスター/日本武道館

後奏でRCサクセションの“スローバラード”の一節を引用した“手紙”を経て、「2011年の後は(この曲を)やんのやめようと思ってた」、「大切な人を思い浮かべて聴いてくれ」と少しシリアスな空気感で披露されたのは“ラブソング”。この時きっと、私を含め何人かの人が目に涙を浮かべたと思うが、それは悲しみに打ちひしがれて流れ出た涙ではなく、「やっと会えたなぁ」と言ったような、どこか懐古的な感動から生まれたものだと思う。曲の途中、演奏がピタッとやみ、1、2分くらい無音の状態が続いたが、ここに集まった人たち、または生中継で画面を通してこのライブを観ていた大勢の人たちが同時に心に大切な人を思い浮かべ、誰かへの祈りのために捧げた時間になっていただろう。その後に演奏されたのが“Stand by me & you”だったからこそ、山口の「オレたちと一緒に生きてくれ」という切実な願いが真っ直ぐに伝わってきた。と同時に、武道館に集まってこんなにもハッピーな時間を全員で共有できていることが決して当たり前ではなく、貴重なことなのだと実感した瞬間でもあった。

サンボマスター/日本武道館

サンボマスター/日本武道館

そしてライブもいよいよ終盤へ。「本当のミラクル起こせる人ー!?」という山口の問いかけに全力で応えるお客さんと、巻き起こる力強い手拍子。“ミラクルをキミとおこしたいんです”では、その盛り上がりはまさに「ミラクル級」と言っていいほどピークに近づき、“オレたちのすすむ道を悲しみで閉ざさないで”に突入すると山口がジャンプをしながら唄い、木内はついに立ち上がってドラムを叩き始める。一際大きい「伝説」コールが沸き、大爆発級の盛り上がりに包まれた“世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”では、客電が全開になり、笑顔で跳ねまくるお客さんの顔が窺えて、その何とも美しい光景にまたも感動がこみ上げてくる。たぶん、《愛と平和!》の大合唱が起こったこの瞬間、世界で一番ピースフルな場所はここ武道館だったはずだ。そんな中、曲中のブレイクで客席に目をやり、何かを待っているような山口。「泣いてるやつがいるからさ、泣き終わるまで待ってんだ」と言い、その言葉に思わず全員が笑顔になった瞬間、また演奏を再開した。

サンボマスター/日本武道館

曲が終わり、「山口さん!」と今度は呼び捨てではなく、しっかり「さん」付けをした男性の声が客席から響くと、すかさず「ああいう人に限って会社で頑張ってる人なんだよ」と山口がフォローし、会場からその男性へ向けて励ましの拍手が送られる。なんて温かい空間なんだろう、ずっとこの場所にいたいような居心地の良さを感じていたところで、「お前のミラクルの起こし方は、また生きてここに来ることよ。お前らの居場所忘れるなよ! オレたちのために一緒に生きてくれ!」と山口が訴えかけるように叫び、本編ラストの曲“YES”へ。サビではプロジェクションマッピングでいくつもの「YES」の文字がステージに映し出される。「お前ら全員サンボマスターだ!」と山口が絶叫し、この日一番の「ロックンロール」コールが武道館を震わせた。

本編が終わり、サンボマスター主催イベント「男どアホウ サンボマスター2018」開催決定という嬉しいサプライズ発表の後、メンバーが再登場し、「また絶対武道館やりたいね! 集まろうよ!」と木内が呼びかけ、ゆるやかなソウルナンバー“朝”をプレイ。そしてラストナンバーは“あなたといきたい”。《もう終わったなんて俺たちまだ始まってもねぇ》と力強く息の合った合唱が響くと、今日この場所にいる全員が「ミラクル」を起こしたことを祝福するように、紙吹雪がアリーナ中を舞った。

サンボマスター/日本武道館

サンボマスター/日本武道館

山口はライブ中、何度も何度も「笑ってっか?」と客席に問いかけ、MCでは「武道館もライブハウスと同じだよ。助け合ってな。気持ち悪くなった人とかいたら……」と労る場面もあった。1曲目から最後の曲まで、サンボマスターは自分たちのためには一切唄わず、ただただ無条件の愛をお客さんに投げかけ、お客さんもぶつけられた愛を無条件のまま全力で打ち返していた。そのお互いを鼓舞し合うような両者の関係に、やっぱりここにいる全員が「サンボマスター」なのだと確信せずにはいられなかった。最後には、そんな会場にいるサンボマスターたち全員で写真を撮り、記念日となった初の武道館公演は終幕。名残惜しい気持ちも引きずりながら会場を出ると、沢山の笑顔の人たちが九段坂を降りて行く光景が見えて、ライブが終わった後もしばらくずっと、多幸感で胸がいっぱいだった。(渡邉満理奈)

終演後ブログ
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「サンボマスター 【1st日本武道館2017】~そのたてものに用がある~」がいよいよ本日、開催された。 当然のように1曲目から、サンボマスターも客席のサンボマスターたち(お客さん)も、この場所にみんなで集まれたことの喜びが大爆発していて、生命力とポジティブなパワー溢れるライブだった。 …
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