LiSA/TOYOSU PIT

LiSA/TOYOSU PIT - All photo by 上飯坂一All photo by 上飯坂一

●セットリスト
01. No More Time Machine
02. アコガレ望遠鏡
03. Catch the Moment
04. Little Braver
05. シルシ
06. ハローグッデイ
07. DOCTOR (ゲストVo:カヨコ)
08. 罪人
09. Thrill, Risk, Heartless
10. ASH (ゲストVo:マオ from シド)
11. oath sign (ゲストVo:May'n)
12. say my nameの片想い
13. そしてパレードは続く
14. Rally Go Round
15. TODAY

(アンコール)
01. ONLY≠LONELY (ゲストVo:小南泰葉
02. best day, best way


ライブハウスツアー「LiVE is Smile Always~FUN & FANFARE~」(東名阪で3公演)に加え、3月に入って開催が発表された「LiVE is Smile Always~FUN&FANFARE~[Acoustic Time]」。ワンマンとしてはLiSA史上初の、アコースティック編成ライブが繰り広げられるという趣向だ。サプライズで登場した豪華ゲストたちとの共演も、ドラマを生み出した特別な一夜。その模様をレポートしたい。

仄かな光を放つステージ上のシャンデリアといい、白いロングドレスに身を包んだ見目麗しいLiSAといい、ぐっとエレガントでクラッシーなライブに……なるわけがなかった。むしろ「アコースティックライブ」という枠組みの中からハミ出してゆく、LiSAの本質的なロック性が露わになるライブだったのだ。

LiSA/TOYOSU PIT

まずは“TODAY”の一節を高らかに歌い、「ようこそ、『LiVE is Smile Always~FUN&FANFARE~[Acoustic Time]』へ!!」と挨拶するLiSA。バンドはギター、ベース、ドラムス、キーボード、そして女性コーラス&パーカッションが加わった、その名も「Oneたんメンズ」である。この日のために練り上げたアレンジは、ほぼアコースティックでありながら力強く重厚な手応え。“No More Time Machine”も、冒頭の“TODAY”に続いて特別な瞬間を演出してくれる。「豊洲、(来場者が)座ってるの初めて見たけど、すげえな。あ、ごめん、いつもの出ちゃった」「フー! 緊張するーっ! 足隠れてるの、緊張するーっ!」と笑いを誘うLiSAは、オープンで溌剌とした素顔のままだ。“Catch the Moment”や“Thrill, Risk, Heartless”といった近作曲も強いアタック感を誇るリアレンジが施され、後者では「かっこいい曲を、アコースティックバージョンで歌いたかった」と語られていた。

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ピアノ伴奏による“シルシ”は、肌を震わせるようなLiSAの歌声が際立ち、メロディと発声のパンチでグイグイとライブを牽引してゆく。この日の彼女の佇まいを顕著に表す一幕になった。「みんなに観て貰って、聴いて貰って、ああ、なんかクサいこと言っていい? ……無言の愛を感じる」と思いを噛み締める。続いて、別れと出会いの季節のために用意された新曲“ハローグッデイ”は、ドラムレスの編成でカホンが強いビートを刻むアレンジ。切なさを込めながらも、温かく励ます曲調が素晴らしい。コーラスをレクチャーし、最後にはオーディエンスの歌声に満たされていった。この曲は、5月9日リリースのベストアルバム、『LiSA BEST -Day-』&『LiSA BEST -Way-』の『LiSA BEST -Way-』に収録される。

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さらに、今回のライブを特別な時間にしてくれたのが、スペシャルゲストの面々である。まず、“DOCTOR”で登場したのは、この曲の作曲者でもあるシンガーソングライター=カヨコ。ここではエレクトリックギターが持ち込まれるアレンジだが、カヨコがソウルフルな節回しで臨むデュエットが凄い。LiSAもどや顔で「“DOCTOR”の仮歌、これだからね!」と語る。“シルシ”や“Thrill, Risk, Heartless”などの楽曲提供でも知られるカヨコは、今回の共演を喜びながら「いーやろー!?」とユーモラスに告げていた。また、“ASH”では作詞者のマオ(シド)が登場し、倍音豊かな歌唱でハイレベルな歌の共演を繰り広げる。歌い終えたLiSAは、「カッコイイ〜」と膝から崩れ落ちるのだった。

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そして「呼ばないことには始まらない」と語られていたシンガーのMay’nが、翌日からホールツアーを控えた身で駆けつける。2人で披露する“oath sign”は、感情の広がりで包み込むようなMay’nの歌と、感情が突き抜けるようなLiSAの歌のコントラストが見事だ。呼吸ぴったりのユニゾンを決めると、「楽しかったー!」とハイタッチを見せる。高揚感のままに突入する“say my nameの片想い”、そしてオーディエンス総立ちの“そしてパレードは続く”は、もはや盛り上がるなという方が無理な話である。本編の最後、「今日来てくれたみんなに」と届けられたのは、冒頭に立ち返るような“TODAY”であった。たった一夜限りの企画ライブに込めた思いが、あらためて染み渡るようだ。

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「アコースティックなのにライブハウスなのが、LiSAっぽくていいなと思うんですけど」と告げながら、真っ赤なボディのアコギ(同郷・岐阜県のヤイリギター)を携えるアンコールでは、“ASH”のカップリング曲だった“ONLY≠LONELY”が披露される。LiSAが1コーラスを歌ったところで「おかえりーっ!!」と呼び込むのは、なんとこの曲を作曲したシンガーソングライター=小南泰葉だ。彼女は、2017年の3月から約1年間、療養のために音楽活動を休止していた。小南泰葉は目に涙を浮かべながらLiSAとのハーモニーを歌い、そのメロディはオーディエンスにも預けられる。“TODAY”の作曲者でもある彼女がこの日のステージに立つことは、LiSAにとっても念願だったのだろう。

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そして、スペシャルゲストが揃い踏みとなった記念撮影。練り上げられたアレンジやオーディエンスの合唱を含め、LiSAの歌声によって育まれた人と人との繋がりが、大きな木となり大輪の美しい花を咲かせる、そんなライブであった。LiSAはそういうシンガーなのだ。ゲストを送り出して“best day, best way”を歌いきった彼女は、アウトロで「2回目、やりたいな〜」と告げていた。望む声が大きくなれば、それはきっと叶えられるだろう。ライブハウスツアーから、ベスト盤リリース、日本武道館と大阪城ホールの計4日間、そしてアジアでスケジュールされた3公演と、その歌を広く共有させるLiSAの2018年は続いてゆく。(小池宏和)

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