RADWIMPS/さいたまスーパーアリーナ

RADWIMPS/さいたまスーパーアリーナ - All photo by Takeshi YaoAll photo by Takeshi Yao

●セットリスト
01. AADAAKOODAA
02. One man live
03. ます。
04. ふたりごと
05. 遠恋
06. 俺色スカイ
07. やどかり
08. 揶揄
09. スパークル
10. おしゃかしゃま
11. カタルシスト
12. 洗脳
13. 告白
14. HINOMARU
15. トレモロ
16. いいんですか?
17. 君と羊と青
(アンコール)
01. 棒人間
02. DADA


2018 FIFAワールドカップ ロシアが開幕し、数々の熱戦が繰り広げられているこの6月。RADWIMPSは、一ヶ月の間に全国6ヶ所11公演のアリーナツアー「Road to Catharsis Tour 2018」を繰り広げてきた。今回レポートするのは、ツアー日程中盤に当たるさいたまスーパーアリーナ2デイズの初日、6月16日の模様である。

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開演時間を迎え場内が暗転するなり、幾つもの赤色灯が光ってけたたましいサイレンが響き渡る。ステージ上手側に桑原彰(G)とサポートドラマーの刄田綴色、下手側に武田祐介(B)とサポートドラマー森瑞希というお馴染みのフォーメーションで、中央に躍り出る野田洋次郎(Vo・G・Piano)は“AADAAKOODAA”を浴びせかけるように歌いながら、大きく腕を振って満場のチャントを煽り立てている。ツインドラムの手数がタイトに引き締まって放たれる、濃厚なグルーヴがいきなり素晴らしい。

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“One man live”から“ます。”の爆発力に繋ぐ流れは、ライブ体験のダイレクトなコミュニケーションに根ざした選曲だ。野田による「今日は、今回のツアーで最大キャパなんです。一番大きな声を出さなきゃいけないんだよ。わかってる?」という挨拶を経た後には、幾筋もの光の筋が楽曲とシンクロしてなびく“ふたりごと”、アドリブの応酬を繰り広げる桑原&武田の間に野田が割って入ってスクラムを組む“遠恋”といった楽曲が続く。

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野田がオルガン風シンセを奏でて歌い上げる“やどかり”は、伸びやかなボーカルも今まさに最高潮、という前半戦のハイライトになっていた。過去のアルバム曲やシングルのカップリング曲を次々に届けるセットリストは、個々の楽曲の訴求力を再確認しつつ今のライブ編成のアレンジを楽しめる構成になっている。一方で、『君の名は。』からピアノインスト曲“秋祭り”を奏でそのまま“スパークル”へと持ち込む流れも、近年からのRADWIMPSファンには堪らない一幕となっていたはずだ。

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開場中に警備員のフリをして立っていたら、お客さんにまったく気づかれなかった、と笑いを誘うのは桑原。彼は自らプロデュースしたハンバーガーの場外店舗「くわバーガー」の売り子にも立ったそうだが、その移動中にも気づかれなかった、と武田が追い打ちをかける。そして野田がここから飛ばしてパフォーマンスすることを宣言すると、ここで“おしゃかしゃま”だ。お馴染みの、桑原&刃田組VS武田&森組による熱い長尺のバトルセッションへと持ち込まれるのだった。

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ツアー開始直後にリリースされた“カタルシスト”は、競技の決戦へと赴くアスリートの思考と感情が激しく渦巻き、想像していたよりも遥かに生々しいロックアンサンブルが奇跡的なカタルシスへと導くという、ライブ演奏の全貌を明らかにしていた。“洗脳”のアウトロが鳴り響いている間に、いつの間にか野田は一人でアリーナ最後方のエリアへと移動しており、驚くオーディエンスを前に台座ごと高く上昇しながら、“告白”を弾き語りする。彼方のステージから4人のサウンドが寄り添ってくるパフォーマンスではあったけれども、野田が一人の人間として、オーディエンス一人一人に語りかけるような一幕だ。

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360°から見つめるオーディエンスに手を振り挨拶する野田は、ステージからダッシュで移動してきた、と一息つくと、ここであらためて、『カタルシスト』収録の“HINOMARU”に込めた思いを、落ち着いた口調で丁寧に語る。そして真っ直ぐにステージ方向を見据え、彼は毅然とした姿勢に表現者としての誇りと責任を込めながら、“HINOMARU”を歌っていった。誰一人として同じではないまちまちな思いを抱えた人々を振り向かせる、音楽の根源的な力を頼りにしながら、その歌にはいつしか無数の歌声が折り重なってゆく。

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喝采に包まれながら、ステージへと引き返してゆく野田。彼は、アルバムツアーではない珍しいタイミングのツアーについて語り、また急遽決定したツアーで奔走してくれたスタッフにも感謝の思いを伝えていた。残り3曲というところで、武田が「ええ〜、じゃありません! この3曲で出し切りますっ!!」と見事に場の空気を引き締めると、“トレモロ”からの終盤はこれでもか、という必殺曲の連打である。野田が執拗に歌声を煽り立てる“君と羊と青”まで、まさに歓喜色に染まる3曲であった。

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アンコールでは、まず“棒人間”を切々とした歌心でアリーナに沁み渡らせ、そして野田はこんなふうに語る。「いつまでも続けばいいなあっていう時間が、人生であと何回あるかな、って思います」。それは例えば“カタルシスト”で描こうとした、奇跡的なカタルシスの瞬間のことなのかもしれない。「シングルのリリースが決まるたびに、大丈夫か洋次郎、って言われるんだけど(笑)、僕たちの歌は、いつだって本当です。みんなが、RADWIMPSが好きだって胸を張れるバンドでいられるよう、頑張ります」。

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最後の最後にアリーナを狂騒へと叩き込む一曲は“DADA”。とても自由で豊かな解放を目指す、最新のRADWIMPSがそこにはいた。今後彼らは、7月から8月にかけて、アジア諸地域をめぐる8公演のツアーへと乗り出すことになる。(小池宏和)

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