め組/渋谷チェルシーホテル

め組/渋谷チェルシーホテル - All photo by Yosuke KamiyamaAll photo by Yosuke Kamiyama

●セットリスト
<マカロニえんぴつ>
01. チューハイ少女
02. 夏恋センセイション
03. girl my friend
04. 零色
05. MUSIC
06. 愛の手
07. 眺めがいいね
08. 鳴らせ
09. 洗濯機と君とラヂオ
10. ミスター・ブルースカイ

<め組>
01. マイ・パルプフィクション
02. 悪魔の証明
03. あたしのジゴワット
04. ホワイトタイガー
05. Amenity
06. ぼくらの匙加減
07. お化けだぞっておどかして
08. 1+1=
09. 500マイルメートル
(アンコール)
01. 5.4.3.2.1
02. HEARTFUL


この7月に東名阪を巡る自主企画「め組“絶対余韻”ツアー 〜奴らはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心の真ん中です〜」。全日程でマカロニえんぴつをゲストアクトに迎えたツアーだが、何しろめ組は今ツアーの開催発表後にメンバー脱退を報告するという、バンドとして非常にタフな経験を経てきた。ソールドアウトで迎えたツアー初日、東京・渋谷チェルシーホテルには、不安を胸に来場したファンも少なからずいただろう。しかしこれが、本当に素晴らしいライブになった。

め組/渋谷チェルシーホテル - マカロニえんぴつマカロニえんぴつ
め組/渋谷チェルシーホテル - マカロニえんぴつマカロニえんぴつ

ザ・ビートルズ“ヘイ・ブルドッグ”に乗って登場したのは、先攻のマカロニえんぴつ。若くしてビートロックのツボを心得た、テクニカルな作曲術と演奏スキルを備えたバンドである。しかしそれ以上に、表現衝動をありのままに表出させる熱量が凄い。はっとり(Vo・G)の歌声は一貫して力強くソウルフルに歌詞の物語を伝え、華やかなキーボードサウンドを含む音像はしかし、どこか焦げ付いたようにヒリヒリとしている。「サッカーと違って、音楽には勝ち負けがないから、応援のしかたもそれぞれだと思うんだけど。いつでも、どこにあんのか分からないゴール目指して音楽をやっています」と語りながら、ハングリーな反骨心をメロディに忍ばせた“MUSIC”や、ブライトな爆音を迸らせる“ミスター・ブルースカイ”など、限られた持ち時間に濃厚な10曲を披露していった。

め組/渋谷チェルシーホテル - め組め組

そして、ホスト役のめ組である。ラッツ&スター“め組のひと”で賑々しく登場するなり、菅原達也(Vo・G)は「今日は冗談抜きで、世界中でやってるバンドのライブの一番を取りに来ました!」と挨拶を投げかける。菅原と言えばボ・ディドリー・モデルの四角いグレッチがお馴染みだが、今回の彼は江崎グリコ「ポッキー」のパッケージ図柄がデザインされた通称「ポッキーギター」(かつて斉藤和義が監修し、限定販売されたもの)である。オーディエンスの盛大なハンドクラップに後押しされ、《「あなたとなら人生だめにしたい」》のフレーズが弾ける“マイ・パルプフィクション”や、《合言葉は/ちゅるりらら》を歌声でシェアする“悪魔の証明”など、菅原ワールド全開の言葉の海へと飛び込んでゆく。

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それぞれに卓越した演奏技術を注ぎ込みながら、楽曲の真ん中にある歌心を支えてゆく出嶋早紀(Key)と富山京樹(G)。出嶋がリードボーカルとして前線に躍り出てくる“あたしのジゴワット”は今やめ組のライブに欠かせない切り札だし、“ホワイトタイガー”になびく夢見心地で柔らかなキーボードサウンドも、“ぼくらの匙加減”で歌メロと絶妙なコントラストを織り成す富山のギターアレンジも素晴らしい。ボトムからサウンドの推進力を支えるサポートメンバー(カシムラトモヤ/B、合原晋平/Dr)のプレイも、鉄壁の安心感をもたらしてくれていた。

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事あるごとに「サンキューセックス!!」と、忘れらんねえよ・柴田隆浩のお株を奪うセリフを投げかける菅原。東京公演のソールドアウトを受けて「3日は余韻残りますよ。朝起きて、まため組かよ、ってなりますよ」と意気込みを伝える。また、彼はしばしば歌詞を引用しつつ歌に込めた思いを説明するのだけれど、何しろ入り組んだ心象にどうにかタッチしようとする歌である上、彼の言葉も熱い思いが先走りしてしまって、大概の場合オーディエンスの頭上には無数の「?」マークが浮かぶことになってしまう。しかし、これがひとたびめ組のバンドマジックにかかれば、率直に綴られたラブレターのように不思議とまっすぐ伝わってしまうのである。見失いがちだからこそ、手の届くところに置いておきたい自分らしさ。そんなメッセージを込めて届けられた新曲“Amenity”は、熱いマーチングビートで転がる素晴らしいナンバーであった。

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オーディエンスの歌声にまみれて始まり、くるくると曲調をカラフルに変化させて突き進む“お化けだぞっておどかして”。生活感ごと愛おしさをロックさせる“1+1=”。そして本編ラストには、「僕たちの始まりの曲」と言葉を添えた“500マイルメートル”と、練り上げられたグッドメロディで沸騰するめ組印のパフォーマンスを刻みつけてゆく。アンコールでは、今秋に6ヶ所6公演のワンマンツアーを開催すること、そして新たなミニアルバムをリリースすることも大発表(詳しくはこちら)。前進し続けるめ組は、ここでもうひとつの新曲“5.4.3.2.1”も披露する。二十代後半のリアルなエモさ悩ましさをトボけたリズム&ブルースに落とし込んだ、シリアスなのにどこかユーモラスな楽曲であった。

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菅原は、「おこがましいんですけど、悲しいニュースを出して、みんな不安になってるかな、不安を拭うようなライブをやろう、って言ってたんですけど、逆にみんなに不安を拭ってもらった感じ」とオーディエンスの熱いサポートに感謝の思いを伝え、「みんなの期待以上のバンドになるから、見捨てないでね(笑)」と決意を新たにするのだった。彼の切々とした弾き語りから始まり、シンフォニックなバンドサウンドで際限なく感情を膨らませる最終ナンバーは“HEARTFUL”だ。バンドとして、タフな状況を踏み越えようとしている今のめ組は、確実にまた一回り強くなるだろう。そう実感するステージであった。大阪と名古屋の公演、「JAPAN’S NEXT 渋谷JACK 2018 SUMMER」や「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018」を含む各地イベント出演、そして秋のワンマンツアーと、ライブの機会が充実する中でめ組がどんな成長を見せるのか、楽しみだ。(小池宏和)

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