the ARROWS @ 下北沢CLUB Que

the ARROWS @ 下北沢CLUB Que - the ARROWSthe ARROWS
the ARROWSのニュー・アルバム『アロイ』のリリースが2月18日ということで、その発売記念ライブ=下北沢CLUB Que 2デイズ&名古屋TOKUZO 2デイズ。で、このレポートは、そのうちのCLUB Queの2日目。なお、このあとにリリース・ツアーもあるので、この4日間はいわゆる「レコ発」なノリなのだと思います。
昨日のゲストはPOMERANIANS、今日のゲストはLEO今井、名古屋はアナログフィッシュとセカイイチ。4日間に1日ずつ「アロい四感〜予感A」「予感B」「予感C」「予感D」とタイトルが付いている。で、公式サイトを見ると、「『予感B』の『B』とは、『BEAT』の『B』で青がテーマカラーです」と、1日ずつ解説がある。凝っています。

で、本日は、まずLEO今井。鍵盤を前にした本人が中央、右にギターの木暮晋也(ご存知ない方は各自検索。「オリジナル・ラヴ」「ヒックスヴィル」「小沢健二のバック」「フィッシュマンズのサポート」「ロッテンハッツ」「ワウワウ・ヒッピーズ」などで検索すればひっかかります)、左に、すいません私存じ上げない方ですが、マックとミキサーに向かって打ち込みの音を出すマニュピレーター(本職はギタリストらしい)、の3人が、ステージに横並び。揃いの上下真っ白な衣裳で、テクノポップな感じというかロボットダンスみたいというか、そんなようなヘンな振付を全員でやりながらプレイ。フロア、かなり唖然。
前に観た時は、生バンド+鍵盤の前に座って弾きながら歌うLEO今井、というライブだったので、比べると今回の方が全然ヘン。で、このほうがよい。というか、面白い。こういうことをやると、ややもすると「奇をてらったのかな」と思われる危険性もあるが、LEO今井の場合そういう感じが全然しない。「ああ、こういう人なんだ」「天性の変わり者なんだ」ということのみが伝わってくる。
ヒップホップやエレクトロやいろんな要素が入っているけど、最終的にはオーソドックスでクラシカルな歌もの、というのがこれまでのLEO今井のイメージであって、実はぶっとんでいて危険で面白いキャラクターである、ということがもっとわかりやすく出ればいいのになあ、と僕は感じていたので、思わず手を叩きたくなりました。ここまでやっても、ちゃんとポップなのも素敵。ぜひこのまま行っていただきたいと切に願う。

そしてthe ARROWS。名古屋2デイズは来週なので、まだ曲名は具体的に書いちゃまずいかと思ったら、全然セットリストを変えるので問題ないそうです。というわけで、下に記載するが、ご覧の通り、ニュー・アルバム『アロイ』の曲と、過去からライブで人気を博してきた代表曲たちをとりまぜたメニュー。
で、『アロイ』は、乱暴かつ簡単に言ってしまうと、それまでの「ダンス」「ディスコ」な方向から「ギター・ロック」な方向に変わったアルバムなのだが、『アロイ』収録曲以外の、過去の曲たちもリアレンジされて生まれ変わっている。2曲目“恋する摩天楼”から「これ何?……あ、あの曲か! こんなに変わったのか!」と驚く。で、その驚きが、それ以降も続いていく。どの曲がどう変わっているのか、具体的に書きたいけど、さすがにそれはやめときます。これから名古屋で観る方はぜひお楽しみに。

で、そういうふうに変わったことによってどうなったかというと、バンドとしてえらくパワーアップした。「ダンスと恋の暴走機関車」「命を賭した軟弱野郎」ボーカル坂井竜二が暴れ回り、それにバンドがついていく、という感じだったのが、5人でひとつ、というグルーヴになっていた。5人がみんな暴れていた。そして、アレンジが変わったことによって、坂井竜二の歌の持つセンチメンタリズムやメランコリアがさらに強く打ち出される、そんな音になっていた。

坂井竜二は、常に、すごくシリアスなことしか歌わないし歌えないソングライターだった。しかし、そう見えにくいタイプのシンガーでもあった。というのが、バンドが変わったことによって、ちゃんと、そう見えやすくなった気がした。
今回のこのサウンド・プロダクトの変化は、自分が仕切るんじゃなくて、メンバーにある程度任せたことによるものだ、とロッキング・オン・ジャパン3月号(2月20日発売です、ぜひ)のインタビューで坂井竜二は語っている。つまり、彼が一歩引いたことによるものなわけだが、逆にそれによって、この人の持つシリアスさや真摯さが前に出てきたのではないかと思う。で、それは、大ありだと思う。

蛇足。アンコールの3曲は、前とアレンジを変えていなかったのに、新しい曲にも、古い曲にも、何の違和感もなくなじんでいた。で、死ぬほど盛り上がった。ってことは、この3曲のレベルに他の曲たちをひっぱりあげるための、今回のこの変化なのかな、とも思った。(兵庫慎司)

1.ABCD
2.恋する摩天楼
3.夜明けのRhapsody
4.すきなひと
5.スターサーカス
6.雨燕
7.ONE NIGHT STAR
8.からだのV
(※ここでベースの弦が切れ、交換中に急遽“君と幾年”をプレイ)
9.BGMの向こう側
10.15years
11.誇リズム

アンコール
12.ナイトコール
13.マストピープル
14.ロックンロールダンシングガール
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