場内に流れるメタリカのSEに夢中になっていたら、突如として場内が暗転。19時50分、ついにケニーの登場だ。万雷の歓声のなか気さくに手を振って、愛器・イグアナを抱えておもむろに“I Go Alone”をストローク。「オイ! オイ!! オイ!!!」と盛大にリアクトするフロアへ一気呵成のバンド・サウンドで切り込み、そのまま“Pressure”→“Why”とグイグイ畳み掛ける。新態勢となってまだ2ヶ月あまりだが、2度のショート・ツアーと『COUNTDOWN JAPAN 08/09』などビッグ・イベントへの出演を経て4人の波長はばっちりチューニングされ、驚くべき一体感を生み出している(スゲー音圧!)。すでに円熟の域にあると言って過言じゃないくらい、駆け出しのパンク・バンドには決して出せない類の堂々たるサウンドだ。フロアも熱烈なダイヴとモッシュに沸き立ち、仕舞いには「オオクボー!」とローディにまで声援が飛ぶ有様で、BLITZの熱量はどこまでも上昇曲線を描いていくのだった。
中盤には新曲「You’re Not Welcome Anymore」を披露(4月15日にリリースされるスプリットに収録!)。つんのめるようなスピード感とキャッチーなギター・フレーズ、コーラスの掛け合いが楽しいファスト・チューンで、すぐさまキッズを盛大にジャンプ・アップさせていた。
アンコールでは、「何やろっか?」と気さくにキッズに問いかけ、「じゃあ、“My Day”やるわ!」と臨機応変にリクエストに応える恒例の一幕も。続く“Can’t Take My Eyes Off Of You”では、「最後は決めポーズで」という事前の打ち合わせがあったそうなのだが、実はそれはJunへのドッキリだったらしく、実際にはJunひとりで決めポーズ!という羽目になり、ケニーたちはJunを指さして大笑い。こんな無邪気なふざけあいも、バンドが今いかにノっているかを伝えているように思えて仕様がなかった(「ホント腹立った!」とJunさんは照れと怒りでプンプンしておられましたが・笑)。さらにハスキンの “WALK”、そしてかの名曲“Stay Gold”もプレイされ、BLITZは最後までヒートアップしっぱなし。Wアンコールこそなかったが、個人的にも大満足のステージでした。
折しもこの日は初のギター教則DVD『B Class Guitar Lesson』が発売。先述した4月15日のスプリット(『The Best New-Comer Of The Year』)も若手3バンド(ALMOND、DRADNATS、SpecialThanks)を自ら誘って企画したという代物で、ますます貪欲に、意欲的に動き続けるケニーである。その動向から目を離すべからず!(奥村明裕)